「人生を学ぶ人間と守護神犬の傑作物語!」少年と犬 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
人生を学ぶ人間と守護神犬の傑作物語!
皆さんのレビューを拝見すると、評価がかなり低いので観るのを迷っていましたが、観終わったら見事な傑作と大拍手を送りたい気持ちになりました。確かに設定として窃盗、殺人、デリヘル、幽霊が出てきますから、違和感を感じる人は一定数いたかもしれません。それでもそれを上回る宝物が作品の中にたくさんありました。主演の高橋は、東北震災後、仙台で窃盗団の運転手として犯罪を犯し道を外しますが、犬の多聞(名前の由来は仏法を多く聞いてより正しい生き方をしていくことだと思います)との出会いによって、人生を学び直し成長して行きます。多聞はやがて滋賀県に現れますが、そこで出会うのが西野(いい女優になりました!)です。彼女も男運の悪さから道を外れて行きますが、多聞や高橋に出会ったことから、いろいろなことを学び成長して行きます。西野(デリヘルと殺人の宿命)が妹の結婚式で嫌な思いをしますが、高橋とヘビローテーションを歌ったシーン、何故か弾けるような感覚を味わったのは私だけではないと思います。そして高橋が幽霊になり、多聞をサポートしての旅を続けて熊本まで行きますが、私は全く違和感がありませんでした(ただ高橋が死ななくても良いのに涙)。思いを果たした多聞も少年との楽しい穏やかな生活を過ごしましたが、クライマックスは熊本の震災で少年を守って死ぬことになります(辛いです)。思うに、犬は飼い主や縁の深い人間を選んで生まれてきて、飼い主や縁の深い人間に対しては強い愛情を常に抱き続けます。悲しいこともたくさんありましたが、多聞の犬生は最高に幸せだったと信じます。
追記 多聞が亡くなる時、静かに目を閉じました。私の愛犬の最後も静かに目を閉じたことを思い出して泣いてしまいました涙。