「芸術と情念のはざまの愛」海の沈黙 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
芸術と情念のはざまの愛
本木雅弘は孤高の天才贋作家と言う難役を、
嘘臭くなく、ひたむきに演じていて、改めて
素晴らしいと思いました。
中井貴一さんの高山竜次(本木)を生涯支える
フィクサーのスイケン。
板前だったり、BARのマスターだったり、執事だったり、
2人は本当に格好良くて、渋くて品があり、
オマケにちょっとだけ胡散臭い。
2人を見るだけでも料金分の価値はありました。
竜次が潜伏する小樽の飲み屋の女・牡丹(清水美沙)の
全身タトゥーが強烈でした。
竜次が彫ったと言うタトゥー。
竜次の初恋の女性を小泉今日子が演じています。
年輪を美しく重ねて、しっとりした大人の雰囲気と佇まい。
キョンキョンも素敵に年を重ねましたね。
(声は変わらずにあどけない)
【否定的な設定】
天才画家で彫り師?
そんなことってあり得ますかね?
確かに映像的にはアザミ(菅野惠)のヌードーンは、
高齢者の多い俳優陣の中ではフレッシュで良かったのですが、
ややお色気要員的でしたね。
【何故、津村竜次は、贋作に手を染めたか?】
インターポールから国際手配されるような、海外を股にかけた犯罪に、
手を染めた理由?
それも《ゴッホやゴーギャンの贋作⁉️》
相当な贋作シンジケートとの関わりとか描かないと、
荒唐無稽で、リアリティが全くありません。
【恋愛映画の側面】
洋画家の重鎮・田村画伯(石坂浩二)の妻の杏奈(小泉今日子)との
過去の恋愛沙汰・・・
これも描かなさ過ぎで、何のこっちゃ‼️です。
田村が杏奈を描いた肖像画を塗りつぶして、
自分の絵(海の沈黙)を書いてしまう。
津村は人間的に常識がなさ過ぎる。
社会性ゼロ。
これでは幾ら天才でも誰も味方にならないです
【倉本聰さんが、結局この映画で伝えたかったこととは?
何だったのでしょう!】
構想60年。
今までに書かれた素晴らしい名作の数々
それでも辿り着けなかった頂き、
もっともっと突き詰めたかった創作意欲・・・でしょうか?
津村竜次と言う破天荒な男の
生き様は、くっきりと見えました。
色々と不満はありますが、
実際に津村の絵を全作品書かれた高田啓介さんの
荒削りな海の絵画。
これは胸を打つものがありました。
(有名でなくても、心を打つ絵画)
【本物とは何か?】
津村の生き様と重ねて、
しっかりと繋がりました。
琥珀糖さんの【否定的な設定】とか【何故、贋作に手を染めたか】とか【恋愛映画の側面】とかの、不満部分には全く同感でした。でも、その前に触れられているような、いい部分もたくさんある映画でしたけれど。それだけに、もったいなかったなあ、と思いました。
コメントありがとうございます。
もっくんも渋いおじさんになりましたね。
アイヌプリは上映劇場が遠いので、観られるかわからないですが、気になってます。
こういう映画に興味を持つようになったのも、ひとえにゴールデンカムイのおかげです。
おはようございます。
そうだったんですね。あれ??と思っていました。
ありがとうございます。
確かに清水さんの牡丹、すばらしく魅力的でしたよね。本木さんのひたむきさもとても共感です。
いつもありがとうございます。
倉本聰のイメージでは“寝食を忘れ、キャンバスに向かって描きなぐるのが絵描き”なのでしょう。あんな破天荒な芝居を押しつけられた本木雅弘がかわいそう。実際、取材カメラを向けられると意識的にカッコをつけた筆さばきをする画家が多いことは否めないが。
バブルの頃、あの漁村シリーズとそっくりな絵柄の超売れっこ画家(葛西四雄)を思い出す。描き上がったばかり、絵の具ベトベト状態で右から左に売れてゆく。豪邸を持て余し、青森弁の好好爺だった。