劇場公開日 2025年3月7日

「素晴らしかったが宣伝の仕方に憤り」ウィキッド ふたりの魔女 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0素晴らしかったが宣伝の仕方に憤り

2025年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

CG含む背景美術と、ゴージャスな歌と衣装とが見事だった。
納得のオスカー2冠。

前作に相当する映画『オズの魔法使』(1939)は、「家に帰りたい」純粋な思いは分からなくはないものの、ドロシーがわがままというか、サイコパスな殺人鬼に見えて苦手だったりするので、個人的にこちらの方が好みかもしれません。

内容的には、ディズニー映画の『マレフィセント』を思い出しました。
悪の権化、ヴィランだと思っていたキャラクターが、実は慈愛に満ちた高潔な人物で、他の悪人たちに貶められ汚名を着せられる。
そして陰謀から大切な人を守るために、自ら憎まれ役を演じる決意をする……
といった、少し前に米国で流行した(日本人は富野由悠季監督作でおなじみで)、「正義と悪とは何か?」「報道された『悪』は本当に悪なのか?」といった疑問提示や社会批判パターンっぽかった。
すでにステレオタイプな印象を受ける展開であり、ストーリーとして意外性や面白みはやや少なめながら。
軽快な音楽とスピード感あふれる演出で飽きさせず、引き込んでいく。

また、緑の肌や言葉をしゃべる動物などに、有色人種への差別や偏見を反映させたような、欧米の白人たちへの批判を込めた表現がいたるところに埋め込まれていた普遍的な倫理観が垣間見え。
さらに、原作小説(1995)、原案となったミュージカル舞台(2003)の書かれた時代~「イラク戦争」「湾岸戦争」を考えると、当時の世相を反映しつつ、翻ってトランプが政権に返り咲き、差別的発言とかつ陰謀論がはびこる「今のアメリカ」の病巣を、実に明確にえぐっているように読み取ることもできて深みを感じられました。

ミシェル・ヨーの演じるモリブル学長が、あて書きみたいにハマってたのには笑いました。

絶賛したいところではあったのですが、始まって早々の英字タイトルロゴが「Wicked PART.1」になっていて、ずっこける。
ラストに至っては「continue 続く」で引きですよ。
事前情報を一切入れずに観に行ったので、前後編二部作とは知らなかった。
考えてみれば、ミュージカルが二幕構成のはずだから仕方ないか、とは思わなくもないが……
「『ハリポタ』や『ミッションインポッシブル』みたいに、邦題に「PART.1」表記を入れろよ」と宣伝の仕方に憤り、☆点数は減点。

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