野生の島のロズのレビュー・感想・評価
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様々なメッセージを伝えてくれる良質な作品
無人島に漂着してしまったアシストロボットのロズが、島の動物たちとの交流を経て、プログラムを越えた感情を手に入れる。あらすじだけ聞くと、ロボットが心を持つという展開は、王道と言えば王道だし、珍しい話ではない。
けれどこの作品は、そこに至るまでの過程と描写がめちゃくちゃ良い。
ロズや周りの動物たちの変化や成長が、とてもとても丁寧に描かれている。なので雑念が入らず最後まで没頭して見ることができた。
また単純に心が芽生えるだけではなくて、他にも様々なメッセージを感じられたのも良かった。
弱肉強食で生きる動物たちと、冬を乗り越える際に語りかけたロズの言葉は、今の世界情勢へのメッセージにも聞こえたし、正解が無いものへ挑んでいくロズの姿は、これから新しいことにチャレンジする人の背中を押してくれる。
島で嫌われ者のチャッカリ、化け物と恐れられるロズ、身体が小さく仲間はずれにされたキラリ、そんなはみ出し者の3人が成長する姿は、今孤独だと思っている人たちに希望を与えてくれるだろう。
そんなたくさんのキラキラとしたメッセージを彼らからもらって、最後は涙が自然と溢れ、胸がいっぱいになる素敵な作品だった。
「ノアの箱船」という命題
印象として、様々な命題に答えを出そうとする、そんな映画だったと思う。愛とは何か、親の務めを果たすには、どうして眠れない子供は愛のあるお伽話を求めるのか。このお伽話のくだりがとても面白かった。もちろん、この映画の語りは一つの答えでしか無いのかもしれないけれど。そんな幾多の問題をロボットというゼロ視点から見つめる、そういう映画であったと思います。
特に寒波が島を襲うエピソード。あれのテーマはやはり「ノアの箱舟」なんでしょうか。正直、聖書の「ノアの箱舟」の話はフィクションでしかないと思うので、あれは「教え」ではなく「命題」なんじゃないかと思います。つまり、「お互い争い合う仲間同士、災難をどう乗り越えるのか」。映画の寒波同様、聖書で語られる神の粛正の大洪水にノアが箱舟を作って動物達を集めたけれど、この映画と同様に大混乱が起こったとも想像出来る。じゃあ、どうするのか。互いに争い合わず、一時休戦するしかない、というのが、この映画で出された答えではないかな、と。あるいは、今も地球上で相争い合う我々に突きつけられた命題とも云えるのかも。
ともあれ、そんな堅苦しい話は抜きに、CGアニメ映画として非常に愉快で面白かったです。ロボットの挙動に日本のディズニーCGアニメ「Fireball」を彷彿とさせるけど、同じスタッフが加わったりしたのかな。発想を裏切る体幹の挙動は、2足歩行の効率化を極めた結果なんだろうか。手首が離れて動き回るのは「アダムス・ファミリー」の発想だけど、気味悪さはなく、可愛らしくも面白い。動きも良いけど、チャッカリの演技もずる賢くも面白く、そして友情に熱い。
ロボットの成長ぶりも面白い。途中、同じく遭難したロボットの残骸との比較で成長ぶりが図られるのは良いシーンでした。でも、終盤で登場したメンテナンスのロボット?って、なんであんなにイヤらしく機械学習されてるんだろうw
挿入歌が好きです。「空にキスできるかもしれない」という一句にシビれた。無数の雁と一緒に両腕を広げて羽ばたいて見せるロボットの姿にジンときた。短めの上映時間の中、胸に来るシーンが無数にある。子供向けアニメに見せて充実した内容だったと私は想います。
人の存在が希薄な世界で
ロボットに魂や心は宿るのかという、SFの古典的な問いを、動物たちとの絆の中に描いたのが新鮮だった。人に奉仕するために作られたロボットが野性の島に不時着して渡り鳥の子どもを世話をする。そうしていく中で、ロボットのロズはプログラム以上の何かを獲得していく。このプロセスが疑似親子の絆ものとして、とてもよく練られていて、率直に言って泣ける。物語の構成としては、通常なら鳥が一人前になり、島を渡っていく別れがクライマックスになるところ、本作はそこをプロットポイントにして、さらなる展開を加えているのが見事。
人間は、ここではそうしたロボットの逸脱を許さない存在として登場する。非人間の動物たちと非人間のロボットが絆を育み、人は限られた場所でしか生きられなくなっている。ポストアポカリプスものとして、人間以降の時代に想いを馳せている点もユニークだった。
ルックもすごく美しい。イラストルックも取り入れたCG作品は、アメリカでも主流になりつつあるようだが、本作はその中でもとりわけ美しい背景が魅力的だし、画面がすっきりしていて見やすかった。
野生×最新鋭ロボットという物語の設定に斬新さがあり、それを表現した作画のテンポや動きも良い秀作。
本作はベースとなる、大自然に覆われた無人島と最新鋭のロボットという組合せが斬新で面白く、児童文学書の映像化は正しい判断でしょう。
そして、それを表現した作画は「ロズ」と「動物たち」のテンポや動きが絶妙で、特に前半の満足度は非常に高かったです。
ただ、中盤から後半にかけて「ロズ」と「キラリ」などのテーマに移ると、前半の斬新さを踏まえると普通になっていき、前半の面白さを維持できず、やや失速した感もあります。
とは言え、それだけ作品のつかみがしっかりしている妙とも言え、アカデミー賞の長編アニメーション部門ノミネートは納得の「質の高い、見るべきアニメーション映画」の1作であるのは間違いないと思います。
作者からのメッセージ
動物たちが生きていくために、備わっているプログラム(本能)に抗うというシーンは凄く印象的だった。人間のために作られた人工のロボットが、野生動物と接し野生のロボットとなる。そしてプログラムに抗う思考を身につける。これは、生きていくためには変わっていかないといけないという、作者からのメッセージだと受け取った。
素晴らしい映像と音楽、是非映画館で!
ここのところ大活躍の河合優実さんの作品を鑑賞してきて彼女の演技の素晴らしさを実感しながら、しかし作品のテーマの重さに気持ちを押し潰されてましたが、今日この作品の鑑賞でやわらかい気持ちになれました。
もともと綾瀬はるかさんのファンということもあるのですが、彼女が吹き替えたロズがだんだん感情を持ち始め、キラリとの心のつながりや動物たちが協力し合う姿には心洗われました。それにもまして非常に美しい映像と音楽に、それだけでも観てよかったと感じる作品でした。
それほど斬新なストーリー・展開ではないのですがゆったりと暖かい気持ちになれる素敵な映画だと思いました。正直綾瀬はるかさんが吹き替えたこと以外はあまり興味を持ってなくて割とノーマーク状態、今日も定時後自分の都合だけで時間のロスなく観られる作品という理由で選んだのですが、大正解でした。
心のデトックスになったいい時間でした!
子供も大人も号泣
子供に観たいとせがまれており、いよいよ上映が終わりそうなので、さして気乗りしないまま慌てて鑑賞してきました。
前情報を一切入れずに観たのですが、ロボットが子育て(鳥のヒナですが)をする話だとは知らず。
幼児期、思春期、さらにその先の親離れまで描いており、中盤ですでに涙腺崩壊の大号泣。
こんなの、子育て中の親なら絶対に泣いちゃいますよ。
心がないはずのロボットが子育てを通じて心の在り方、ひいては命の尊さを学び、他者(この映画では野生動物)の命をも尊ぶようになる、というのが大きなテーマだと私はとらえました。
他にも、多様性を認めあう、自分の限界に挑戦する、というのもあったかな。
多様性の部分ですが、私にはロズのロボットらしい異質なキャラクターに発達障害(高機能自閉症)的なものを投影しながら観ていたのですが、観る人によっては移民や人種差別問題におきかえられるかもしれません。
テーマだけ取り出せば映画版のドラえもんにありそうな話ですが、人間が一切登場せず、野生動物とロボットというのが目新しかったです。
あとはとにかく、映像と音楽が素晴らしかったので、映画館の大画面で観て本当によかった。
文科省選定映画にしてほしかったです。
動物たちはなぜ戦ったのか
人間に奉仕するために作られたロボット「ロズ」と、最初に見た動く者を親として認識する「刷り込み」の習性のせいでロボットを親として認識してしまった雁の雛、「キラリ」のお話です。
本来ロボットには性別も感情もないはずですが、このロボットはだんだん「母性」に目覚めてしまいます。声が綾瀬はるかさんですので、まるで『義母と娘のブルース』ロボット版です。献身的な母親ロボットの姿に涙を誘われます。成長したキラリは母ロボットの元を離れ、群れの一員として渡りに参加し飛び立っていきます。
前半は「母性」の物語です。キラリが孤児になった理由を誤魔化すために、物語の力が使われました。
寒い冬がやって来ます。ロズはボロボロになりながらも島中の動物たちを温かい家の中へと引きずり込みます。動物たちが凍死するのを防ぐための献身的な働きです。動物たちが異質なロズを「自分たちの守り神」のような存在として受け入れる重要な場面です。ただし、ホントの野生の動物達は越冬能力がありますのでこんな努力は全く不必要であり、非常に作為的なシーンです。
雁の群れのリーダーであるクビナガはリーダーの座をキラリに譲ります。悪いロボットの銃口がキラリを狙うと、キラリを守るために自分から銃口に身をさらし討ち死にします。小柄なキラリを「変わっている」という理由で次期リーダーに抜擢したのも、そのキラリを守るために命を捨てたのも、全く作為的です。
ロズを回収するために島にやって来たロボット軍団を相手に、動物たちは一致団結して戦います。なぜ彼らは命の危険も顧みずに戦ったのでしょうか。大切な存在であるロズを敵の手から守るために動物たちは自己犠牲も厭いません。
輸送船に捕らわれたロズを助けるために、キラリと仲間の雁たちは大挙して輸送船に襲いかかります。なぜ彼らは命の危険も顧みずに戦ったのでしょうか。リーダーのキラリの指示に盲目的に従ったのでしょう。なぜだか小さな雁たちが零戦のように見えてしまいました。
後半は「自己犠牲」の物語です。自由で自分勝手で自己本位的だった動物たちは、いつの間にか勇敢で自己犠牲を厭わない盲目的な戦士の集団に変質してしまいました。
一体本作はなんの話で、テーマは何だったのでしょうか。
映画のタイトルは「野生の島のロズ」、原作小説は「The Wild Robot」ですが、本作は野生もロボットも描いていません。動物もロボットも感情を持ち、言葉でコミュニケーションを取り、火を使い、物語を語り合います。見た目は違いますが、これは明らかに人間の話であるのが分かります。
島の動物たちは、前近代の人間の部族社会のメタファーでしょう。動物たちは死にますがロズは永久に死にません。彼らにとってロズは「神様」となり、神様と仲間を守るために彼らは侵略者に対して勇敢に戦いを挑み、戦争が起こりました。
鑑賞中、本作の映像、音楽、声、物語に激しく情動を刺激され、何度も涙を拭いました。今こうして冷静に振り返ってみると、涙の理由は「献身的な母性」と「集団のために死をも厭わない自己犠牲」の2つの要素にあり、われわれ人類はこの2つに極めて弱いことが分かります。
この映画を「人間の情動を刺激するための壮大な実験」として見ると、大成功なのではないでしょうか。映画や物語の天才の手にかかると、凡人に涙を流させることも自己犠牲を払わせることも、容易いことなのかも知れません。
ホモ・サピエンスである私たちは「物語、フィクション、虚構、嘘」を駆使することで絆を深め合い、集団を維持し、敵と戦って来ました。そんなことをするのはホモ・サピエンスだけであり、種が絶滅するまでそれは変わらないのでしょう。
飛行機で
王道にして、新鮮な切り口
この手の作品にハズレなし
自分なりに感じた、この作品のメッセージ
この映画は、単なるロボットの成長譚ではなく、ロボットと動物たちが互いに学び合いながら成長していく話だ。
人を助けるために作られたロボット・ロズは優しさの象徴として描かれ、一方で、動物たちは生きるために狡猾であり、時には他の生き物を犠牲にする厳しい現実を象徴している。
動物たちはロズから支え合うことの大切さを学び、ロズは動物たちから生き抜くための知恵や、ときには嘘をつくこと、敵との戦い方を学んでいく。
原題は「The Wild Robot」であるが、ロズが野生を学ぶのと同時に、動物たちも優しさによって生き抜く方法をロズから学んでいく。
最も印象に残ったのは、キツネのフィンクがロズを引き留めようとするシーンだ。
彼の「Who what if I need to tell you something, and you're not here?(もし伝えたいことがあるのに君がいなかったら?)」という、今にも泣き出しそうな彼らしくない台詞から、彼がロズをどれだけ大切に想っているかが痛いほど伝わってくる。
この場面の、行かないで欲しいという、すがるような気持ちが伝わる演技は見事という他ない。
アクションシーンの演出も素晴らしく、さすがドリームワークスといった仕上がりだった。
アニメーションならではのダイナミックな動きが心地よく、特に『バッドガイズ』や『ペンギンズ』が好きな人にはたまらないだろう。
この作品では人間がほとんど登場せず、森の中で物語が進む前半では、これが未来の話なのか、どれほどファンタジー要素がある世界なのかもよく分からない。
中盤、ゴールデンゲートブリッジが海に沈んでいる一瞬の映像が、この世界が遠い未来であり、環境破壊が進んだ地球であることを暗示している。
ただのファンタジーではなく、現実と地続きの未来かもしれない——長々とした説明ではなく、一瞬の情景で想像力を掻き立てる演出も見事だった。
人間臭くていじらしい
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お手伝いロボのロズ。配送中に事故で孤島に流れ着く。
当然、主人も見つからないし、何も仕事を与えられない。
で迷走するうち高所から落下、雁の一家を殺してしまう。
唯一無事だった卵からキラリが孵り、母と思われる。
別の動物の進言で、キラリの教育を仕事と認識するロズ。
嫌われ者の狐も成り行き上これを手伝ってくれて、
体が小さかったキラリは何とか飛べるようになった。
雁の群れからは異端として相手にされなかったが、
雁のボスが仲間に入れてくれて、越冬のため旅立つ。
その途中で偶然、ロズの生まれた島の工場で休憩する。
でも侵入者としてロズの同型ロボから激しい攻撃を受ける。
ボスはキラリに位を譲り、自らオトリとなって死亡。
キラリは群れを無事に導き、リーダーとして認められる。
一方、島では異常に厳しい冬が来て動物が全滅しかけてた。
それをロズが救い、暖かい部屋に火を焚いて迎え入れる。
こうしてロズも島の動物達から受け入れられる。
やがてキラリが帰還した。
同じ頃、ロズの場所を見つけた会社が回収に来る。
かなり強引な手段で攻撃的な回収だった。
動物達は命がけで戦い、ロズは助け出される。
でも会社が再度来ることは間違いない。
島の動物の安全のため、ロズは自ら回収される。
記憶は消されることになるが、心は消えないと誓った。
そして翌年、キラリがまた工場を訪れると、ロズがいた。
やはり心は失っておらず、感動の再会となった。
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子供用作品かも?と危惧してたけど、見に行って良かった。
中盤まで、ロズが子育てとかしてる頃は割と退屈した。
でも最後の方は感動して涙が止まらんかった。
ドラえもん映画でもいつも思うことやが、
やはり強大な敵が現れ、みんなが力を合わせて立ち向かう、
そういうシーンになって来ると、やっぱり感動するんよな。
人間にせよ動物にせよ遺伝子は利己的なものやから、
他人のためにそこまで尽くすなんて現実にはないけどな。
心の濁った大人ほど、馬鹿げてると感じるだろう。
でもそういう子供だましなら、おれは歓迎やな。
そもそも心なんてないはずのロボットだけに、
愛のある行動がいじらしい、そんな感覚やったな。
ロズってなんか聞き覚えのある声やなと思ってたが、
綾瀬はるかやなって途中で分かったわ。
そうなってからは、ロズが綾瀬にしか見えんくなった。
だから心がないようには到底見えんくなったのもあるw
美しい映像で、ストーリーも感動
始めは動物達から怪物扱いされていたロボット・ロズが、ひょんなことか...
ロボットが致命的にかわいくない
あんまり面白くなかった。
そもそもこのロボットに愛着がわかなかった。
デカくてゴツい。動き方も不気味。母親らしさをみじんにも感じない。
息子の鳥もアホみたいだった。観ているこっちがアホになりそう。
親もアホだからもう訳がわからない。
さらにはこの親もどき、息子という名の鳥の兄弟姉妹たちを卵から潰して抹殺しているのである。
息子たちが卵の時に、巣を潰してしまい潰れなかった一つを育てたという状況。
いっそのこともう潰してよくね?
そこで潰してしまえばこんなストーリーなんてできなかったのに。
正しい子育て正しい愛情
吹替版を観ましたが、ロズの声が綾瀬はるかなので、どうも「ぎぼむす」で脳内変換されてしまい。
亜希子さん、自身の感情を出すのが苦手で、忠実に「仕事」をする優秀なロボットみたいだが、血の繋がらない我が子に「正しい」愛を注ぎ続けて母性と愛情を獲得したように、ロズも心配性で親バカな母親になった。
「正しい」というのは、親の仕事というのは本来、子供が厳しい世の中で生存していけるように生き抜く術を教え込むことで、それが親の愛といわれるものでは。
人間の親は、食わせて世話を焼くことは重視するが、「生き抜くすべを教える」はおろそかにしがちなよう。学歴つけるのも生き抜く術のひとつかもだが、良い学校に入ったところでそれだけが目的だと人生生き抜けません。少なくとも私の周囲では、母親が子供にべったりの過保護、または甘やかし放題が結構いる。特に男の子を持つ母親。そして、そういう家庭って、母のワンオペ育児で、父の影が薄いことが多いです。
そういうのは、本当に我が子のことを思っているのではなく、自分を満足させるための育児になっちゃってるからなんだろうと思っています。子供への愛ではなく、自己愛でしょう。
ロボットは目的を設定してそこに邁進するので邪念が入らなず、むしろ正しいことができる。但し、相手はイキモノなので、過程は試行錯誤、その場その場の臨機応変の対応のみ。それが上手く行ったら成功体験、でも、いつもそうとは限らない。学習を繰り返すうちに負荷が掛かりすぎてバグってしまい、それが「感情」のようなもの=母性や愛情、になって育つのではないでしょうか。(同様に、女性も生まれながらに母性を持っているわけではないのです。)
息子を社会デビューさせるのは必要と思いながらもつい、心配で手出し口出ししてしまう母と、いわゆる反抗期の息子、キラリが反抗期をちゃんと迎えたのは、ロズは良い子育てをしてきた証拠では。さらに成長した息子は、母の愛を理解して戻って来ましたよね。
また、野生の厳しさがそのまま、さらっと描かれており、弱肉強食、食物連鎖は当然で、ピンクシッポ母が話をしている間に7人いた子供が6人になっていたり、体が小さいキラリは本来生き延びられないはず、と平然と周囲に言われ続けて、渡りに耐えられなければ命を落とすだけという現実が迫っていたり。寒さから逃れるためにひとつ屋根の下にイキモノを集めたら、狩るものと狩られるものが同居することになり死に物狂いの騒動になった、まで描いて、話し合いで一時休戦にする、というのはギリギリ許せる作り事だったよう。
前半は子育て話だが、それでは終わらず、後半はヒト(文明?)との戦いパートになる。
人類の文明批判をしているように見えるが、さほど強くない。そして野生との安易な対立構造にしていない。島にやってきた宇宙船の目的はロズの回収で、侵略のためでも殲滅のためでもなく、回収できればそれで去る、両者はお互い接点は最小限、干渉せず共存しているよう。
ヒトが築いた文明も基本的に野生と同様に「自然の成り行き」と受け入れて、そこそこ共存しているのが新しいと思う。
伏線が撒かれていてきれいに回収されるのが気持ちが良い。
ユニバーサル傘下になっていたのか、なドリームワークスは、相変わらず黒めの笑いがふんだんで楽しい。
CGの立体感を持った「絵」のアニメーションが新鮮、もふもふ感がある‼️で、背景が綺麗。
動物たちの動きがそれぞれそれらしく誇張されて可愛いくて面白かった。
ラスト、ロズは素知らぬ顔で回路の奥底に隠してあるものを大事に持っており、そのために「汚染」が紛れても知らん顔できるロボットらしからぬものになっていて、キラリと再会を喜びあうのにうるっときました。
でも、2001年のHALみたいなことも過去にはあったよね、とちょっと恐ろしかったり。
自分を「超えていく」物語。
老若男女誰でも楽しめる映画である。ロズとキラリの(疑似母子)愛情物語に感動するのも大切であるし、ユーモラスな弱肉強食の動物世界を楽しむこともできる。プログラムされたことしかしないロボットが、動物しかいない世界に放り込まれて悪戦苦闘しながら自分の役割を果たしていくのも面白い。文明を進化させた人間と本能のままに生きる野生の動物とどちらが幸せなのかという事も考えさせられる。人によっていろんな楽しみ方ができる奥深い作品になっていると言えるかもしれない。
ロボットが感情を持つという話はよくあるが、普通は人間とロボットの間に成立する話である。この映画は、野生の動物とロボットとの交流の話である点が重要なポイントになっている。本来あり得ないことが起きているという意味で「ファンタジー映画」と呼ぶことができるだろう。ロボットが感情を持つという事と、動物が感情豊かで話すこともできるという事で、二重のファンタジーになっている。冒頭からこの巧みな想像の世界に引き込まれてなぜかしら心が動かされる。人間の話ならよくあることかもしれないが、ロボットと野生の動物の話であることが、返って真実味を感じさせる効果があるのかもしれない。
この映画の魅力の中心にあるのは、登場人物(人ではないが)が自分を超えていく所にある。ロズは、命令されて「仕事」をするプログラムを超えて、相手のためを思って寄り添う「心」を育てていく。キラリやチャッカリは、孤独感を超えてリーダー的な役割を果たす。他の動物たちも、狩るものと狩られるものとの本能を超えて、一致団結を示す。知らず知らず、何かしら勇気づけられるものをもらうことができる作品になりました。
優しい世界
子供に観たいと言われたので鑑賞。
めちゃくちゃ良かった…。
子供向けだと思ったらとんでもない。とても優しい作品でした。
ていうか、冒頭の動物の言葉をプログラミングしているところが地味にかわいい。
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