「アメリカンドリームって到着点が大事」ブルータリスト ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカンドリームって到着点が大事
まずは、本作品はフィクションです。
勘違いさせそうな展開は評価します。
序曲、主人公の姪が尋問をされています。その後、主人公が逃げるシーン、バックでは妻の手紙が読まれています。
この始まりと上映時間215分に不安を抱えながら観賞。
第1章
主人公がアメリカに到着したところからの始まりです。
注目すべきは高らかなファンファーレと逆さまに映した自由の女神。
新たなスタートに対する皮肉のようなシーンです。アメリカで成功した親戚をたより家具屋で世話になる主人公。ここからサクセスストーリーの始まりと思ったら、まさかの裏切りで宿無しになります。すると新たな光が届きます。主人公が著名な建築家とわかり、住まいどころか、妻と姪までアメリカに移住できることになります。
第2章
実業家から多目的なコミュニティーセンターの建築を任されます。しかしここでも様々な困難が発生し、遂には中止にまでいたりますが、完成することになります。
1947年から1980年を描いていますが、この長さの割には物足りないむしろカットしたな?と思う事があります。いきなり年数がとんだり、肝心の建築の様子も柱が立っていたと思ったら次は完成間近となっています。
異国の芸術性は憧れるが合理性にかけると金は出さない。
ユダヤ教よりキリスト教。
新参者はしゃしゃりでない。
屈辱されても受け入れろ。
アメリカドリームを求めたけど散々な旅路でした。
エピローグで、「大切なのは旅路ではなく到達点が大事」と語られます。
主人公の人生は救われたと思わせるラストだったのではと思いました。
215分 動画配信やDVDで鑑賞するにはかなりの体力が必要です。劇場で監禁されて観ることをお薦めします。