火の華

劇場公開日:2025年10月31日

解説・あらすじ

「JOINT」の監督・小島央大と主演・山本一賢が再タッグを組み、元自衛官の想像を絶する経験とその後の宿命を、実際の報道に着想を得てオリジナルストーリーで描いたドラマ。小島監督が企画・脚本・編集・音楽を手がけ、日本伝統の花火をモチーフに、「戦う」ということや平和の在り方、人間の本質を問いかける。

2016年、PKO(国連平和維持活動)のため南スーダンに派遣された自衛官・島田東介は、現地傭兵との銃撃戦に巻き込まれる。同期で親友の古川裕司が凶弾に倒れ、島田はやむを得ず少年兵を射殺。さらに退却の混乱のなかで隊長の伊藤忠典が行方不明になるが、この前代未聞の「戦闘」は政府によって隠蔽されてしまう。2年後の新潟。悪夢に悩まされる島田は闇の武器ビジネスに加担しながら、花火工場で働き始める。親方の藤井与一や職人仲間たち、与一の娘・昭子に支えられ、心の傷を少しずつ癒していく島田だったが、そんな彼に過去の闇が迫り……。

主人公・島田を山本一賢、島田を見守る昭子を柳ゆり菜、伊藤隊長を松角洋平、花火師の親方・与一を伊武雅刀が演じた。

2024年製作/124分/G/日本
配給:アニモプロデュース
劇場公開日:2025年10月31日

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映画レビュー

4.0 危うさと美しさ、刺激と癒しを併せ持つ“劇薬映画”

2025年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

驚く

火薬の両極性に着目して物語に落とし込んだ脚本がまず秀逸。急速な燃焼によって大きなエネルギーを生む火薬は、銃や爆弾など戦争や殺傷のための武器に使われる一方、平和の祈りを込め人々を楽しませる花火にも利用されてきた。主人公の島田は、自衛官時代にPKO(国連平和維持活動)で派遣された南スーダンで銃撃戦に巻き込まれ自らも発砲する。退官して数年後、新潟の花火工場で花火職人の見習いとして働きはじめる。

PKOの派遣先で起きた戦闘とその後の防衛省・自衛隊の対応を描くパートは、2016年に報じられた「自衛隊日報問題」に着想を得たフィクションだ。日本現代史の重大な出来事のうち政府や大企業が関わる問題や不祥事を題材に、批判的視点を込めて描く社会派の力作が邦画には少ないと長らく嘆いてきたが、今年は「宝島」そしてこの「火の華」と、重要な意欲作が2本も公開されたことは喜ばしい。

長編2作目にして、国と自衛隊のあり方や対応について問題提起する意図も込めた強烈な映画を撮り劇場公開までこぎつけた小島央大監督の手腕に感服する。企画・脚本にも参加した主演・山本一賢の長躯が醸す存在感と、迷い、苦悩、意志を的確に伝える目と表情の演技が素晴らしい。これからも社会派の力作を世に出してくれることを大いに期待する。

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共感した! 8件)
高森郁哉

5.0 「弾を込める」か、「想いを込める」か。火薬の二面性と再生の物語

2025年12月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

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マルホランド

4.5 歴史の非-不可逆性に目の覚める思い

2025年12月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

斬新

「ポレポレ東中野」で『火の華』を鑑賞。たいへん見事な映画らった。

冒頭の南スーダンにおける戦闘シーンは韓国映画『高地戦』を彷彿とさせるリアルな緊張感に充ちていた。戦争トラウマにいったん沈むが、伊武雅刀演じる花火師の新潟方言(地域によって違うのだが)に新潟生まれの私は癒やされた。故郷のことばは、映画の中ではなかなか聞くことがないからな。雁木と消雪パイプの織りなす街並みに胸を締めつけられ、暮れなずむ日本海の美しさには、私は沿岸部出身ではないのだが、ちょっと涙が出た。

ところでこの作品、「南スーダンPKO日報問題」を題材としているはずだが、そちらはどうなったのか?と思いきや、私も何度も訪れたことがあり、思い出深い新発田の地に舞台が移ったそのとき、激流に飲み込まれて郷愁など感じる余裕が一切与えられない展開に。日本という国家が抱える病理を、あのような形で突きつけられるとは。

火術が日本にもたらされたのはあの種子島における鉄砲伝来のときである。江戸時代となると、太平の中で火術の用途は銃器から花火に移った。有名な長岡花火に代表されるように、花火には平和への祈りも込められている。が、銃器→花火という歴史の流れは、決して不可逆なものではない。そのことに思い至り、目の覚める思いだ。

映画的なわかりやすさに支えられた部分もあるが、それを乗り越えた強度をもつ作品。たまげました。「ポレポレ東中野」での上映は19日(金)までとか。ぜひ一見をオススメしたい映画らね。

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秋房

3.5 暗い

2025年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

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吉泉知彦