劇場公開日 2025年3月7日

「重力に抗う必然の超大作」ウィキッド ふたりの魔女 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5重力に抗う必然の超大作

2025年3月9日
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満を持しての映画化は、素晴らしいキャストとスタッフによって目も耳も心も奪われる、今の時代にも十分刺さるテーマを問う映画の魔法だった。鑑賞後もまさしく重力のように引き戻されては抗うすべがなく心に棲みつくようで、本作のことを思い出すたびに思いがあふれてしまう

皆が皆同じとは限らない。自分達から注意を逸らして、一致団結させるために共通の敵を作って、責める標的が要る。特定の種族を迫害するよう差別を助長させる。そうやって、ナチスのホロコーストのように、過去は現在を映し出す鏡。つまり、歴史は繰り返すし、人間にはそれらを決して他人事とは割り切らずに顧みて学ぶべきことがある。それはフィクションやファンタジーも同じ。"普通"という枠にはめたがる大衆意識やそれを自らに都合よく利用する体制、権力や組織の腐敗に対して、間違っているものは間違っていると声を上げること!迫害などこの世にはびこる悪や不正と闘うこと。クライマックスがヤバかった…可能性は無限。
人気者と同情、号泣と鳥肌。自己肯定感高く、他人の痛みに鈍感で、「境遇を哀れんで手の差し伸べるワタシはなんて優しいの!素敵♡」みたいな自分自身に酔っている自己陶酔型タイプの自己愛たっぷり・自分大好きキャラな(グリンダじゃなく)ガリンダ。ナイスキャラ立ち!そんなノリノリなアリアナ・グランデが、抜群のコメディエンヌっぷりと、胸打つ変化によるドラマで輝いている。他人にどう見られても平気そう?平気なふりをしてるだけ…。今こうやって書きながら思い出しているだけで、鳥肌が立つスターダスト名シーンに、涙腺崩壊必至。周りから疎まれ虐められるエルファバ役のシンシア・エリヴォが時に苦悩を滲ませながらも、一本筋の通った行動規範や己の気持ちをもった演技で、本作の根幹を支える。
ジョン・M・チュウ監督の色とりどりな映像マジック(圧巻の美術、衣装!!)の中で大いに羽ばたき、緑とピンクみたいにピッタリなシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデの熱演と抜群の化学反応ケミストリー、ブロードウェイのスターとポップスターという最強最高タッグの幸福な組み合わせ!! チュウ監督が本作を監督することはある種の"運命"だったとすら思う。ヴィルヌーヴにとっての念願の企画となったSF大作『DUNE デューン砂の惑星』シリーズのように、『クレイジー・リッチ!』がいわば『メッセージ ARRIVAL』で、『イン・ザ・ハイツ』(習作と言うにはあまりに秀作・名作!!)がいわば『ブレードランナー2049』みたいに全てはここに至るための道のりだったのではないかという必然性。

圧巻の第一章だった!本国では後編が今年の11月予定ということなので、本作と同じようなスケジュール感と思ったら、やっぱり1年後くらいだろうか…。そこを何とか早くしてもらえないですかね?本国より遅くていいので年内、クリスマスとかに。

P.S. 『オズの魔法使』はもちろん観たことあるけど、本タイトルは劇団四季版のウィキッドの印象がやはり強く、あとUSJのアトラクションで触れたことあるかな〜くらいだった。けど、「ここから始まるのか!」「こんな作品だったのか!」「ここで終わるのか!」…と胸を打たれ(っぱなしだっ)た。去年から超絶楽しみにしていたけど、そんな高すぎる期待に応えてくれたし、劇場出るなりすぐにイヤホンセットしてサントラ再生!Defying Gravityヘビロテで聴いている。最高!! 花オンチ(要は無知)なので桜か分からないけど、帰り道にピンクの花(実?)に緑の葉っぱが付いていて、ウィキッド・カラーだなと思ったりした。あ〜、舞台も観てみたいなぁ。

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とぽとぽ
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