「お決まりの3段ポン引きが好き」劇映画 孤独のグルメ たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
お決まりの3段ポン引きが好き
2012年からテレビ東京でスタートした松重豊が一人で飯を食うだけの「テレビドラマ」。実在の店と実在のメニューが登場しながらもあくまで店主やスタッフを含め役者が演じるドラマであることとアルコールを一切飲まないことが斬新で人気シリーズとなりもう干支が一周した。私も以前ケーブルテレビで街歩き番組を作っていた時期があり取材した店も登場したりするのでつい見てしまう。グルメ番組は取材先をけなすことはできず何を食べても「うまい」「美味い」で白々しいが井之頭五郎がモノローグで感想を述べる分にはあくまでドラマなので忖度しまくりにもかかわらずリポートのあざとさが消えるのである。今回の映画でも頑固おやじのラーメン店がテレ東に取り上げられ翌日からえらい行列ができるという自らの番組に突っ込みを入れるような諷刺的側面が描かれ、ミシュランに始まり昨今のSNSを含め外食先の選定に関わるメディアの功罪について改めて考えさせられる。パリや韓国を飛び回る007的演出が欲張らずミニマムに抑えられていて役者監督故の良さが発揮された。
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