火の華

劇場公開日:

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解説

「JOINT」の監督・小島央大と主演・山本一賢が再タッグを組み、元自衛官の想像を絶する経験とその後の宿命を、実際の報道に着想を得てオリジナルストーリーで描いたドラマ。小島監督が企画・脚本・編集・音楽を手がけ、日本伝統の花火をモチーフに、「戦う」ということや平和の在り方、人間の本質を問いかける。

2016年、PKO(国連平和維持活動)のため南スーダンに派遣された自衛官・島田東介は、現地傭兵との銃撃戦に巻き込まれる。同期で親友の古川裕司が凶弾に倒れ、島田はやむを得ず少年兵を射殺。さらに退却の混乱のなかで隊長の伊藤忠典が行方不明になるが、この前代未聞の「戦闘」は政府によって隠蔽されてしまう。2年後の新潟。悪夢に悩まされる島田は闇の武器ビジネスに加担しながら、花火工場で働き始める。親方の藤井与一や職人仲間たち、与一の娘・昭子に支えられ、心の傷を少しずつ癒していく島田だったが、そんな彼に過去の闇が迫り……。

主人公・島田を山本一賢、島田を見守る昭子を柳ゆり菜、伊藤隊長を松角洋平、花火師の親方・与一を伊武雅刀が演じた。

2024年製作/124分/G/日本
配給:アニモプロデュース
劇場公開日:2024年12月

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
脚本
小島央大
山本一賢
企画
小島央大
山本一賢
エグゼクティブプロデューサー
成宏基
プロデューサー
キム・チャンバ
アソシエイトプロデューサー
前原美野里
撮影監督
岩渕隆斗
撮影
巻島雄輝
照明
渡邊大和
録音
加唐学
美術
原田恭明
ヘアメイク
橋本申二
キャラクタースーパーバイザー
橋本申二
衣装
YK.jr
視覚効果
大塚裕磨
カラリスト
亀井俊貴
音響効果
柿添真希
編集
小島央大
音楽
小島央大
制作担当
青木翔平
宣伝デザイン
成瀬慧
予告制作
谷口恒平
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フォトギャラリー

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映画レビュー

4.5パトレイバー2を思い出す。

2024年9月11日
iPhoneアプリから投稿

2016年、南スーダンにおける自衛隊のPKO活動において、
[非]戦闘地域で起きた、
いまだ記憶に新しい事件をモチーフとした本作は、

組織や国家の優先順位が、
個人を圧倒する現代社会における、
構造的な問題を鋭くえぐり出しつつ、

戦争の惨禍と人間の心の深淵を、
大空高く打ち上げる花火によって克明に描き出す。

特に、本作における、
事なかれ主義や有事における指揮系統の脆弱性といった、

組織的な問題意識は、「機動警察パトレイバー2 the movie」を想起させる。

自衛隊員が絶叫した「回避不能、リセット不能」というセリフ、、
を超えた叫びは、

個人の無力感と組織の非情さを際立たせ、
観客の心に深い傷跡を残した。

組織による隠蔽工作は、戦争の真実が闇に葬り去られ、
歴史の歪曲をもたらすという、
両作品に共通する暗黒面を浮き彫りにする。

「神がやらなければ、人がやる、いずれわかるさ」という「パト2」における後藤と荒川のセリフは、
未来への希望と同時に、
過去の過ちを繰り返さないための決意をも表明していたといえるだろう。

30年が経過した今、
本作は、このセリフが持つ意味を再考する契機となる。

海外ロケによる臨場感あふれる戦闘シーンは、
戦争の残酷な現実を容赦なく突きつけ、
観客の心に深い衝撃を与える。

本作の2024年12月の公開は、

1945年から80年という節目を迎える2025年を控え、

戦争の記憶を風化させないためのタイムリーな試みとも言える。

昨今、NHKの朝ドラにおける原爆裁判の扱いをはじめ、
さまざまな作品で歴史が問い直されている。

これは、私たちが歴史と向き合い、
次世代に継承すべきものと、

決して繰り返してはならないものを峻別しなければならないという時代的要請を反映しているのかもしれない。

【蛇足】
法被を着せる、
ハッピーを持ってくる、
半纏を着る、
気持ちが反転する。

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蛇足軒妖瀬布