「気迫はすごいが、演出インフレが作品の美点を損ねた気も」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 けやきさんの映画レビュー(感想・評価)
気迫はすごいが、演出インフレが作品の美点を損ねた気も
長すぎる、テンポが悪いという意見も多いようですが、長い作品が好きな自分としてはそこまで気になりませんでした。
無限城編は複数のエピソードが途中まで同時進行のうえ、それぞれの話が重厚なので、さぞ脚本は難しかったと思います。
柱たちの呼吸の描写は今回も見事というしかなく、特に映像化が難しいだろうなと思っていた蟲や蛇の呼吸は期待をはるかに超える迫力でした。
一方で気になったのは、演出がインフレ気味なこと。
原作の美点のひとつが、バトル漫画にありがちな強さのインフレがあまりないことだと思っています。
人間の肉体は弱く、呼吸も超能力ではなく、あくまで物理的な剣技にとどまるという。
でも今回はすさまじい呼吸の演出が連発されるため、かえって一つ一つのすごさが薄められてしまったような。
多くの柱たちが戦うので仕方ないのですが。
無限列車編の煉󠄁獄さんや、遊郭編の天元の最後の戦いのような、こちらも歯を食いしばって見入ってしまうような緊張感はありませんでした。
無限城の描写もさすがにやり過ぎかと・・・。
あれでは、走り回って筆で地図を書く鬼殺隊が愚かなだけに見えてしまうし、「閉じ込められた」という閉塞感がなくなってしまいます。
制作側の気迫と熱量と技術のすごさは、もう間違いありませんが、怪獣・超能力バトルにしなかったのが原作の美点だと思うので、そこは損なわないで映画化してほしいと思います。
でも、このクオリティで最後までアニメにしてもらえることだけでもとても感謝してます!
次回も期待してます。
こしむさん
コメントありがとうございます。
原作にとても忠実なアニメ版ですが、無限城の描写だけは原作との乖離が目立ちますよね。無惨だって追い詰められている立場ですから、無限城をあまり広大に描くとそこもぼやけてしまうと感じました。
Maputoさん
コメントありがとうございます。
そうですね、無限城がもはやビル群に見えてしまいましたよね。
大正テイストが原作の魅力のひとつだと思うので、あまりCGを前面に押し出さないほうがいいと感じました。
このクオリティで最後まで完走するのは作り手も大変だとは思いますが、がんばってほしいです・・・!
無限城に関しては完全に同意ですね
やりすぎちゃった感が否めず、逆に鳴女の能力すげぇ感を失わせました。
鳴女の能力凄えだろ!ではなく、制作側の「無限城制作能力凄えだろ!頑張ったから存分に観てくれ!」感が出てしまうとちょっと萎えます笑
CGとか効果はあくまでもストーリーを補完するもの。脇役であるべきものが主役のように目立ってしまうとそこで観客としては気が削がれてしまいますね。
あくまでも無限城は隊士を閉じ込めこの機会に一掃するため、という前提を考えると広げすぎる意味がない。
それだけ鬼の数を増やすと無惨の負担になるだけ。回復中の無惨がそれをする理由がない。そして皆がいうようにあの産屋敷家での作図作業も無駄になる。
一定の空間が組み替わっていくからこそ作図する意味があるのに。
ということを踏まえて欲しかったかな。
ただ海外動画なんかではこういったCGや効果が鬼滅は凄いとレビューが付くので、制作がそこに力を入れたくなる理由もわかる。
けど、もう無限城というかNYのビル群の夕景に見えてしまいました。
無限城さえもう少し抑えてくれたらもっと作品に没頭できたかな。
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