「今年こそ東京旅行に行きたい!」ゼンブ・オブ・トーキョー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
今年こそ東京旅行に行きたい!
東京旅行をしたいなぁ…と毎年考えているのだが、都合が付かずなかなか行けない。
数年前にも行った事あるのだが、その時は一泊二日であくせく動いたので、今度は二泊三日ぐらいしてゆっくりと。
行ってみたい所がたくさんある。子供の頃一度行った記憶ある上野動物園にも行きたいし、以前行ったスカイツリーや浅草もまた。サブカルの聖地・秋葉原や寅さんの町・柴又…。二泊三日でも回れるかしら…?
本当に今年行けるか、それともまたまた行けずか分からないけど、あれこれ考えるだけでもちと楽しい。
そんな東京旅行の下調べにももってこいの本作。
修学旅行で東京を訪れた地方の女子高生たち。
とある班。優里香は班長として東京の“全部”を楽しむ完璧なスケジュールを組んでいたが、当日になって皆バラバラ自由行動。
いきなり一人になってしまった優里香だが、班メンバー各々、ある目的を持って東京修学旅行に臨んでいて…。
スケジュールはスケジュール通りにいかない修学旅行珍道中。
そりゃあ地方から東京にやって来た女の子たちだもの、やりたい事行きたい事はそれぞれいっぱい。
テンションアゲアゲのまま気になる男子に告りたい、推しキャラグッズが欲しい、東京っぽくクールに振る舞いたい。…
中でも特別な思いで東京に来た内向的な一人。推しに憧れ、アイドルを夢見ている。奇遇か運命か、修学旅行中にオーディションの日が…。しかし、思わぬトラブル続出。
後半はこの娘のエピソードが強く、彼女の為に皆が一丸となって協力。
優里香も“東京の全部を楽しむ”が、“今のあたしたちだからこそやりたい事をやる”という思いに。
日向坂46を迎えてただのキャピキャピアイドル映画にならず。なかなか巧みな青春群像映画に。
熊切和嘉監督のこれまでの作品では意外なジャンルだが、最も愛らしい作品に。うっすら大林宣彦オマージュも感じた。
強いて言うなら、日向坂46の面々が誰が誰やら…。
ラストシーンは彼女たちの卒業直前。
特に思い出すのは修学旅行。色々あったけど、仲が深まったり、自分らしくなったり、念願のアイドルデビューも。
あの東京の修学旅行で、あたしたちは青春の全部を楽しんだんだ。
心地よい余韻が素敵。