海の沈黙のレビュー・感想・評価
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美学とは・・・
東京大学文学部美学科卒の倉本聰の恐らくスワンソング。「永仁の壺事件」をもとに贋作とは真筆とは‥この問題に迫る。とにかく圧倒的な配役陣。これはチョッとやり過ぎじゃない?とは思ったものの、そこはそこ、倉本の集大成。倉本は主演の本木に乗り移ったかのような演技代行でひぞっこの若手女優を間接愛撫するためのシナリオと言って良いかも。これなどはまさに田山花袋の美学の世界。完璧なまでに配置構築されたファクターが、最後はハンドリングできずにすべてが別々にろうそくのように溶けだして、具象絵画が後半抽象へと瓦解していく様は倉本の晩年ぬふさわしいと言えよう。とにかくこの映画、印象は古い!!である。一切の今風は封印しまるで昭和40年代のドラマを見せられているような感覚に陥る。ターナーやモネの作品が晩年抽象絵画のように瓦解していく様に被せたかったのかもだが、もう少し元気なうちに、もっと個性強めの監督にその脚本を渡してもらいたかった。ちょっと様式化した時代劇の昭和版を見た思いだが、これはこれで堪能で出来たと言えよう。
あと、言い忘れたが本木と小泉の演技は圧巻。特に小泉は下あごのたるみを度アップでスクリーンに曝してなおその表情の美しさ、変幻さでその魅力はまさにミューゼもの。本木も難しい画家のふるまいを演劇的ともいえる高次元なパフォーマンスで圧倒した。
若干、無理矢理ありだけど…⭐︎
日本で大家と言われている石坂浩二演じる田村の自身の展覧会で一枚の絵が本人から贋作と言われ、
その絵は昔、天才画家と言われた男が描いたものだった…というプロローグから始まる物語。
話しの筋はともかく、倉本聰の映画に出るということからなのか、本木雅弘が渾身の演技。
他にも倉本聰の御意向で素晴らしい役者さんが隅々まで勢ぞろいしている。
でも、自分はやはり中井貴一に一番目がいってしまう。
素性はほとんど最後まで明かされないまま、本木を「先生」と呼んで支える。
TVの「トラベル・ナース」のなかでもそうだが、慇懃無礼な丁寧な物言いがこれほど似合う人は
あまり居ないのではないか。
彼がいなかったら、この作品そのものが無くなってしまうくらい存在感がすごい。
このサイトで美術関係の方から厳しいコメントが上がっているけど、全くの素人の私には
絵画については正直わからない。
ただ、萩原聖人演じる村岡が「魂が震える」と言うほどの感動が絵画から得られる人も
存在するんだろうとは思う。
「徹子の部屋」に番宣で本木雅弘が出演した際、簡単に言えば「美」とは何かと言うことが
テーマとコメントしていたが、倉本聰が表現しようとしたものはそれなのか?
バンクシーの作品もオークションなどにかかると自分などはやはり金額だけで、価値を
判断してしまっている。
でも、知らないから物差しがそれしかない。
画家が刺青師と言う設定は必要だったのかとか色々疑問符もつくけど、最後まで面白く
鑑賞出来た。
ただ、倉本聰の最盛期の作品も知っているだけに、歳をとって説教臭くなってしまった
ように思ってしまった。
これは時代に搾取されたジェンダーの浪漫
役者の演技は良かった。
芸術とは何か
絵画の力・美とは何か
権威が支配している構造に対して実力や自分の表現を大事にして作品を生み出すことを
人の作品のキャンバスにぶつける
自分の彼女に同意もなく彫物を押し付ける
結局は力で支配しようとする。
感情と行動を混載して作品にする主人公津山竜次
魅力的には見えるけど
この人が一緒にいたらDV体質で幸せを分かち合う
つくり合う対等な関係にはなれない。
狂気に満ちた作風🟰芸術的に優れた作品としたのは頂けない。
津山の思いが自分の親だけしか向いてない。
自分の満たされなかった思いから自立していなく
後の人は道具の様な認知
だから田村夫人のキョンキョンはずっと会わないでいられたんだよね。
この映画の魅力は役者
映画もモッくんとキョンキョンとしか見えない
この2人でなかったら
すごく嫌な人物、2人に見えた。
キャストの勝利
中井貴一演じるスイケンと名乗るマネージャーはホントに作品を愛したのだろうけど
先生と言うところでやっぱり主従関係
人として対等な映画が観たいな
今までの世の中がウンザリだから
ニコラシカ、ご一緒したいですw
今週の2本目、気になる作品は数本あるものの、どうしても「今、劇場で」と言うほどの熱意にまで至る作品がなかったのですが、今年90歳になる倉本聰さんの原作・脚本はやはり観ておくべきか、と思い直して劇場へ。サービスデイのTOHOシネマズ日比谷、11時20分からの回は私の予想をはるかに超えて驚くほどの客入り。なお客層の大半は私(53歳)よりも上に見える方ばかりで、あまりサービスデイは関係なさそうです。
で、観終わった私の本作に対する印象は「枯れない高齢者(おとな)向けのロマンティックファンタジー」。倉本さんの所々現実味のない設定や展開の脚本に、若松監督の思い入れが溢れる超濃厚な演出は、その世界観に没頭出来て「心底美しい」と感じられればハマれるのでしょうが、正直なところ私は終始「無感情」。つまらなくはないのですが、生きる世界が違う人たちの話であり、その上リアリティーが感じられないとなれば、如何せん感情は動きようがありません。
とは言え、見どころがないわけでなく、何と言っても豪華な俳優陣の渾身の演技はとても素晴らしく、皆さん強く印象に残ります。特に展開上、重要な役割となる人物を演じる清水美砂さんは必見。清水さん演じる「牡丹」の普段のさばけた感じと、愛する人への艶っぽさのギャップについついそそられます。(ニコラシカ、ご一緒したいですw)一方、観ていてやや混乱しそうになったのが石坂浩二さん。演技は抜群にお上手な上に、「田村修三」と言う役にはピッタリのキャスティングなですが、どうしても石坂さんの実年齢が周りのキャストの皆さんと比べ突出して高く、観ている最中もつい、役柄上の関係性に戸惑いを感じてしまいます。石坂さん、とってもお若く見えますが実年齢は83歳ですからね。。単体でははまり役でも、他とのバランスはやや悪いと言わざる得ないかな、と感じます。
と言うことで、「本木さんと小泉さんの32年ぶり共演」など話題に事欠かない本作。レビューは少々ネガティブになってしまいましたが、あくまで好みの問題で作品を否定する意図はありません。現在53歳の自分が子供のころから見てきた方々を、今もこうして観続けられている幸せは正に「人生の醍醐味」。やはり劇場で観て良かったと思っています。感謝。
倉本聰の集大成ってことですか
もっくん、かっこいいなぁ・・。美しい顔面は年齢重ねても・・かっこい...
もっくん、かっこいいなぁ・・。美しい顔面は年齢重ねても・・かっこいいのね♪ 羨ましい(笑)そういう点では・・この映画の生きる主題だったかもね♪
久々の倉本聰さん作品、これは鑑賞するしかないでしょ・ということで映画館♪
倉本さんらしい、顔アップでの感情表現の演出は健在・・。かれこれ、随分昔に倉本聰さんの「幻の街」を題材に学んだコミュニケーション学、その技法が、今もそのまま活かされてました♪
物語は・・やはり北海道が舞台、うーんな部分もなきにしもあらずですが・・・。特に、牡丹さんは・・まぁ、状況説明のために必要な役柄なのでしょうけど・・あんな形で退場させる必要あったのかなぁ・・と思ったり・・。
キョンキョンの「ありがとう」は、何に対しての感謝だったのかなぁ・・とかね・・。
「2丁目3番地」以来の倉本作品の、石坂浩二・・老けたなぁ・・。というか・・ほとんどの登場人物が・・老けたなぁ・・という感じのキャスティング・・。登場人物の平均年齢が、日本の高齢化も反映してるのかなぁ・・・。
結論としては、倉本さんがこの映画で伝えたかったのは「美しい」は、絶対的な感性で感じるもので・・お金や、鑑定証、など世俗的な、相対的な基準を持って判断されるものではない・・ということか・・それには、両手を上げて賛成。
芸術家の業
テーマは、芸術家の業や、
情報に流されがちな今の世の中にあって自らの価値観を貫くこと、でしょうか。
全体のストーリー、設定などリアリティは薄く、小説や演劇のようで、
だれかに感情移入したり、共感することはなく、
他の倉本作品とは少し異なる印象を受けました。
バラライカの流れるバー、廃校で作られる料理など
小道具や背景が独特の世界、雰囲気を醸し出しているのと、
俳優陣(とくに中井貴一さん、清水美沙さん)の濃い強烈な演技、
さらにクローズアップで表情を強く印象付けるような画面構成に引き込まれて
緊張感の途切れることなく最後まで観ることができました。
本木さんは、破天荒な芸術家役ですが、
狂気の場面でも清潔感、美しさを失わないところや、掴みどころのない感じが、
典型的ではない、新鮮な、謎を秘めた人物像の表出につながって良かったと思います。
小泉さんもそんな本木さんに相対する女性として、雰囲気が合っていたように感じました。
美は美であってそれ以上でも以下でもない
もっくんの顔が出てくるまでの約1時間が、ミステリー要素が盛り込まれていて、
作品に惹き込まれていきました。
中盤以降は、主人公津山竜次の美学と生き様的な話になっていくので、
ここは好き嫌いが分かれそうだなと思いましたね。
津山は贋作を描くというよりも、オリジナルをさらに超えるオリジナルを描いているのでしょうね。
画家という作家性とかブランドではなく、絵の力、美の力を追求しているのでしょう。
このあたりは、冒頭の贋作発覚事件をちょっと嘲笑うかのような、そんな感じにも受け取れました。
だからこそ、最後のセリフ「美は美であってそれ以上でも以下でもない」というのは至言だと思いました。
絵の(芸術の)本質を説いているセリフと理解しました。
俳優陣もベテラン揃いで安定していましたね。
私にとっても、なんてったって永遠のアイドル小泉今日子、年輪を重ねても好きです。かわいいです。
それから久しぶりに目にした清水美沙。美しいです。
仲村トオル、いい役なんだけどなー。なんか中盤以降存在感が薄れていったのが残念でした。
そして中井貴一。役名のスイケンも謎ですが、怪しい中国人に見えましたけど、
頬の傷とかのキャラ造形が謎でしたね。海外で料理人やってたエピソードとか、マジで謎。それが面白かったですね。
もっくんも頑張っていて、好感が持てました。
「哲学的な作品」
期待はずれ!
本木雅弘さん迫真の演技
本木雅弘さんが本当にすごかった。
ストーリーとしては、過去の経緯がほとんどなかったのが残念。小泉今日子との出会いから別れまでの関係、何故石坂浩二と結婚に至ったのか、中井貴一とこれまでどのような物語があったのかなど、それらの描写がもっと丁寧にあれば良かった
もっと見たかったかも
倉本ワールド!
狂気じみた画家の執念
飽きずに見れましたが
倉本聰さんが脚本、自分の年代だと超アイドルだったモックンとキョンキョンの共演。それだけの理由で鑑賞。
全体的に静かで落ち着いた、大人な映画で美しかったです。素晴らしい腕を持つのに破門された画家。彼のかつての恋人や美術界に生きる人々の様子から、徐々に彼の生き様が描かれる。
海の沈黙というタイトルそのものが、海に消えた両親を持つ彼の主題であった。
うーん、私は今一つだったかな。。本木さんと石坂浩二さんが、いわば恋敵の同年代という設定に?がついてしまい、入り込めなかった。
アザミに、入れ墨彫りたいほどの何か秘めた感じがもう少しあると良かったし?
絵画における苦悩に集中するだけでよく、美の追求について、入れ墨がどうも突飛に感じてしまいました。彫り師の父親の影響で培われたという事はわかりますが。。
清水美砂さんを ものすごい久しぶりに拝見しましたが、変わらず美しかった。中井貴一さん今作かっこ良かったです。小泉さんとはドラマ「最後から二番目の恋」での共演がすごい印象強いです。
モっくんが色っぽい
いくつか疑問点はあったものの、「ザ・倉本聰ドラマ」って感じで、観終われば重厚な作品だった。
とにかくモっくんが色っぽいのがよかった。
その疑問点とは、主に以下の通り。
本木雅弘、仲村トオルと、石坂浩二が同級生なのは無理ありすぎじゃない?
油絵と刺青は関係なくない?
芸術の意味、贋作ミステリー、老域に入った女の過去の恋愛、刺青に憧れる若い女性、かつて刺青を掘ってもらった女性の死、そのどれもが関係するようで、話の軸として機能はせず中途半端。
そんな登場人物たちに、芸術のありようを語らせたのは、消費されるTVの世界で紡いだ物語が変に芸術扱いされなくとも人の心に残りさえすればいい、といった心境を反映させていたのかもしれないとも邪推しました。
文学作品
いい映画ではありました。
重くもあり、芸術とは?愛することとは?
を考えさせてくれる映画でした。
倉本聰と言えば北の国から世代ですが
本を読めない(ながら俗なのでじっくり本を読むことが出来ない)
者には、本そのままの映画として見られると思います。
ただ万人向け?ではないので☆4に近い3.5にしました。
遺作になるのかな( ;∀;)
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