「色々と中途半端でもったいない」ロール・ザ・ドラム! kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
色々と中途半端でもったいない
新旧のブラスバンドの対立、女性の参政権を求める運動が絡み合った話と知って観るつもりになった本作。題材としてはとても好みの映画ではあるが、正直あまり面白いと言えるものではなかった。
コメディとして作っているはずなのに、お互いにエスカレートしていく嫌がらせが度を過ぎていてときどき引いてしまう。そもそもの対立理由も結構どうでもいいことに思えるのもよくない。本来笑いにつながるはずのトラブルもあまり笑えなかった。
それでも、女性参政権を求める運動に絡んだ部分はなかなか面白い。旧ブラスバンドの指揮者・アロイスが古い考え方で、その妻が反発するかのように女性参政権の運動にのめり込んでいく構図がいい。アロイスの娘も外国の男と恋に落ちて父親に反発していく中、アロイスも変わらざるを得ないという流れはとてもよかった。
ただ、それも若干中途半端なまま終わる。最後は、めちゃくちゃ強引な終わり方だった。いろんなことすべてが、めでたいことでかき消そうとするかのような終わり方。そんな終わり方もあるし、そんな終わり方を全部否定するわけでもない。でも、ラストまでの流れに納得もしていない身としては、この終わり方を簡単に受け入れることはできなかった。
この中途半端さは、実際にあった出来事をベースにしているからなのかとも思ったが、あの内容で脚色をしていないわけがない。国民性の違いという可能性もあるが、ちょっと残念な鑑賞体験だった。
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