「今の時代が失いつつある大切なものを取り戻せる」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 たっちーさんの映画レビュー(感想・評価)
今の時代が失いつつある大切なものを取り戻せる
作品だと思いました。
それは「家族の絆」「仲間との信頼関係」「強い者は弱い者を助ける」といった人間として普遍的価値観を改めて示してくれるということです。これは、まさに今の時代に欠落している大きな問題点であり、それをアニメという日本文化の象徴的ツールで老若男女、世界へ発信できていることを考えると多くの人の共感を得られ社会現象になるのも仕方ないかと納得しました。そういう意味では、2020年代における名作といっていいかもしれません。
現代社会においては、先進国における核家族化の一層の進行と少子高齢化に伴い「家族の絆」はどんどん希薄化しています。
また、個人の意見を尊重するあまり極端な個人主義が前面に押し出され「仲間との信頼関係」といった概念が重要視されなくなっています。
そして、力ある者はどんどんと力を蓄え更に強力な者へと変貌し本来であれば社会のため弱者のために還元すべきモノを還元せず独占する傾向が強まる中で「強い者が弱い者を助ける」といった当たり前のことが失われつつあります。
この映画は、そういったところを思い出させてくれる点において非常に分かり易い作品だと思いました。
いくら、大切なことを伝えたくても、難解な論文では多くの人に伝わりませんし、これからの世界を担う子供向けだけの観点では大人が楽しめません。
そういった様々な時代背景、コミュニケーションツールとしてこの作品を評価してみるとまさにヒットはやむを得ないといった感想です。
ちなみに自分は、原作コミックも読んでいませんし鬼滅の刃のファンでもアンチでもありません。今回も鑑賞した理由は、『ヒットしているから』といっただけの理由です。しかし、作品鑑賞後には十分ヒットする理由が納得できました。
映画という、娯楽作品において商業的成功を収めより多くの人に受け入れやすく、納得させやすいように画面の隅々まで配慮された映像とより多くの人の共感を得られるように工夫された脚本、そしてその脚本及び原作者の意図をしっかりと受け止めたうえでの演技。
必要十分な訴求力は存分に感じ受け止め消化することができました。
ファンとアンチで評価が割れる作品と伺っていましたが、個人的には映画館(特にIMAX)で鑑賞するに足る作品だと思いました。一方で映画の奥深さや重厚性を考慮すると2回目、3回目の鑑賞はないかなとも思っています。ただ、表題でも触れましたが「今の時代が失いつつある大切なものを取り戻せる」という点を考慮すればせっかく同時代に生きているのならば、家庭のリビングで観るよりは劇場で観る方が良いかなと。経済的にも役に立てますし(笑)
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