「非オタが見るものではないんでしょうけどね」ゼンブ・オブ・トーキョー 昭和かたつむりさんの映画レビュー(感想・評価)
非オタが見るものではないんでしょうけどね
映画そのものとして出来がどうとか、演技力がどうとかを問う系統の作品ではないでしょうからそこは深く強く話題にしないとして。
1,アメリカ映画などでよく見る「強めのドタバタ展開」ではなく、思ったよりも落ち着いた流れで話が進む感じで、時間の割に長く感じる。私は映画セット(ポップコーン大盛り状態+ペプシのいわゆるLLサイズ)を持ち込んで、ほぼ食べきってちょうどいい感じでした。
2,商業映画というよりは「費用負担を一部おひさまがする特典映像を映画制作陣で作ってもらった非常に長いやつ」という感覚で見るならそれほど悪くない感じ。テンポ的には「ツボにはまった時のひなあいよりは明らかにスローな展開で、ひなちょい2に近いテンポ感で80分以上続く」というとわかりやすいかも知れない。
3,出演の比重にはかなり開きがある。主役正源司は大半出ずっぱりなのでそれは置いとくとして、チャプター形成をするメンバー(藤嶌+竹内、小西に平尾と平岡が加わる、渡辺単独)は相応にセリフもカットも回されている感じがあるが、それ以外(宮地、石塚、清水、山下)はそれほど出代がない。特に清水の「空気感」はなかなかキツイ扱いに見える。
4,生きてた感が強かったのは(主役の正源司は除外)
藤嶌:期待の通り暴れる表現力、ただし喜怒哀楽の「喜と楽」が少ないので不足感が残る
竹内:思ったよりも仕上がりが良かった。安定感が良い。
小西:評判の通り生きてる感が強かった
平岡:別人寸前の仕上がり
石塚:良さがにじみ出でいた
山下:出番少なめながら確実に決めてきた
小阪:ゲストながら重要な役割でいい仕事をした感がある
5,残念感は
清水:ほぼ出番なしに近い
宮地:味はあったがやはり出番が少ない
渡辺:年少由来の可憐さに比重が置かれていて、持ち味の力強さと瞬発力が生きていない
平尾:評価は割れると思うが、この作品でこのキャラをやるの? という疑問はあったかな(ただしこういうキャラを演じる人が居ないと困るのもあるから否定的にも言い切れない)
6,おまえ、何でしょげを評価に加えない?
主役は「主役を軸にそれに合わせて作るタイプの作品」だったら良いのは当たり前。この作品中では、「いつもの正源司陽子がそこにいる」雰囲気で終始話が進む。特に終盤で目立つが、演技感も「盛ってる」感もあまりなく、言ってみれば自然な感じで作品は淡々と進んでいく。そのため、今作はしょげが力強いエンジン感という雰囲気ではなく、むしろサラサラ感の強い演技という雰囲気かなぁ。 こういうタイプの作品の主役は評価がやりにくい。
で、11/24に同じシアターで見てきました。今度は「メンバーの助けを借りよう」
そう、副音声付きですね。ガチの古参映画ファンからしたら邪道極まる行為でしょうが、まぁ何しろ「映画そのものとしてみた場合、アイドル映画に基本、名作なし」なのでここは割り切っちゃいましょう。
改めて見てみても、やはり序盤40分くらいとても流れが遅く、そのあたりでだるさが襲っては来るものの、流石バラエティグループトークなら水を得た魚状態になる日向4期生、ガヤとして映画に付け加えるとかなり「この映画の持つ独特の生煮え感」が緩和されます。聞き慣れた4期の声でミックスするとテンポよく会話が入ってきて、「比較的落ち着いて鑑賞できる」
ただ、終わり方はどうにも残念感が残る。桐谷役のりなしがオーデに遅れて採用ならず、しかし映画の最後に「アクリルキーホルダーとして登場し、桐谷からもらったヘッドホンをしている池園」で「実はデビューできた」というオチでこの映画は終わるんだが、
それならなぜ
「特例で加入」という超必殺キーワードを使い、映画の締めに
「キリがアイドルデビュー出来てテレビ出るから池んちでみんなで見ようぜ」
からのテレビ歌番組、ありりん(=小阪)登場で
「新しい仲間が増えました!」
(桐谷が自己紹介、そこで特例加入という必殺技投入)
「それでは聞いて下さい、”夕陽Dance”」
画面切り替わり、4期生がテレビ画面に入り込む。そして実際に夕陽Danceを映画衣装で披露
キャスト紹介(メンバー1名ずつアップで一時停止エフェクト)+池園カメラのチェキの合成で綴り、曲の最後で
「最後までご覧いただき、ありがとうございました!」
で日向の伝統の長く深い礼で締めてからのエンドロールだったら、これを見に来るような相応のおひさまだったら総じて5星付けたでしょうよ。今更のねるの蒸し返しとか何でオリジナル曲じゃないんだよとか異論もあるだろうけどね、しかし終わり方がこれではあまりにもあっさりしすぎているように思う。
この映画の残念感の最大要因は多分それだろう。まる1週間悩んだが、やはり昔のアイドル映画(ただしソロアイドル時代の話だし、違う系統も含まれますがね)って、最後はちゃんと何か必殺技的なオチを付けていた記憶があるんですよ。
セーラー服と機関銃の最後はどうだったか?
→映画館でリアルタイムで見てきました
時をかける少女の最後はどうだったか?
→リアルタイム終末期にテレビ放送で見ました
菊池桃子の映画はどうだったか?(”卒業”だったかな?)
→同上
いずれも、ファイナルにかなり強い一撃をガツンと食らわせて終わりにしている。それがあるから、途中のグダグダやら大根演技棒演技やらなんか変な設定やら時系列がボロボロやらがあっても全部忘れさせてくれる。
今作は「長野県の高校生」「オーデ行けず失格状態」という、必殺設定でけやきの頃からの知識があるおひさまの首にチョークスリーパーホールドを掛けて、合格はしたという流れをちゃんと終わらせずに、つまりちゃんと絞め落とさずに終わってる。これが実に残念なんですよ。
日向坂の場合、前史からの続きもんという側面が一定残る上に遡りがやりやすいグループなので、「伝統を受け継ぐ」という流れは客層(体感的に、日向の客は温厚な保守派が多いという印象を受ける)にマッチすると思う。