劇場版モノノ怪 第二章 火鼠のレビュー・感想・評価
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陰謀と情念渦巻く大奥は、モノノ怪だらけ
前作「唐傘」はプロローグという感じで、大奥の登場人物の紹介や背景、伏線に主題を置かれ、さほど面白くなかった。
今作は、配給も増え、前作が「静」なら「動」一気に物語が動き出す。
無遠慮に男子禁制の大奥に踏み込み、モノノ怪と対峙する薬売り。ファンとしてはたまらない。
ストーリーもわかりやすい。
そして、特筆すべきは、このシリーズの一コマ一コマの美しさ。
どのシーンもテクスチャを多用し、アートとして完成度も高い。それでいて、動きがあるから、一体どうやれば、こんな世界観を生み出すことができるのかと。
次作は「蛇神」
唐傘、火鼠と次々に物怪が現れるのは、情念が渦巻く大奥ならでは。
いよいよ、「御水様」の正体が解き明かされるのか。
ますます楽しみである。
薬屋物語
大奥っぽい
激しく動く細密画に快感。
サイコロステーキ
大衆ウケ分かりやすさ重視のエンタメ作品に昇華された。
深夜アニメの頃のオタク向けでえぐみのある内容とは異なり、初見でも見やすい解説とストーリー展開で万人ウケが狙えそうな大衆作品になった。
神谷浩史さんバージョンの薬売りは身のこなしが軽く、物語の先を見据えて微笑む様な気がした。
櫻井孝宏さんバージョンの薬売りは所作が丁寧で、情念を汲み取り憐れみをかける様が板についていた。
薬売りも異界にたくさんいると説明があったのでどちらも本物であるのだけど、やはり櫻井孝宏さんバージョンの薬売りの艶めかしさが恋しくなる時がある。
とは言え、今作ではキャラクターに合った見事な演技を神谷浩史さんが魅せてくれた。
滑舌が良く、抑揚を抑えた語り口ながら耳に残る声優さんの技術は本当に素晴らしい。
劇中のカット割りが襖の開閉で行われることも多く、極彩色や派手な柄がチカチカして構図が目まぐるしく変わる印象があった。
アクションシーンは見やすいカットだった。
あれだけの色と柄を組み合わせて配置するのは色彩設計の方の采配が見事にハマっていたと感じる。
ストーリーは読めてしまった。
誠と理を知るまでの謎解きの様な過程を楽しむ脚本のはずだが、最初からオチが見えてしまって意外性はなかった。
王道を歩くことは決して悪いことではなく、予想はしていても涙する場面ももちろんあった。
コンテンツが大きくなると色々な人や会社の思惑や利権が交差するが、三部作なので最後まで無事に劇場公開されて欲しい。
続きも劇場で観ようと思う。
The film has been refined into a mass-appeal entertainment piece, prioritizing accessibility for a broader audience. Unlike the late-night anime version, which catered to otaku with its darker and more intense themes, this adaptation offers clear explanations and a well-paced storyline, making it easy for newcomers to enjoy.
Hiroshi Kamiya’s version of the Medicine Seller moves lightly, with a subtle smile that suggests he foresees the story’s outcome.
On the other hand, Takahiro Sakurai’s portrayal had a more refined demeanor, carrying an air of compassion as he absorbed and acknowledged the emotions of those he encountered.
Since it was explained that multiple Medicine Sellers exist in different realms, both versions are authentic. Still, there are moments when I find myself yearning for the sultry allure of Sakurai’s performance.
That said, in this film, Hiroshi Kamiya delivered an outstanding performance that perfectly suited the character. His precise articulation and controlled yet resonant delivery showcased the true skill of a seasoned voice actor.
Many scene transitions were executed using sliding doors, and the vibrant colors and bold patterns often flickered across the screen, creating a dynamic and fast-paced visual experience. The action sequences, however, were well-framed and easy to follow. The way the color designer balanced such an intense palette and intricate patterns was truly remarkable.
The story was predictable. While the script was structured as a mystery, where the intrigue lay in uncovering “truth” and “reason,” the conclusion was apparent from the start, leaving little room for surprises. Still, following a classic narrative path isn’t necessarily a flaw—despite expecting certain moments, I still found myself moved to tears.
As a franchise grows, various interests and corporate influences inevitably intertwine, but since this is a trilogy, I sincerely hope all three films make it to theaters without issue.
I’ll definitely be watching the next installment in cinemas.
前作より分かりやすく直球に近い内容
唐傘は比喩的な表現が多くなかなかスッと入ってこない部分が多かったが、今作は割とストレートで分かりやすい。女性を中心にしつつ男社会の政治に振り回される理不尽さは多くの作品でテーマにしており目新しいものではないですが、素晴らしい作画と表現により陳腐さはありません。
ただ完全な続き物なので、そこだけ注意です。いきなり始まって導入部分みたいなのがないので、最初のほうが直ぐに頭が切り替わらなくて少々慌てました。(笑)
三部作の真ん中はだいたい詰まらなくなりがちなのですが、話を分離してキャラクターも分けたことでその心配もなくなっています。次はいよいよ完結編(?)。まだ正体の掴めないキャラクターたちがどう着地するのか楽しみです。
人を焼く情念
唐傘に比べて見易かった
前作唐傘は、モノノ怪の姿と真と理があまり明確ではない印象だったけど、今回は見やすかったし分かりやすかった。多分前作の難しさから身構えていたのもあるかもしれないけど、火鼠と続けてみることで、「大切にすべきものを大切にできなかった」という共通点があるんだろうなと思った。多分唐傘だけでは、大奥の話は理解しきれないと改めて思いました。
火鼠は、中盤くらいからだんだん理の予測がついてきて、フキの口パクで確信に至った。内容としては非常に悲しい話だった。そして、「こんな展開もあったよねー」的な考察入れた感想ですが、モノノ怪のキャラクターによっては、怨嗟はフキにも十分向いたと思うと、かなり綱渡りな話なんだなあと思いました。
それから、組織がいかに「個」を抑圧するのか、大奥は結局は男性社会のためにあるのだと知らされるし、組織の悪の部分が生々しく描かれていて、ゾクゾクきました。次回作も楽しみです。3本で終わらないような気もしています。大奥の全体像を早く知りたくなりました。
唐傘よりはわかりやすいけど、知識ゼロではさすがにしんどいので語句の予習はしておこう
2025.3.15 イオンシネマ京都桂川
2025年の日本映画(74分、G)
大奥に潜むモノノ怪を退治する薬売りを描くアクション映画
監督は中村健治
脚本は新六角
物語の舞台は、江戸時代の大奥
前作にて、モノノ怪・唐傘を打ち破った薬売り(神谷浩史)は、いまだに大奥に何かが潜んでいることを感じ取っていた
広敷番の坂下(細見大輔)は彼に目を配るものの、薬売りはそれを出し抜いて勝手に大奥に入ってしまう
大奥では、前回の騒動によって歌山家は年潰しとなり、新しい御年寄には大友ボタン(戸松遥)が抜擢された
ボタンは大奥のしきたりに従って、天子様(入野自由)の夜伽の相手は隔日に戻すように命を下す
天子様の寵愛を一心に受けていた時田フキ(日笠陽子)は納得がいかなかったが、御年寄の決定は天子様の決定でもあり逆らうことはできなかった
物語は、そんなフキが懐妊するところから動き出す
老中の大友(堀内賢雄)は「火種」だと感じ、奥医師の野間玄琢(佐藤せつじ)と坊主の長寿(斉藤貴美子)にあることを言い渡す
だが、その行動は、大奥に潜んでいたモノノ怪を呼び覚ましてしまうのである
映画は、大奥のパワーゲームの中でも家柄による争いがメインとなっていた
名家と町民の出の立場が逆転することを恐れた老中がフキの子どもをダメにしようとするのだが、モノノ怪の登場によってそれが阻まれてしまう
だが、モノノ怪の本意が読めない薬売りは、なかなか「理」までたどり着くことができない
ことの発端は20年前のこと、当時の御中臈だったスズ(杉山理穂)が大奥で焼け死んだという事件があった
今回も同様に火種に襲われた者どもは灰になるまで焼き尽くされるのだが、火種が襲うのはフキの子どもを殺そうとする者たちばかりだった
そして、薬売りは「20年前の行動に後悔を持っていたスズの本心」を知ることになり、ようやく理へとたどり着く
火鼠は大奥を守ろうとしていたことがわかるのだが、自然に派生していく展開を人の思惑で歪めてしまうことへの怒りがあったのだろう
また、そんな歪みを受け入れてしまったスズは自分を恥じて、それが繰り返し起こらないことを願っていたようにも思えた
本作は、3部作の中編のようで、次作は製作中となっている
前作の主人公級のアサ(黒沢ともよ)はほぼ登場せず、今回はフキとスズが主人公級となっていた
おそらくは、そのモノノ怪ごとに中心人物が変わると思われるので、続編ではしきたり通りに戻った夜伽によって生まれた子どもが関係するのかな、と思った
それが誰になるのかはわからないが、それは次作のお楽しみということで良いのではないだろうか
いずれにせよ、ある程度の大奥の知識が必要で、単語の予習も重要だと思う
言葉を知らないと音が漢字に変わらないので、それによってセリフの内容がわからないところがある
記憶によれば前作のパンフには語彙集があったと思うし、今作のパンフにはほぼ全員の人物相関図があるので、サクッと理解したい人はそれに目を通してから観ても良いのではないだろうか
三章も楽しみ
皆さんが書いてらっしゃる通り、前作よりシンプルですし、説明もあったので分かりやすかったと思います。
アクションもとても華やかです。オープニングも前回から引き続きかっこよかったです。
坂下様の掘り下げがあるとは思っていなかったので不意打ちでした。
彼も三十何年も大奥をみてきてるのだから、色んなことを見ただろうし、思い入れのある人だっていますよね、、、、
あと、若い頃はヤンチャしてたんだなとわかる描写が良かったです。
利権、出世欲、保身、様々な思惑と悪意が降りかかる中で、子を大切にしたい、守りたいという思いの温かさを確かに感じられるお話でした。
子を守れなかった後悔が形を変えて、モノノ怪になってもなお、ただ自分を責める続ける姿にただ涙が出ました。
呉服屋の娘であったフキにはきっと大奥の全てが敵に見えていたんだろうけど、最後はボタンとの関係が丸くおさまって良かったです。
嫌な奴らがみんな成敗されていったので私は満足です!スッキリ!
三章ではお水様や溝呂木家、天子様といった大奥の核心にいよいよ迫っていくのだろうと楽しみです。
注意:ネタバレあります。
前作唐傘とほぼほぼ起承転結の流れが同じであるため、モノノ怪の種類が唐傘から火鼠に変わっただけ?のように感じてしまい、これといった新鮮味がなく個人的には正直期待外れであった。(それだけ唐傘を観た時の衝撃が凄かったということなのだが)。また本作のメインの人物であるフキが女性視点からみると性格が野心が強いだけのイヤな女であり、反対勢力は皆モノノ怪とともに一掃されてしまい、結局この人の一人勝ちというのも残念だった。イケメンキャラ好き女子としては、溝呂木祭司や天子様、神儀さんあたりももっとフューチャーして欲しかったです。神儀さんが、モノノ怪をぶった斬るアクションシーンは相変わらず格好良く、このシーンは何回も見たいです。あとは怖い女性達が沢山出て来て、リアルではあり、ホラーとしての人体発火の描写も凄かったけれど何回も観たいという感じではなかった。(個人的感想です。)前作よりも本来の大奥らしく女性同士のどろどろした感情が強めに描かれていたように思うが、そういうのが観たかったのでは無く、前作以上の音と映像のサイケデリックな高揚感に浸りたかっただけなので、もともと求めていたものが違かったのかも知れない。次作でとうとう井戸の底に封印されているモノの正体が明かされるのか、早く続きが観たいです。
「複雑怪奇で初見殺し」→「シンプルかつ親切丁寧」
前作劇場版第一章ではとっつきづらい不明瞭な土台に、一見では分かりづらい複雑な謎、人物相関を構築してしまったおかげで、壮大で美麗な背景やら個性的なキャラの魅力が大幅にスポイルされてしまっていました。
つまり、間違いなく初見殺しでした。そこら辺は確かレビューでも酷評させていただいた記憶があります。
今回はうって変わって、門番やかしまし下級女中ら、前回ではモブキャラに成り下がっていた周辺キャラにも背景を持たせキチンと仕事をさせ、また、例えば薬売りのあの複数の「傾く弥次郎兵衛」についてまで丁寧に説明書きをつけるなど、とても親切丁寧なパッケージに!
宝剣発動の3要素も非常にシンプルで変なひねりが無いので愛憎関係素人の私(笑)でも共感できる内容で好感が持てました。
なんでもかんでもエヴァンゲリオンみたいに謎を深めりゃ作品として深みが出るわけでもないので、今作のこの改善点は高く評価したいと思います。
ただ、反面、前作の主要キャラが急に影が薄くなったり(居ましたか?)、第三章(最終章?)への布石がイマイチインパクトに欠けたりするのは、どうなんだろう・・・と思いました。
まあ、必ず第三章も鑑賞しますけど(笑)
では。
前作と比べわかりやすい
まず初めに、モノノ怪の映画は3部作で、本作は2作目なので火鼠から観るのはオススメしません。本作から観てもどのキャラがどの立ち位置なのか、大奥というものがどんな場所とされているのか、などがわからずストーリーが入ってこないと思います。
今回の映画の感想を真っ直ぐ言うなら、「わかりやすかった」です。前作があったために、独特な色彩やアニメとは違う薬売りに慣れ、その分ストーリーの理解がしやすい。前作のおかげで前知識が出来たためにこの女の人がどこの家かなどが頭に入りやすいです。
また、前作では真・理について考察要素が多々あり、わかりにくかったり複雑な部分がありましたが、今回は真・理もはっきりとしていてわかりやすく、終わり方もすっきりしています。
女同士の醜い争いなどが苦手な方もいらっしゃると思います。正直、私もそんな作品好きじゃないです。しかし、この作品は女性同士でネチネチと争うものの、当人達が重い立場やモノノ怪に遭遇することで成長するものでした。前作・唐傘で意地悪そうな顔をしていた女性達が、最後は凛とした表情で廊下を歩く。醜い争いをしていたのは体感30%以下でした。
次の3作品目への繋げ方も見事。直前に公式SNSで情報が解禁されたことを知っていたこともあり、「こうやって繋がるのか」と妙に納得しました。
雰囲気
ひたすらに絵が美しいが、前作を見ていないとついていけないかも。
前作の、唐傘を見ていたので火鼠を観ないわけにはいかなかった。
キャラクターや登場人物の説明がほぼないので前作を見ていない人には内容の把握は苦しいかも。
逆に唐傘を見ていた人にはとてもシンプルでわかりやすくなっていたと思う。
細部までびっしり描き込まれ、日本画の伊藤若冲(だいぶ違うが)のような圧倒的な濃密さと、モチーフが日本的なものにとどまらないデザインセンスは素人ながら素晴らしいと感じた。
火鼠の子供たちは実は、胎児を守っているのだと、気づくと、話が見えてくる。
ただストーリー展開よりも圧倒的な絵が、この一連の作品の素晴らしさの殆どを占めていると思う。
エンディングで水場の壁がいつの間にか大蛇に変わるのもお見事。
あの完全に平面で、濃淡や色味による遠近法のなさに慣れるのに年寄(私)はしばらく時間が必要ではあった。
前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作...
前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作っていること自体がまず偉業。「雨・落下・決別」を主題に、目くるめくメタファーに埋め尽くされた前作と打って変わって、ストーリーはシンプル。シリーズ発表時に予想した「大奥で繰り広げられる女の情念と権謀術数」というイメージに当てはまるのが、まさに本作である。権力に抑圧される女たち、という重い背景だが、薬売りに協力するかしましい女中たちや、門番のツンデレおじさんっぷりなどコメディ要素もあって、バランスが取れている。メインとなる2人の、対照的な女たちが、死地を経て、友情…とまではいかないが戦友めいた絆をはぐくむのは、前作のヒロイン2人とはまた違った趣で、良い(ギャルと委員長の歴史的和解、的な?)。テーマ上、前作よりも艶っぽいシーンは多いが、それ以上に薬売りの人外の魅力がフェティッシュなほど描かれていて感心する。欲を言えば次回最終作へのフックがもうちょっと欲しかったところ。描写を読み解く限りでは、国家の成り立ちに関わるような秘密と向き合うことになりそうだが…。
前作同様
旧モノノ怪に近い感じ。分かりやすく、余計なものがない
前回は完全オリジナルという感じがあり、旧モノノ怪からモノノ怪を知った私からしては疑問を抱くことも多くありました。
旧モノノ怪は形真理がすっきりと解決していく感じだったのですが、唐傘はお水様と唐傘が混在しており、演出に力を入れすぎて逆に目が痛く、言いたいことが伝わりませんでした。また、キャラクターも整理されていない様子がありました。
しかし今回の火鼠は旧モノノ怪に近い感じがありました。旧モノノ怪のように分かりやすく、言いたいことも伝わります。それに演出が前回に比べ控えめで、目も痛くなりません。人物関係もハッキリしており、お水様が介入していないため、ひとつのモノノ怪に集中出来ました。火鼠の怨念も唐傘に比べ汲み取りやすかったです。共感も出来ました。
その分、気になったのは構図です。やはり旧モノノ怪のような神構図や目の痛くならない演出のインパクトは薄いように感じました。
ここまで面白くなったので、次の蛇神にも期待できます!!
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