「多聞はあくまでも狂言回し」少年と犬 邦画好きさんの映画レビュー(感想・評価)
多聞はあくまでも狂言回し
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長年映画を見てきた私の持論として、「映像化されたものを見て面白いと感じたものは原作を読んでもおもしろい」「原作を読んで面白く感じたものの映像化は期待を裏切られることが多い」です。多くの人が感じてらっしゃるとは思いますが。
この「少年と犬」は私にとっては後者でした。もちろん原作と映像化されたものは全くの別物だという認識はありますが、原作では「幽霊」も「出所女囚の思い出語り」もありません。もちろん彼と彼女の出会いもありません。そういう意味では全く違う印象を受けました。
ただ、原作では「多聞」は狂言回しであり、多聞と出会った人が人生が変わるということはなく、多聞が出会う人達は「死」をむかえ、そして多聞はまた旅を続けるというものでした。嫌な言い方をすれば多聞こそが「疫病犬」であった感じは否めませんでした。もちろん多聞になんの否もありませんが。
原作のように
「男と犬」 - 東日本大震災で被災した宮城県仙台市を舞台に、窃盗団に手を貸す和正と多聞が出会う。
「泥棒と犬」 - 窃盗団の一員であるミゲルが、多聞とともに新潟県に向けて逃走する。
「夫婦と犬」 - 富山県に住む中山夫婦が多聞を拾う。
「娼婦と犬」 - 滋賀県で娼婦の美羽が多聞を拾う。
「老人と犬」 - 島根県で猟師を営む弥一が多聞を拾う。
「少年と犬」 - 熊本県に住む内村が多聞を拾い、家族で飼うことを決める。
と、一つ一つのエピソードとして描いても良かったかな。
なお「多聞」とは仏教用語で “正しい教えを多く聞き、それを心にとどめること。” だそうです。
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