劇場公開日 2024年10月25日

「ゼンブ・オブ・セイシュン」ゼンブ・オブ・トーキョー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゼンブ・オブ・セイシュン

2024年10月27日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

萌える

アイドル映画だと思って、暇つぶし程度の軽い気持ちで鑑賞してきました。日向坂46に興味はなく、メンバーは誰一人知りませんが、作品としては思いのほかよかったです。

ストーリーは、東京での修学旅行で班別行動を楽しみにしていた班長の池園は、東京を満喫するための完璧プランを立ててきたものの、班のメンバーにはそれぞれ思惑があり、全員が班からはぐれたフリをして、個人行動を始めたことで巻き起こる騒動を描くというもの。

予告からパラレルワールドの不思議ファンタジー系かと思ったら、全く違いました。うまくミスリードされた感じでしたが、結果としてきちんと地に足のついた作品に仕上がっており、むしろこちらのほうがよかったです。キラキラした青春物語にどっぷり浸りながら楽しく鑑賞することができました。

印象的だったのは、都内各所で同時進行で繰り広げられるストーリーです。頻繁に場面が切り替わるものの、各ストーリーから置いていかれることはなく、そのどれもに共感しながら温かく見守ることができます。並行するいくつもの物語を、破綻なく、観やすくまとめ上げた脚本がすばらしいです。それほどの深みはないかもしれませんが、ラストもきちんと収束し、青春の煌めきと心地よさを感じます。

とにかくこれだけ多くの子を出演させながら、それぞれに見せ場を用意している点もすばらしいです。正直言って、序盤は自分勝手に個人行動に走る班員にイラつき、班長の池園さんの健気さに切なくなります。しかし、別行動をしたからこそ、それぞれに感じ、考えるものがあり、最後は互いに素直な気持ちで歩み寄れる関係が眩しく映ります。

終わってみれば、青春の全部を象徴するような出来事として心に刻みつけられた今回の修学旅行。きっと彼女たちは、自分の素直な思いをきちんと伝え合うことの大切さ、それができる仲間と巡り逢えたことのすばらしさを感じたことでしょう。そんな姿が本当にきらきらと輝いています。

主演は正源司陽子さんで、屈託のない明るさで主人公・池園を好演しています。他に、石塚瑶季さん、小西夏菜実さん、清水理央さん、竹内希来里さん、平尾帆夏さん、平岡海月さん、藤嶌果歩さん、宮地すみれさん、山下葉留花さん、渡辺莉奈さんら日向坂46の4期生全員に加え、小坂菜緒さん、真飛聖さん、八嶋智人さんら。日向坂46メンバーの演技力には個人差はあるものの、全体的にはよくがんばっていると思います。そこに真飛聖さんの演技がいいスパイスになっており、ふわふわしそうな本作にピリッとした雰囲気をもたらしています。

おじゃる