劇場公開日 2025年3月7日

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「素晴らしいテーマ」ウィキッド ふたりの魔女 R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 素晴らしいテーマ

2025年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ウィキッド 二人の魔女 ― 魔法とは何か?

「魔法とは何か?」
それは力か、呪いか、それとも私たちの心に潜む希望なのか?

映画『ウィキッド 二人の魔女』は、オズの国の裏側を描く物語だ。
緑の肌を持つエルファバと、光り輝くグリンダ。
二人の魔女の友情と選択が、世界の秩序を揺るがす。

オズの国では、誰も魔法を使えない。
それでも人々は「魔法がある」と信じる。
なぜなら、謎の力があることで、幸せになれると思っているからだ。
逆に、その力を握れば、人を支配できると信じているからだ。

だが、この作品が語る魔法は、もっと深い。
魔法とは、自分にかけた呪いだ。
「皆と同じでなければならない」という呪文。
親が子に、先生が生徒に、社会が個人に唱え続ける呪文。
その呪いを解くことこそが、本当の魔法なのだ。

エルファバは緑の肌を持って生まれた。
異質であることは、孤独であること。
彼女は嘲笑され、疎外され、それでも毅然と生きる。
その姿は、私たちが忘れてしまった「本心」の象徴だ。
物語の中で、動物たちの言葉が奪われる。
檻に閉じ込められ、声を失い、仕事を奪われる。

これはファンタジーではない。
現実の世界で、人間が人間にしていることだ。
「問題」という名のラベルを貼り、声を奪い、従わせる。
戦争、コロナ、温暖化、LGBT、MeToo――
共通の敵を作り、人々を統制する仕組みは、オズの国と同じだ。

魔法の発動に必要だったのは「怒り」だった。
怒りが力を呼び起こす。
それは抑圧からの解放の衝動だ。
だが、その力は呪文を唱えた瞬間、取り消せない。
翼を得た猿たちが味わったのは、喜びではなく痛みだった。
力は常に代償を伴う。

この映画は、私たちに問いかける。
あなたは、心の奥にしまい込んだ本心を、まだ覚えていますか?
それを語る勇気を、まだ持っていますか?

後編が楽しみだ。
真の魔法は、次章で明かされるのだろうか?

R41
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