「ミュージカル映画としては素晴らしいが‥」ウィキッド ふたりの魔女 kou-sukeさんの映画レビュー(感想・評価)
ミュージカル映画としては素晴らしいが‥
字幕版にて視聴。
THXの為、音響の良い条件で観れました。
舞台は未観劇のため、何も知らない状態での観覧となりました。
全体的にレベルの高い映画で、総合的な映画の価値はトップレベルのものだと思う。
ただ、作品の原作が1995年刊行。舞台初演が2003年ということもあり、若干脚本の現代的価値観に寄らない点があったのも事実。
良い箇所もあるが、悪い箇所や、元々が舞台ならではの不親切な描き方(生ものの説得力で乗り切っているのかも知れない箇所)もありました。
勿論、2部作の為、後編でキチンと回収してくれるとは思います。
以下、簡単に良かった点、微妙だった点をまとめていきます。
良かった点
①圧倒的なミュージカルパート
オープンニングに歌われるGood Newsでのハイトーンボイスや名曲popularなど、アリアナの歌唱力が高いのは勿論の事、The Wizard and Iでのシンシアの歌唱も群を抜いて良く、主演二人の歌唱パートがあまりにも強い。
特にラストのDefying Gravityでのデュエットは、映像も相まって映画史でも有数の名シーンだったと思う。
②CGなどの美術デザインの良さ
建物や街並みなどのデザインが非常に良い。
特に魔法学校やエメラルドシティは、装飾的な美しさがあり、まさに御伽噺と舞台美術が融合したようなデザインだった。
熊の乳母や動物先生たちのデザインなども現実味があり、違和感なく楽しめたのも見事でした
微妙だと思った点
※これは、パート2で明かされるのかも知れないので、あくまでも本作のみの評価です。
①フィエロの存在意義
まず、Dancing Through Lifeでの図書館ダンスのシーンに不快感を感じた人は多いだろう。
彼はピエロを演じる必要のある存在とぼやかして描かれているのだが、知識を足に頭を空にする事を体現するダンスシーンは、説得力はあるものの、やはり不快感が拭えなかった。
せめて図書館から出て行って欲しい。
伏線貼るだけ貼って消えたので、パート2には期待してます。
②グリンダの描き方
彼女は、愛される事、求められる事、に対して「求められる自分」であろうとするタイプの人間のように描かれている。
その根底意識からの共感から、ボールルームでエルファバとダンスを踊る流れになるのだが、この辺りの心の機微がうまく映像に落とし込めていない。魔法学の先生へ取り次いでくれたから、哀れみや罪悪感のみで踊ったようにも見える。
何というか、中盤までのグリンダが、ただのアホにしか描かれないのだ。もっと同級生などの同調圧力の描写を強くして欲しかったのは否めない。
③価値観について
エルファバは緑色の肌と言うだけで迫害を受けるのだが、動物が当然のように喋り、魔法もそこそこ発展した世界で、本当にそんな価値観になるのだろうか?
そこに説得力を持たせたいのであれば、
・オズの魔法使いから「人間至上主義」が発令される
・人以外の価値は奴隷、家畜と同等である
などの御触れが出ていないと、そこまで畏怖や差別の対象にはならないのではないだろうか?
※学校内が白人だけなら、まぁ有り得るかも知れないが‥‥
と言った所が、個人的な感想です。
パート2は勿論楽しみ。
吹替版の評価も高いようなので、余裕があれば、見に行こうと思います。
P.S.
映画本編には全く関係ないのですが、
映画館の劇場内にビニール袋を持ち込んだヤツには、何かしら懲役刑を与えて欲しい。
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