人間爆弾 立ち止まったら、爆発のレビュー・感想・評価
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スペイン映画という変わり種ですが薄味
どうしてこの映画を見ようと思ったかの考察から入りますが、私は一般人がちょっとした偶然によって死ぬような難局に巻き込まれる事件を扱った映画が、好きです。
今までも、『崖っぷちの男』『マネーモンスター』『フォーンブース』なんて好みの映画でした。
それらに共通して描かれるのが、主人公の背景にある何かしらの問題。人格だったり、家族だったり、仕事などでトラブルを抱える人が、命がけのミッションを経て、成長し融和を迎えるという物語にひかれるのです。
スペイン映画という未知の領域に興味がわいたのと、インパクトのあるタイトル。これだけで、自分好みの設定だなと思い、見てみようと思いました。
結論から言うと、見終わって、満足度の低い、残念な映画だったと言わざるを得ません。主人公の背景が平穏すぎて、もちろん借金とか、家族の不和とかそれなりに丁寧に描いてはありますが、映画にするほどの題材には思えません。
静かにクライマックスを迎える展開ですが、もう少しなんとかならなかったのかと思うところだらけでした。
逆に言えば、隅々までリアルに、ありそうなことだけを積み重ねていく描写は、明日にでも身近なところで起こっても不思議はないという説得力がありましたが、それだけの印象です。
以下はネタバレです。不満点ばかりなので、見たくない人は読み飛ばしてください。
・刑事部長みたいな現場の指揮官の女性と、主人公との関係性があまりに希薄すぎる。その割にトラウマを克服したいみたいな裏テーマが隠されているように見えて、すこし欲求不満。
・主人公と逃亡犯との交流が、深まっていく何かが足りない。例えば、逃げようと思えば逃げられたのに犯人をかばって逃げそこなったとか、ふたりの絆が生まれるような何か。
・黒幕があくまで謎の存在のまま、映画の中から逃亡していったこと。捕まるなり、派手に死ぬなり何とかならなかったのか。
・主人公は、最後まで歩き続けるだけで、これと言った見せ場がない。
・爆弾犯人をだまして、市内を歩き続ける主人公を監視する映像を細工して、爆弾を処理してしまおうというアイデアが、あまりにも『スピード』に酷似していること。その『スピード』ですら、かつての『新幹線大爆破』の剽窃に過ぎないこと。
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