「ビジュアルはカッコいいのに、 物語はあまりテンションあがらない作劇」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 idwebさんの映画レビュー(感想・評価)
ビジュアルはカッコいいのに、 物語はあまりテンションあがらない作劇
以下ネタバレ
序盤の城壁戦は
過剰すぎず、地味でもない
手慣れたリアルな戦闘が「ナポレオン」よりテンポよく、
見やすい映像つくりになっていて
さすがリドリーすげーとテンションがあがりました。
リドリー・スコットの歴史を扱った映画は
構図や照明に西洋美術の美意識がたくさん盛り込まれて、
衣装、部屋の装飾や調度品も丁寧な印象があり、
日本の日常とは別世界を体験する
現実逃避の楽しさがありました。
マッドマックスのような問答無用なサバイバル感を
期待していなかったためか、
マントヒヒっぽい猿がでてきたときは
「あれ?過剰演出動物だ」
と思いつつ、
ま、猿くらいはありかなと思いましたが、
サイを乗りこなすシーンでは、
荒唐無稽な印象が強くなり、
前作の虎くらいにとどめといたら
リアルな緊張感なのにと思いました。
史実かどうかしらないけれど
サメがでてきた中盤は
ユニバーサル・スタジオのアトラクションの
「ウォーターワールド」感のある、
コロッセオプールの海洋バトルシーンは
過剰演出動物の方が気になり、
「サメの飼育や運搬とかどうしてるんだろう?」
と戦闘シーンのノイズになりました。
史実かどうかしらないけれど
ペットの猿のシーンは
特に面白くなく、
後半の元老院でのデンゼル芝居は
少しコントっぽくて、
序盤の海上の城壁戦にあった
緊張感はなくなっていて残念でした。
序盤の海上の城壁戦の流れで
主人公がローマ軍の将軍をターゲットにした復讐劇の展開が、
「実は王子だった」と明確化されるあたりから、
主人公が思春期な振る舞いをみせて
物語の緊張感がなくなり、
白塗り兄弟のあざといぼんくらすぎな設定と
デンゼル・ワシントンの野望達成のための会話劇
に今いちのれず、
映画全体の
ビジュアルはカッコいいのに、
物語はあまりテンションあがらない作劇で
そもそも主人公って
前作ラッセル・クロウの主人公の子供だったけ?
とか思ったりしつつ、
リドリー・スコットファンとしては
迫力ある映像体験できたので
まっいいかと思う映画でした。
映画館で鑑賞してから
5日後、買ったままだった
Blu-rayの「グラディエーター」の
劇場公開版を字幕版で鑑賞。
24年前の前作の方がスケール感があり、
映像がかっこよかった。