「パレスチナの子たちを追悼するためのドキュメンタリー」忘れない、パレスチナの子どもたちを Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
パレスチナの子たちを追悼するためのドキュメンタリー
2021年5月11日から21日までイスラエル軍がパレスチナのガザ地域を空爆し、その11日間で少なくとも67人の子どもたちの命が失われた。本作はそれらの子たちを追悼するために制作されたドキュメンタリー。
それぞれの日につき、「5月○日、○人の子どもが亡くなった」というナレーションから始まり、「(名前)は○歳で、○時ごろ(場所)で空爆を受けた」と紹介されて、その遺族や友だちなどが「……は○○で遊ぶのが好きな子でした」と思い出をひとこと語り、その子の遺品などを映し出す。それがそれぞれの子どもたちについて繰り返されていく。
思い出を語る証言の口調は皆、淡々としていて、敵を罵ったり恨みごとを言ったりは決してしていない。でも、それだからこそ、それぞれが如何に当たり前にどこにでもいる普通の子どもたちであったという事実を鮮明に映し出し、それらの命が奪われる必要性など微塵もなかったことが再認識される。
この11日間の空爆からすでに3年半近い月日が流れている。その間にどれだけの子どもたちの命が奪われ、彼らの夢や希望が踏みにじられてきているのであろう?
戦争の愚かさを今さらここで繰り返す必要はないだろう。少なくとも、勇ましいことを言っている連中に、こんな現実があることにしっかりと目を向けてもらうことを願うばかりだ。
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