「もう一度見たくなる映画」追想ジャーニー リエナクト かなこさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度見たくなる映画
完成披露上映会に参加し、ひと足先に本作品を鑑賞しました。
"退行睡眠で30年前に戻って過去の自分と出会って人生を変えていく"、よくある、でもありえない展開の映画を楽しめるのかと不安に思いつつ鑑賞しました。
しかし、気づけば作品にのめり込んでいて、笑い、泣き、上映後は早くもう一度見たい!と思っていました。いい意味で裏切られた作品でした。
舞台上で場面が展開し、それを映画として見るという新しい演出でしたが、渡辺いっけいさんの「よーい、スタート!!」の一言ですんなりと30年前の世界に連れて行ってくれて、ベテラン俳優さんの一言の重みを感じました。
松田凌さん演じる過去の雄二と樋口幸平さん演じる峯井の関係性が本作品のキーとなっていて、お互いに依存し合う関係性とそれを側から見る福松凛さん演じる中村の対比がいくつかの場面に散りばめられていて、それを最後に回収して、中村が雄二の人生を演じて拍手喝采を浴びるシーンは感動的でした。
また、峯井は病気になって残りの人生が短くなり一番辛い思いをしているにも関わらず、雄二の脚本家としての人生を一番に考えており、力になれなくて申し訳ないと病室で雄二に語るシーンは涙なしでは見れません。そして、中村に病気を告げるシーンは樋口幸平さんのお芝居もさることながら音の演出がとても良くて、こちらのシーンも涙なしでは見れません。
追想したい過去がある人にとっては共感できる作品であり、そうでない人もこの映画を見れば「あのときに戻りたいかも」と自分の人生を振り返る良いきっかけになる作品だと思います。
1時間5分と一般的な映画よりも短く、でも笑いあり、涙あり、考えさせられる作品なので、映画館で見る価値がある作品だと思います。