「久々の韓国映画の大ハズレ」破墓 パミョ 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)
久々の韓国映画の大ハズレ
年に数本の韓国映画を見ているだろうか。
アクション、ドラマ、歴史ものなどなど…。いずれも完成度が高く、特にアクションものなどは日本映画よりずっといい、と思うことが多い。
本作も、韓国で大ヒットした、と聞いて久々に映画館で韓国映画を鑑賞した。
私の場合、毎度見る映画は、新聞の金曜日夕刊(東京で夕刊のない産経は金曜朝刊)の映画評をちらり、と読んだ程度で決めている。
ネットで映画の内容を深掘りすることはせず、事前の知識はほとんど入れないままスクリーンに向き合うようにしている。
本作は、上記のとおり韓国で人気作になったという点と、主演のチェ・ミンシクが日本の漫画が原作の「オールド・ボーイ」(2003年)で鮮烈な印象を残していたので、ちょっと期待して見た。
しかし、内容的には大外れである。
いったい、この映画のどこが韓国で人気だったのだろうか。
500年以上前の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)で半島に渡り、そこで死んだだろう日本の武将の封印された霊が現代韓国によみがえる…という設定。
それに対する、現代の韓国の男女が対峙する。経済発展し、一等国になった韓国の自信も映像から伝わる。
露骨に、日本統治(日帝)時代への反発を見せることもないのだけれど、韓国人の対日本観がちらりちらりと見えていて、面白いといえば面白い。
日曜の午後、新宿の映画館は8割ほどの客で公開から2週間たってもそれだけ入っているのは、やはり韓国映画の地力の証明でもあるのだろう。
とはいえ、少なくとも私にとっては、戦国時代の日本からの侵略者の霊が現代韓国で暴れるというのは共感できず、スリルとサスペンスも感じなかった。
韓国エンタメ映画の水準の高さはもちろん認めるが、作品に共振するものが、ほぼない映画だった。