劇場公開日 2024年11月22日

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「怖さと見応えがほどよくブレンドされている」バーン・クルア 凶愛の家 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0怖さと見応えがほどよくブレンドされている

2024年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

表向きはよくある絶叫ホラー映画のように見せながら、その襞を一枚めくると意外にも周到な構成(後半は事の経緯を描いたサスペンス的展開も)、時間軸の妙、反転する人間模様、そしてなんとも言えない暗黒に引き摺り込まれていく感覚に唸らされる。他のアジア系ホラーに比べて、若干「見せる/見せない」の線引きに拘った日本のホラーに近い味わいがするのも安心して見られるポイントか(仏教文化の影響なども背景にあるのだろうか)。加えて、ここぞというポイントでエキゾチックかつ不協和音的な歌声がけたたましく鳴り響き、目の前の恐怖を無尽蔵に盛り上げてくれるところが快い。そもそも「家」という存在は人の輪廻転生や魂のイン&アウトの如く住人が入れ替わるので、それだけで知られざる謎が生まれ、ミステリーを育む土壌となりうる。さすがその見せ方を熟知しているというべきか。超絶怖いというより、むしろ巧くて見応えのある一作と記しておきたい。

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牛津厚信