「傑作の舞台を超える傑作中の傑作」ウィキッド ふたりの魔女 よく寝る人さんの映画レビュー(感想・評価)
傑作の舞台を超える傑作中の傑作
数ある舞台の中でWICKEDが最も好きな舞台作品ですが、今回の映画はそれを超える傑作でした。
舞台の大ファンとしては、この素晴らしい作品をこれだけ素晴らしい美術とCGによる世界観で映画化してより多くの方に届けてくださって本当にありがとうございます、という気持ちです。
舞台と映画の差分でいうと、エルファバとグリンダが初めて友情を結ぶシーンがあれだけ泣けるシーンになるとは。表情の見せ方など、映画ならではだと思いました。
またDefying Gravity終盤、舞台ではグリンダがもう少し必然感と意志をもって残っていた記憶でしたが、映画はむしろエルファバと一緒にいくことを決断しきれなかったように見え、そちらの方がリアルな人間らしく共感できるもので、個人的には映画の演出のほうが好みでした。
グリンダに共感できないという感想をいくつか見かけましたが、自分の感想としては、ミーハー感、周りに流されてしまうところ、決めきれないところなど、これ以上ないくらいリアルな人間らしく感じ、心から共感しました。舞台人として、もし女に生まれていたらグリンダを演じてみたかったと思うほどです。
エルファバの意思の強さ、必要悪として全てを引き受ける覚悟の強さにはもちろん胸打たれますが、果たして現実の自分があれほど強くあれるのか、というのは自信がないのも事実です。だからこそリアルなグリンダに感情移入してしまいます。
とにかく舞台と映画、共通の読後感として、悪に見えるものは本当に悪なのか?コインの裏表でもあり、全ては相対的なものではないのか?正義とは、正しいとは何なのか?という問いがあり、その問いかけと一貫したテーマ性は改めて本当に素晴らしいと思いました。
個人的に好きな曲が前編に固まっているため後編はどうなるかな、、と思いますが、今回のように予想もしないところで感情を揺さぶってくれるのを楽しみに、後編を待ちたいと思います。
とりあえず前編をあと2回くらい劇場に観に行きます。
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