ザ・ルーム・ネクスト・ドアのレビュー・感想・評価
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洒落ていて濃厚
毎度ながら、アルモドバル作品の内容は、全く自分とは違う設定、なのに滅茶苦茶心に響いてしなう、という相変わらず素晴らしい作品をじっくり堪能。
しゃれた映像は、いっそう隅々まで気を配られていた印象で、ビジュアルのセンスの良さだけでも素晴らしい作品だと思います。
そしてこの重々しい内容。世相も十分反映されていて、すべてが前進に染み渡ってくるような映画でした。
とはいえ静けさが際立つ内容だったので、多少の気合いは要るのかもしれません。退屈だということもあるでしょう。ほぼ成功者しか出てきませんし、いけ好かない雰囲気もあると思うので─。ジュリアン・ムーア、ティルダ・ウィンストンというコンビもどうかなぁなんて、失礼ながら勝手に危惧していたんですが、まさにその2人!と思わせてくれるだけのパワーを感じます。まぁそれも勝手な解釈でしかないのですが─。それだけ素晴らしさを感じた作品だったということです。
安楽死、尊厳死を取り上げた映画ですが、課題も見えて参考になりました。
子宮頸がんステージ3で闘病していたマーサは、かつての親友イングリッドと再会。
安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、“その日”が来る時にはイングリッドに隣の部屋にいてほしいと頼む。
悩んだ末にマーサの最期に寄り添うことを決めたイングリッドにマーサは「毎日ドアを開けて寝るけれど、もしドアが閉まっていたら私はもうこの世にはいない」と告げる。
そして、イングリッドが友人とのランチから帰ると、マーサの部屋のドアが閉まっていた。
ドアを開けるとマーサは部屋におらず、森の見えるお気に入りの椅子で命を絶っていた。
私も終活してて安楽死、尊厳死には肯定しているが、やはり課題もあることが分かりました。
観られる方は覚悟して観て下さい。
死という誰にとっても受け入れがたく避けられないものに対する向き合い方
母と娘というアルモドバル馴染みの題材 ✕ 2人の名優 = 英語で綴られる尊厳死を扱ったドラマ。彼らしい語り口と題材、色彩感覚に一瞬にして誰の作品を観ているのかわかる。戦場記者だった彼女が言う、死との闘い。まるでそれが善と悪の戦いであるかのように。一方で、死を恐れているイングリッド。決して自死を肯定的に描いているわけでなく、病(癌)という目前に迫って避けられない重病を前にして、自分の人生を支配するのか。気候変動などあらゆることが予測不可能に、暗いニュースが飛び交う世界で、死のあり方すら多様性。すべては己の受け止め次第。生者にも死者にも雪は降り続く、死との対峙。
P.S. またしてもスマホ怪獣の外国人が隣の席
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