グラディエーターII 英雄を呼ぶ声のレビュー・感想・評価
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ルシアス対アカシウス、対マクリヌス
前作を手がけたドリームワークス・ピクチャーズが経営難のため権利をパラマウント・ピクチャーズに売却したことによって、続編の企画は長らく頓挫していた。しかし、2018年にパラマウントのもとで企画が動き出し、主人公をマキシマスから、ルッシラの息子ルシアスに変更し、新たな物語が描かれることになったらしい。
本作は、エディプスコンプレックス(男児が母親を独占したいがために父親を憎む心理)の語源となったギリシア悲劇「オイディプス王」に沿ったストーリーになっている。主人公が皇位継承者ながら幼少期に追放され、自らのルーツによって国に戻ってきて父親を殺し、母親に会う展開が一致している。
違うのは、ルシアスが怒りに任せて義父アカシウスを殺さず、実父マキシマスの意志を受け継いだところである。父親に反発しながらも最後は父の存在を受け入れたコンセプトは、アンチ・エディプスコンプレックスといってもよいかもしれない。
対局を成すのは、手配士のマクリヌスだ。自身が奴隷であったことが最後に判明する。ルッシラの父アウレリウスに所有されていたらしい。皇帝になろうと企てていたが、実際は奴隷だった頃の恨みで行動していて、ローマを滅亡に導こうとしていた気さえする。マクリヌスは復讐の連鎖を断ち切ることができなかった。
一方で、ルシアスはアカシウスを殺さなかったことで負の連鎖を断ち切った。そして、最後にマクリヌスを倒したことで、復讐を捨てたものが復讐し続けるものに勝利した。
特筆すべきは、アカシウスを単純な悪役ではなく、むしろマキシマスにもっとも似た人物として描いているところだ。自身が侵略したヌミディアでは敵兵の死体を前に痛ましい表情を浮かべ、双子皇帝から次の侵略を命じられると、2人の虚飾のために命を捨てている若者に同情を寄せ、クーデータを計画する。
この映画は、ルシアス、アカシウス、マクリヌスをキーパーソンにして、戦争を描き、エンターテイメントの枠組みでそのメカニズムを暴いている。
不安全開で観に行ったが良い続編だった!
先日、前作のリマスター版を見に行ったばかり。あのまとまりすぎるほどにまとまっている物語の続編?成功するのか?と不安だったが、見てみれば続編として申し分ない出来栄えだった!
あの戦いから二十年。物語も現実も同じくらいに時間が経った。ローマは衰退の一途を辿り、民衆は苦しみ政治は腐敗している。この設定はなかなかにうまい!と感じた。実際のローマ史では、カラカラとゲタの時代はまだギリギリローマは詠歌の中にあったはずだが、そのあたりを現実の、鑑賞者の世界に合わせることで感情移入しやすくしている。映画の中のローマ市民も現実の我々も怒りに燃えている!
そこに同く怒りに燃える主人公が登場。彼の怒りの理由はシンプル!嫁さんが殺された!憤怒!分かりやすい。そして彼は約束されたローマの王子様でもある!もうバカでも理解できるわかりやすいヒーロー!
宿敵はアホな上司に振り回される疲れたおっちゃん。しかし、本当の敵は政治を利用して個人的な復讐に燃える野心家だ。この映画は怒りに燃える者たちの復讐譚なのだ!
と、実にシンプルな映画!その一方でシナリオに共感してもらうための工夫が様々してあり、ただ単純なだけではない奥深さもある。
最近のスコット映画は肩透かしが多かったが、これは原点回帰ともいえる。
主人公が物足りないけど映画館で観るべき
前日に前作を視聴してから鑑賞。冒頭数分が前作のダイジェストになっていますし、前作を見ていなくても大丈夫かと思います。でも予習してからの方が没入できるでしょう。
テルマエロマエの漫画家のヤマザキマリさんによると(彼女はイタリアで美術を学んでいたとか)、時代考証がしっかりしていて、特に前作は漫画の参考にもしていたとか。確かに衣装や美術はとても素晴らしかったです。これらを堪能するには映画館で観るべきです。
ただ主人公がイマイチでした。迫力が足らないというか、個性がないというか。鑑賞後に友人と「じゃあ、他の誰なら良かったのか」議論してしまいました。ラッセル・クロウに心酔している訳ではないのですが、彼の息子役にしては魅力が足らない気がします。
あと凶暴なサルとかサメとか、CGがCGとすぐわかる感じです。こればかりはどうしようもないのでしょう。私は前作の本物の虎が好きですが、また虎を出しても芸がないですしね。前作で実現できなかったものを20年経って実現させたのなら良かったですね。
迫力!ストーリー!
壮大
違和感はあるけど
前作を復習してからのドルビーアトモスでの観賞となった。
私はその辺りとても鈍感なので、ドルビー劇場と通常料金の差額ほどには体験に実感の差を感じないのは情けないところ。
「これが本当の黒」の時点がMAXでした。
リドリー・スコット監督作品は苦々しい話も多い中、グラディエーターの一作目は分かりやすい勧善懲悪であり、悲劇でもあり、英雄譚でもあり、一粒で何度もおいしい作品で素晴らしかった。
正直、同監督とは言え、24年ぶりの続編がそれを凌駕するとは思っていなかったので、ハードルは多少低めで臨んだワケだが、結論からいうと、「まあ、そんな感じ」。
もちろん、2時間半程の上映中はずっとワクワクしたし、どんどん展開されるお話も面白い。
エンタメ作品としては「前作」というハードルが無ければ十分傑作の部類だと思う。
ただ、細かなところであちこち違和感があったのは否めない。
結局「マクリヌス」とは何者だったのか。
物語の大きな部分を司る存在なのに、どういう経緯で何をしたかったのかがよく分からない。
デンゼル・ワシントンはもちろん良いんだけど、ちょっと主役が霞んでしまうほど目立ってたのは気になった。
そして、この話の大きなポイントになる、「ルシアスの出自」の問題。
ルシアスがマキシマスの息子だと聞かされると、前作での泣きポイントだった、マキシマスの惨殺された妻と子供を失った悲しみが今になって「は?」ってなる。
こういう、続編で前作の感動が目減りするような設定はいかがなものか、と思わざるをえない。
今作のアカシウス将軍にとっては、奥さんに隠し子がいて、それを奥さんが必死でかばおうとするって話になるワケで、将軍カワイソって感じ。
あと、奴隷だったのに結婚指輪は持ってても良かったんだ、とか。
将軍の奥さんが、単身でグラディエーターと牢(?)の中で話すとか、他人からはどう見ても「何かある」と思われる不自然な行動なのに、白昼堂々会いに来るとか。
ラスト、マクリヌスを倒して両軍を前にルシアスが声を上げたシーンも、あの時点でみんなはルシアスが王族だって知ってたのかな。大半は知らないんじゃないのかな。
でも、そういう細かな違和感も、スクリーン上で起きていることにどんどん飲み込まれていく。
特にコロッセオでの死闘の数々は、どれも凄かった。
もう、あのヒヒの恐ろしいこと。
そしてなんと海戦まで!
カラカラとゲタのバカ兄弟もよかった。
十分アトラクションムービーとして堪能して、帰り道に「…あれ、結局なんだったんだろう?」という作品。
そう。
自分があのコロッセオの観客として観る限りは楽しめる。
しょうがないんでしょうが
ご都合主義だが大正解映画
蛮族の将軍捕らえてグラディエーターにしたら実は皇帝の血を引く唯一の王子でしたってか!
映画観る前からなんとなく主人公、ルシウスかな?って思ってたけど!
マキシマスの血流れてるだけあって強い!笑
めちゃくちゃご都合主義なんやけど、まぁ面白い!
そして映像すごすぎる!
敵の双子の王(ロムルスとレムス)もローマの成り立ちの起源の狼の双子なのもさすがリドスコ!
つーか、エイリアンロムルスは、グラディエーターの予告か?ってなる
凄すぎるぜリドクコ😳
最初の蛮族の王?がまさかのスパルタカスのオエノマウス!あっさり死んじゃったけど、この人全然変わってなくて笑った🤣
そんでペドロパスカルかっこよすぎやろ
何回か泣いたw
個人的には一番好きなのは海のコロッセオシーン!
これはBlu-ray買うの確定👍
伝説の作品の続編
人生の映画〇本!みたいなのを選べと言われれば必ず入るくらい前作の大ファンだった。あの衝撃から20余年、まさかの続編公開に期待と不安が入り交じったが、ネタバレは本編でしたかったので前知識はほぼ入れずに鑑賞。
世界観そのままに前作とストーリーが密接に交差する正当な続編だった。脚本は緻密に作られているし、非常に分かりやすい作りになっていて、ストーリーも普通に面白い。
が、どうしても二番煎じ感が否めない。シリーズの魅力である「主人公の数奇な運命」が、2代続くとなるとファンタジー色が強くなってしまうし、闘技場で対戦する猛獣に至っては完全にやりすぎでバランス感覚が崩壊しているように思えた。
悪くはなかったのだが、前作があまりに偉大だったと言う印象で採点は非常に悩んだ。
ローマの夢
『グラディエーター』が映画界に影響与えたものは大きい。
世界中で大ヒットし、アカデミー賞5冠。ハリウッドに再び史劇スペクタクルブーム。90年代後半低迷していたリドリー・スコットは完全復活。ラッセル・クロウはトップスターの座を揺るぎないものとし、ホアキン・フェニックスも大きく注目される事に。
2000年代の幕開けと共に刻んだ新たな伝説。
続編の噂はもう随分前から聞いていたが、まさか本当に作られるとは…!
前作は完璧に完結。改めて見直したが、やはり素晴らしい!
安易な続編はそれこそローマ帝国の滅亡を招くようなもの。
しかし、剣闘士リドリー・スコットは再びコロッセオに立つ。自らの手で。
まず気になるのは、どういう物語で、誰が主人公か。
これについては徐々に情報が解禁されていったが、特に主人公の設定については公開まで伏せておいた方が良かったかもしれない。その方が驚きを持って見れたから。
でも、分かった上で見ても、これはこれで何かの因果に思える。
『グラディエーター』は前作でも今作でも、運命に翻弄され、抗い、信念を持って挑んでいくのだ。
ローマ帝国の偉大な将軍から奴隷へ。そしてグラディエーターへ。
マキシマスが愚帝コモドゥスに復讐を果たすも命尽き、先帝アウレリウスの“ローマの夢”を繋いだかに思えたが…。
16年後。ゲタとカラカラの双子皇帝により、ローマは悪政と腐敗が蔓延っていた。
アフリカ北部の国ヌミディア。妻と穏やかに暮らすハンノは、争いが起これば妻と共に戦地へ赴く勇敢な兵士だった。
ローマ軍が侵攻。その闘いの中でハンノは妻を失い、奴隷に身分を落とす。
ローマ軍将軍アカシウスに復讐を誓う…。
話の立ち上がりは概ね前作を踏襲。
が、この序盤は前作より遥かに弱い気がした。
前作は高々冒頭だけだが、マキシマスが如何に家族や故郷を愛していたか、コモドゥスへの憎しみが充分過ぎるほどドラマチックに描かれていた。
今回は似通っているように思えて、ちょっと淡白な感じが…。
前作が辿った道をこの温度で進んでいくのかと思いきや、前作を踏襲しつつもまた違った展開に。
奴隷となったハンノは闘技で秀でた闘いを見せ、商人のマクリヌスに買われる。
マクリヌスの商い手腕とハンノの力で、コロッセオへ。
グラディエーターとして、ハンノはアカシウスへの復讐に近付くが…。
…と、ここまでは前作とほぼ同じ。
アカシウスは前作のコモドゥスのような憎き復讐相手と思ったが、ここが“違った”所。
このアカシウス、マキシマスのような偉大な将軍なのだ。
歴戦の英雄。軍は忠誠を誓い、民から絶大な人気。気高い性格。が、双子皇帝からは功績は認められつつも、疎まれている。ローマや民の為に、皇帝へのクーデターを企てる…。
人物像はマキシマスのようであっても、ハンノにとっては仇。善と悪について考えさせられる。
マキシマスやハンノがそうであるように、アカシウスも妻を愛す。
アカシウスの妻というのが、何とルッシラ…!
アウレリウスの娘で、コモドゥスの姉。マキシマスとは愛し合った過去が…。
ルッシラにはルシアスという息子がいたが、彼は…?
今回の設定絡めた空白の期間。前作後、何があったか明かされる…。
コモドゥス亡き後、皇位継承争いに息子が巻き込まれる事を危惧したルッシラは、密かにルシアスをローマから逃がした。いつの日か再びローマに呼び戻す事を…。が、それは叶わず、16年の歳月が流れた。
ルシアスはやがてヌミディアに辿り着き、そこで成長し、勇敢な兵士となり、妻を娶り、名を変え…。
そう。ハンノこそ、ルシアスなのだ。
コロッセオの闘いで、母は息子に気付く。あの仕草…。
闘技後、ルッシラはコロッセオの地下室で、密かにハンノと会う。
母と息子の再会は、感動的なものではなかった。
母に見棄てられた事で、母でも息子でもない、赤の他人。寧ろ、愛妻を殺した将軍の妻。
拒むハンノに、ルッシラは父親について語る。
あなたの闘いぶりは父親のよう。父親もかつてコロッセオで闘った。最も偉大なグラディエーターとして。その名は…
マキシマス。
ハンノ…つまり、ルシアスはルッシラとマキシマスの間に産まれた子だったのだ…!
今回の主人公の設定が解禁された時、驚いたのがこれ。
マキシマスには故郷に殺された息子がいたが、何とルシアスも息子だった…!
前作で別の父親がいるとされていたが、確かにその辺はちと曖昧だった。ルッシラとマキシマスが昔恋仲だったのは前作を見てれば分かる。
この設定を知ってから前作を見直すと、マキシマスとまだ幼いルシアスの対面シーンに何やら感情が沸き上がる。果たしてマキシマスはこの事を知っていたのか…?
ちょっと強引な後付け設定な気もしない訳はない。
が、父と似たような道を息子が歩む。これを新味ナシと見るか数奇な因果と見るかで評価が分かれそう。
私は後者。因果めいたドラマチックな展開に、やっと物語も熱くなってきた。
民を沸かせる新たなグラディエーターとして、人気を博したハンノ。
遂に因縁のアカシウスと闘い。
前作のマキシマス対コモドゥスのような決着になるかと思いきや、意外な展開に。
前作はシンプルな復讐劇だったが、似通っていると見せて続編は同じ道を辿らない。
グラディエーター、将軍、その妻、皇帝、そしてもう一人。各々の思惑とドラマが交錯する…。
劇場大スクリーンで見るべきリドリー演出。
超大作は専売特許だが、待ってましたの『グラディエーター』!
アクションやスペクタクルは無条件で期待上がり、それに応えてくれた。
肉体と肉体、剣と剣がぶつかり合う闘いは勿論、前作はトラだったが、今回は別の猛獣“たち”。
人を噛み殺すほど凶暴なヒヒ。戦車のような巨大なサイ。極め付けはコロッセオに水を張り、人食いサメを放ち…。
本当にあんな凶暴なヒヒいるの…? どうやって水を張ったの…?抜いたの…? 実際にこんな闘技あったの…?
などなど疑問やツッコミも沸いたが、一対一のみならず、猛獣サバイバル、海に見立てた洋上戦など、さらに激化したコロッセオでの闘いやアイデア凝らしたショーアップに、血沸き肉躍りエンタメ魂が燃えた。
映像、美術、衣装、音響、VFXのクオリティーは言うまでもなく。前作もそうだが、こういう作品にこそ巨額予算は使われるべき。
強いて言うなら、ハンス・ジマーのあの音楽が流れなかったのが残念…。
イケメン少年だったスペンサー・トリート・クラークが男臭いポール・メスカルに。『aftersun/アフターサン』『異人たち』で繊細な演技を魅せたメスカルのイメチェンにも驚き。
英雄であり仇でもあるペドロ・パスカルもカッコいい。
でも、ポールとペドロがちと風貌が似てるので、序盤は少々どっちがどっちだっけと…。
前作からの続投。コニー・ニールセンも美貌衰えず。
双子皇帝、ジョゼフ・クインとフレッド・ヘッキンジャーの怪演。
だけど、キャストの中で誰より場をさらっていたのは、デンゼル・ワシントン。
ハンノを買った商人で前作のオリヴァー・リードの役回りかと思いきや、実は彼こそ今回のラスボス。
元奴隷。富を築いた商人へ。皇帝にも取り入り側近になるが、その座だけに留まらない。双子皇帝の一方をそそのかし殺させ、もう一方を自らの手で…。その野心は双子皇帝に代わって、ローマの新たな皇帝へ…!
予断許さない存在ながら、その野心と成り上がりには感服。各々の思惑やドラマを、デンゼルが一人で握り潰すかのよう。
双子皇帝の独裁。
マクリヌスの野心。
それがローマの夢か…?
否!
ローマを再び民の手に。自由を。平和を。
祖父アウレリウスの夢。
父マキシマスの夢。
志半ばで…。
アカシウスもまた。彼の夢でもあった。
その意志を受け継ぐ。
この血の中に。この肉の中に。それが力となる。
もう身分を隠さない。
アウレリウスの孫。マキシマスの息子。
正統なる後継者、ルシアス。
民と共に、ローマの夢の為に。
今年一番とか前作超えとまでは言わないが、これぞスペクタクル! これぞエンターテイメント! これぞ映画!
リドリー・スコット万歳!
『グラディエーター』万歳!
近年稀にみる駄作
今作の主人公ルシアスが、前作の主人公マキシマスの息子と言う設定、、これこそが今作をここまでの駄作にしてしまった根本要因だ。
前作の主人公マキシマスの息子と今作の主人公ルシアスの年齢は、ほぼ同じ(前作の作中にそれを示すセリフあり)である。
と言う事は、今作の主人公ルシアスがマキシマスの息子であるとするならば、マキシマスは愛する妻がいるにも関わらず、父親の様に愛し、尊敬し、慕っていたマルクスアウレリウスの娘と不倫をしていた事になるが、前作を観て、マキシマスがその様な事をする人物だと思えるだろうか?
マキシマスが妻と子の住む家を離れてゲルマニアの戦地に持参した、妻と子を模した小さな木彫りの像に向かって、「先祖の霊よ、お導きを。天なる母よ、私に道を示し、天なる父よ、妻子を守りたまえ。家族こそ私の生きる力。先祖を敬い、その教えに恥じぬ生き方を。」と祈りを捧げるのです。
そんなマキシマスが、妻以外の女性と子供をつくるでしょうか?
ルシアスがマキシマスの息子であるなら、観客が納得する様な説明を劇中で描くべきだが、その様な事もせず、ただ、ルッシラのセリフでのみマキシマスの息子である、と強引に成立させた為、ルシアスに感情移入も出来ず、ルシアスの行動に感動する事も心を打たれる事も無い。
そして、今作の主人公ルシアスの復讐の動機が「妻が殺害された」事に発しているが、ルシアスの妻は軍人だ。
自国に攻め込んで来た軍隊と戦い、軍人であるなら、その最中に命を落とす事は当然予想しておくべきであり、そうさせたく無いなら、妻が軍人である事を絶対に止めさせるべきである。
しかし、ルシアスはその様な素ぶりも見せず妻と共に鎧を身に纏い、戦場に赴き、妻が命を落とした事を復讐の動機として、相手国の将軍を倒す事を目的とするが、動機の設定が杜撰過ぎる。
その杜撰な設定のまま、奴隷商人に買われ、最初に闘う相手がCGで造られた筋骨隆々の猿の大軍だ。
猿の大軍の後は、鎧甲冑を身に着けた巨大なサイ、海のごとくにコロシアムに溜められたサメが泳ぎ回る海水の中での軍船での闘いと、荒唐無稽なアクションがこれでもかと連続する。
時折り、前作を思い起こさせるシーンや行動を混ぜ込んで来るが、杜撰な設定と荒唐無稽なアクションの連続で辟易している中では、その様な場面も空虚に感じられ、全く響かない。
終盤、グラディエーター達がルシアスをリーダーとして、なぜここまで連帯感を持ったのかも描き方が甘い為、よく分からない。
そして、最終的にはルシアスと異常に強いマクリヌス(デンゼルワシントン)が一騎打ちをし、ルシアスは辛うじてマクリヌスを倒し、「ローマに平和を」と、あまりにお粗末な決着の付け方で終了。
ラストシーン、コロシアムでルシアスが「父よ。私に声をお聞かせ下さい。」と言うが、マキシマスが父親と言う設定を観客に納得させていない為、全く心を打たない。
この映画を簡単に説明するなら、「大金をかけた、デンゼルワシントン主演の歴史バトルアクションムービー。」が相応しいだろう。
1は傑作、2は駄作、、これはよくあるパターンだか、せめて、あの素晴らしい名作である前作を汚すのだけは止めて欲しかった。
安定のリドリー・スコットが創る歴史大作。
ローマが舞台となると、重厚な歴史ドラマかと思いきや、現代的なエンタメ性を織り込んだ歴史"創作"ドラマと言えるかもしれない。
コロシアムにサメは、なかなかの驚きだが、サイに、サルのような動物にと、過剰と言えば、過剰な演出が続く。
ちょっと気になったのは、サルを後ろから鎖で締め上げる場面での鎖のゆるみや、戦闘シーンの力感にゆるさを感じる部分があった。
剣を持ってもみ合うシーンでも、剣を持った手はかなりフリーだった。
このあたりは、もう少し力感を込めたシーンにして欲しかったと思う。
同じような映画を作ってもインパクトがないので、創作を入れて作るということになると思うのだが、少し気が散ってしまった感は否めない。
「最後の決闘裁判」あたりのシンプルなテーマの方が見ごたえがあったと感じる。
とはいえ、スケール感があり、エキストラの隅々まで映像を作り込んだ作品であることは間違いない。
最下層から勝ち抜いて英雄となったひとりの男と、それを取り巻く人々のドラマだ。
良かった!
前作と比べてしまうが、僕は理屈抜きに面白かったよ。
デンゼルワシントンには、驚いた。主人公はあまり馴染みがないんで最初は戸惑ったが、話が進むにつれて親しみ感じました。やはり、大国を率いるには、人間の魅力が必要だね。
ビジュアルはカッコいいのに、 物語はあまりテンションあがらない作劇
以下ネタバレ
序盤の城壁戦は
過剰すぎず、地味でもない
手慣れたリアルな戦闘が「ナポレオン」よりテンポよく、
見やすい映像つくりになっていて
さすがリドリーすげーとテンションがあがりました。
リドリー・スコットの歴史を扱った映画は
構図や照明に西洋美術の美意識がたくさん盛り込まれて、
衣装、部屋の装飾や調度品も丁寧な印象があり、
日本の日常とは別世界を体験する
現実逃避の楽しさがありました。
マッドマックスのような問答無用なサバイバル感を
期待していなかったためか、
マントヒヒっぽい猿がでてきたときは
「あれ?過剰演出動物だ」
と思いつつ、
ま、猿くらいはありかなと思いましたが、
サイを乗りこなすシーンでは、
荒唐無稽な印象が強くなり、
前作の虎くらいにとどめといたら
リアルな緊張感なのにと思いました。
史実かどうかしらないけれど
サメがでてきた中盤は
ユニバーサル・スタジオのアトラクションの
「ウォーターワールド」感のある、
コロッセオプールの海洋バトルシーンは
過剰演出動物の方が気になり、
「サメの飼育や運搬とかどうしてるんだろう?」
と戦闘シーンのノイズになりました。
史実かどうかしらないけれど
ペットの猿のシーンは
特に面白くなく、
後半の元老院でのデンゼル芝居は
少しコントっぽくて、
序盤の海上の城壁戦にあった
緊張感はなくなっていて残念でした。
序盤の海上の城壁戦の流れで
主人公がローマ軍の将軍をターゲットにした復讐劇の展開が、
「実は王子だった」と明確化されるあたりから、
主人公が思春期な振る舞いをみせて
物語の緊張感がなくなり、
白塗り兄弟のあざといぼんくらすぎな設定と
デンゼル・ワシントンの野望達成のための会話劇
に今いちのれず、
映画全体の
ビジュアルはカッコいいのに、
物語はあまりテンションあがらない作劇で
そもそも主人公って
前作ラッセル・クロウの主人公の子供だったけ?
とか思ったりしつつ、
リドリー・スコットファンとしては
迫力ある映像体験できたので
まっいいかと思う映画でした。
映画館で鑑賞してから
5日後、買ったままだった
Blu-rayの「グラディエーター」の
劇場公開版を字幕版で鑑賞。
24年前の前作の方がスケール感があり、
映像がかっこよかった。
一作目にとても及ばない駄作
全432件中、161~180件目を表示