ECMレコード サウンズ&サイレンスのレビュー・感想・評価
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天井の高い石造りで録ったことのないエンジニアは今すぐ欧州に行こう
日本のテレビ番組(だけじゃないけど)における生楽器の録られ方が結構ひどい。
バイオリンだろうがサックスだろうがピアノだろうが風呂屋でカラオケかってほどのリバーブかけちゃう。ローパスもモケモケ。ハイパスもグギグギ。完全に生音と別物レベルまで改造しちゃう。
だからトークやリハの映像と本番演奏では楽器の音が全然違う。
最大の問題点は演奏してる本人たちがオーディオ的感覚に疎くて(←最大限気を使った言い回し)、自分の演奏が整形+厚化粧になっちゃってるのに気が付かないことが多い、というところだったりもする。「どうせPTのコンプレッサーでしょ」とか演奏者が言ってるのってあんまし聞かない。
ドゥダメルのドキュメンタリー映画「ビバ!マエストロ」はリハも本番も同じ音だった。そりゃそうだ。「ですよね」と思っていたらサウンドがデューン(ヴィルヌーブ)やった人だった。
各オケの音の違いがエンハンスなしでわかる。
……みたいな常識的なサウンドで音楽を楽しみたい人々のための映画。
言語に男性女性の性別のあるラテン語派生言語の人々の美やら芸術やらにかける意識は元々神との関係性の上にあるんだろうが、人間の話し言葉にも響きを求めるような音と関わる生活はまず静寂を求める。
キース・ジャレットのピアノで始まるこのドキュメンタリーは昨今の「クラシック音楽のレコーディング」にも一石を投じてないだろうか。投じてくれよ。聴衆もおかしいんだよ。デジタル過ぎておかしくなっちゃった聴衆にも見てほしいドキュメンタリーである。
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