劇場公開日 2025年3月28日

「未知なる領域に踏み込んだ異色作」ベイビーガール 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5未知なる領域に踏み込んだ異色作

2025年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

誰もが羨むキャリア、社会的地位、愛に溢れた家庭生活。それらを全て手に入れ、誰もが「成功者」として疑うことのない主人公ロミーの人生だが、本作はそんな彼女が内に秘めた性癖を充足させてくれる人物と巡り合ったときに巻き起こる予測不能のシーソーゲームをスリリングに描き出す。会社のCEOとインターンとの間でこんな精神的な下克上が起こるなんて、昔の映画であれば『流されて・・・』を思い起こしたり、もしくは仕事上の性的関係の面で『ディスクロージャー』的な展開すら予測してしまうが、他でもない現代に解き放たれた本作は、ロミーの迷える行動、心理状況、意志の力を、新進気鋭の女性監督ならではの視点で包み隠さず描き尽くす。そのはるかに高いハードルを難なく超えてゆくキッドマンの果敢な演技には恐れ入るばかり。作品の好みは見る人によって分かれるだろうが、これまで描かれたことのない未知の領域に踏み込んだ作品としては評価したい。

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牛津厚信