「人類最強を観においで!最強が演じる、小粒だけどピリッと辛い、演劇の映画。」追想ジャーニー リエナクト 長い猫さんの映画レビュー(感想・評価)
人類最強を観においで!最強が演じる、小粒だけどピリッと辛い、演劇の映画。
人類最強が演じる、地味だけど滋養のある映画。演劇人には刺さりまくる模様。
この映画の主演、松田凌さんは当年33歳。幼少から小劇場演劇を好み、十代半ばで舞台役者を志した、今どき貴重な青年です。
演技力と身体能力、経験、どこか影のある甘いルックスを全て兼ね備えた、今の日本の同世代で随一の役者と言っていいでしょう。
人気役者である彼は絶え間なく舞台に出続けていて、うかつに追うと破産するか倒れかねない。この10月はミュージカル進撃の巨人リヴァイ役として、ニューヨークっ子から本気の絶賛を浴びてました。
とは言っても、首都圏か京阪神以外は彼の演技に接する機会がとぼしい。なにせ舞台ですからね。
ちなみに彼の貴重な映像作品には、TVの仮面ライダーシリーズのライダー役があります(『鎧武』のグリドン)。自称策士で弱くて嫌味なライダー…にも関わらず彼の卓越した演技力で人気を集め、出演回が増えたり、番外編映画が作られたり。
本作はそういう松田凌さんのファン有志による、クラウドファンディングで作られた映画で、たったひと晩で目標額を突破してました。
だから低予算なのですが、この映画を見た結論として、出資して良かったと思いました。
親友役の樋口幸平さんは子どもの頃から松田凌さんのファンだそうで、好きさ加減やリスペクトが本作でも垣間見えます。わかるわその気持ち。わんこ系後輩キャラで物腰が柔らかいのに目の奥がギラギラしている。説得力。
また、渡辺いっけいさんの演技の深みと安定感と幅。人情派のようで、脚本家としてどこまでも高みを目指したい貪欲さも時折滲みます。
ネタバレはしませんが、ループネタにあふれる今の時代、都合の良い終わり方じゃなくて良かったと思いました。
おわり