「「力と孤独の果てに——“猗窩座”というアンチテーゼが語る、鬼滅の奥深さ」」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 平野翠@事業家集団さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 「力と孤独の果てに——“猗窩座”というアンチテーゼが語る、鬼滅の奥深さ」

2025年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

「鬼滅の刃 無限城編 第一章」は、猗窩座というキャラクターの深層に切り込んだ濃密な一章だった。
派手な戦闘やアニメーションのクオリティは言うまでもなく、今回特に心を動かされたのは“対話”というテーマ。
それは、刃を交えながらも“コミュニケーション”の本質を問いかけてくるような物語構造にある。

猗窩座は単なる悪役ではなく、過去に傷を負い、人との繋がりを拒絶して鬼になった存在だ。
そんな彼が炭治郎や柱たちと対峙することで、互いの価値観がぶつかり合い、
まるで「言葉にならない想い」を技や表情、沈黙の間で交わしているようにも見える。

この作品を通して描かれるのは、力で支配しようとする者と、
弱さを受け入れてでも他者と“共にある”ことを選ぶ者との、価値観の対立であり、
猗窩座は「人間的な絆を否定するアンチテーゼ」として描かれているとも言える。

だが、アンチであるがゆえに、彼の存在が炭治郎の強さをより際立たせる。
まさに「鬼滅の刃」は、人間の強さを“誰かと分かち合える痛み”として描いている作品なのだと改めて感じた。

ラストに向かうにあたり、鬼たち一人ひとりの物語が積み重ねられていく中で、
“敵”と“味方”の境界が、単純な善悪だけでは語れないことを、私たち観客に突きつけてくる。

平野翠@事業家集団
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