「大きな罠と小さな罠。」トラップ アルさんの映画レビュー(感想・評価)
大きな罠と小さな罠。
シャマラン監督らしさはしっかりと、全体に終始漂う不穏な空気はさすが。鑑賞者にもわかりやす過ぎるほどの動揺や突飛な行動と言動は、実際に追い詰められた時に第三者から見るとああ見えるのだろう。
もしかしたら監督が敢えて大袈裟にしているのかとも勘繰ってしまう。
ブッチャーとしての深掘りが少なかった分、クーパーのサイコパスな面が見えにくく、かと言って優しい父親としての面もライブ会場でのやり取りだけと少なく、同じ娘を持つ父親としても感情移入するまでは至らなく。
なぜ連続殺人を犯すのか、快楽殺人ならもっとイカれた面を見せて欲しかった。クーパーをもっと知りたいと感じさせる惜しさ。自分の中にある黒いドロドロした部分を引っ張り出して欲しかった。
そのクーパー演じるジョシュ・ハートネット。
優しい父親役は見事にハマっており、終始見せる笑顔の奥に隠している狂気の表現も素晴らしい。
性格含めていわゆる『グレーゾーン』的な設定なのか、緻密な計画や全てにおいて隙の無さ、大きな罠でプロファイラーとの駆け引きなど見応えはある。
が、何かが惜しい。何かが足りない。
これもシャマラン監督と言えば、間違い無くそうなのだが(笑)
ラストの罠の答え合わせ。
そしてクーパーの笑顔。終わり方も気持ち良い。
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