劇場公開日 2024年10月18日

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「人生に後悔がある方に観てほしい」追想ジャーニー リエナクト みきんきさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人生に後悔がある方に観てほしい

2024年10月21日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

萌える

※第2弾とは言っても、前作とは「退行睡眠」という設定が同じなだけで、続き物ではないので、前作を見てなくても全く問題ないです。

誰もが胸に持っているはずの、もう戻れない日々の後悔。
あの時、違う道を選んでいたらどうなっていたのか。きっと誰しも考えることがあるはず。
本作は、渡辺いっけいさん演じる現代の横田が「退行睡眠」を使って、松田凌さん演じる過去の自分に会いに行き、過去に自分が選べなかった道を辿っていく話。
でも、タイムリープものとは違って、睡眠中の頭の中の出来事ということなので、あくまで自分の中だけの話なんですよね。違う世界線を辿っても、変わるのは自分の意識や心持ちだけ。そこが面白いところ。
また、退行睡眠の間のことは、舞台の上で、一つ一つの場面を切り取るように進んでいく。暗転でパッパと切り替わるのでテンポも良い。これも独特で面白いところ。

渡辺いっけいさんと松田凌さん、現代と過去の横田の、テンポの良い掛け合いが気持ちいい。お二人とも舞台経験も豊富なので、映像でありながら舞台上でもあるこの映画と、演技のテイストがばっちり合っている。
横田は、脚本が書けないとイライラしたり、周りに八つ当たりすることもある、自己中心的な男だけど、お二人とも、それを単なる嫌なヤツではなく、等身大の人間らしくチャーミングに演じているので、共感できる。
対して、樋口幸平さん演じる峯井は、とっても良い子。横田への献身が美しい。後半にあるシーンは感動しました。
福松凜さん演じる中村は、その2人の健全じゃない関係に、リアリストとして冷静な目線を入れてくれる人。中村がいることで良いバランスが取れていると感じる。中村も後半のシーンでグッと来ました。

短いですが、その分よくまとまっていて見やすい話だし、あとに残る、考えさせる後味があります。
もう少し時間を長くして、横田と峯井の関係性をもっと描いてほしかったかなーとはちょっと思います。共依存的な、深読みしがいのある関係なので…
でも全体的に面白くてオススメです!

どちらかというと、年齢を重ねて自分の人生に多少の後悔がある方の方が刺さるかも。

みきんき