「泣けるポイントが多く用意された本作。隣に熱狂マニアや女子校生がいたら要注意です。わたしが鑑賞するしたときも隣の女子校生の三人娘がワンワン泣いて、喧しかったです。」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
泣けるポイントが多く用意された本作。隣に熱狂マニアや女子校生がいたら要注意です。わたしが鑑賞するしたときも隣の女子校生の三人娘がワンワン泣いて、喧しかったです。
集英社「週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴のコミックを原作とする大ヒットアニメ「鬼滅の刃」シリーズのクライマックスとなる、「無限城編」3部作の第1章。
●これまでのあらすじ
鬼になってしまった妹・禰豆子(声担当※以下略・鬼頭明里)を人間に戻すため、鬼狩りの組織・鬼殺隊に入った竈門炭治郎(花江夏樹)は、同期の仲間である我妻善逸(下野紘)や嘴平伊之助(松岡禎丞)とともに数々の鬼と戦いながら成長し絆を深めてきました。炭治郎たちは鬼殺隊最高位の剣士である「柱」たちと共闘し、無限列車では炎柱・煉獄杏寿郎(日野聡)、遊郭では音柱・宇髄天元(小西克幸)、刀鍛冶の里では霞柱・時透無一郎(河西健吾)や恋柱・甘露寺蜜璃(花澤香菜)とともに死闘を繰り広げてきたのです。その後、来たる鬼との決戦に備えて、柱による合同強化訓練・柱稽古に挑んでいる最中、鬼殺隊の本部である産屋敷邸に鬼舞辻無惨(関俊彦)が姿を現します。お館様である産屋敷耀哉(森川智之)の危機に駆けつけた炭治郎や柱たちは無惨によって謎の空間へと落とされ、鬼の根城である無限城での最終決戦に身を投じていく。
●本編のあらすじ
鬼殺隊は、隊士も柱たちも鬼舞辻無惨の策略により、落とされて無限城へと迷い込こんでしまいました。
果てしなく続く無限城の迷路のような空間の中で、胡蝶しのぶ(早見沙織)は、上弦の弐・童磨(宮野真守)と、我妻善逸は、かつての兄弟子で、上弦の陸の鬼となった獪岳(かいがく・細谷佳正)と、竈門炭治郎と冨岡義勇は、上限の参・猗窩座(あかざ・石田彰)と遭遇し、激しい戦いを繰り広げます。
一方、無惨を罠にはめるため犠牲となった産屋敷耀哉に代わり、その長男・産屋敷輝利哉(悠木碧)が戦闘の指揮を取り、愈史郎(ゆしろう・山下大輝)の血気術によって、無限城を探索する鴉と視覚を共有しながら城の中に潜む無惨の位置を探っていきます。
果たして当面の目標である鬼舞辻無惨の居所は掴めるのでしょうか。
●解説
無限城編は、何回かに分割されたため、一作目となる本作の展開スピードは、決戦ムードを包みつつもなかなか進みません。まずは途方もない無限城の奈落にひたすら落ち続けていく鬼殺隊の主要メンバーの姿が描かれます。無限城の奈落の描写は素晴らしく、本当に上下左右が無碍につながり、その果てしなさが実感できる映像として描かれています。
第一章だけに上弦の鬼との対決も限定的。
まずは胡蝶しのぶと上弦の弐・童磨の対決編。
童磨は、漫画『鬼滅の刃』に登場する上弦の弐の鬼です。常に笑顔を浮かべ、飄々とした掴みどころのない性格で、感情の無いような言動が特徴です。血鬼術「粉凍り」を使い、肺を壊死させる霧を発生させたり、蓮の花のような氷を操る技を使います。
童磨は、鬼舞辻無惨に忠誠を誓っていますが、無惨からはあまり好かれていません。また、他の上弦の鬼である猗窩座からは激しく嫌われています。これは、童磨が感情の無いような態度で、人を食べることにこだわりがないためです。
個性的なポーカーフェイスなのに、強力な血鬼術を操る童磨に対して、胡蝶は蟲柱として医学に精通しており、鬼を滅殺する毒を使用する蟲の呼吸を使いこなし、首を切り落とさずに鬼にダメージを与えられる唯一の柱として奮闘するところが見所の一つとなっていました。
ところで姉の花柱であった胡蝶カナエを数年前に殺したのはこの童磨であったのです。胡蝶にとって姉の仇である童磨。それだけに今までふられてこなかった胡蝶の半生も描かれて、姉と絆の深さも感動的に紹介されました。
次に描かれるのは、上弦の弐・童磨と、我妻善逸の対決編。獪岳は、善逸の兄弟子であり、元鬼殺隊の剣士です。最終的に鬼となり、上弦の陸にまで上り詰めます。
獪岳は、利己的で攻撃的な性格で、善逸に対しても冷たく、暴言を吐くこともありました。師である桑島慈悟郎の教えを軽視し、鬼舞辻無惨に心酔し、鬼となることを選びました。獪岳を突き動かしたのは、常に「正しく俺を評価する者につく!」という自己承認要求でした。その元になったのは、善逸への劣等感だったのです。獪岳は雷の呼吸の使い手で、ほとんどの型を会得できたのにどうしても「壱ノ型」を会得できませんでした。それを「壱ノ型」しか使えない善逸によって、「壱ノ型」を極めてしまったことに対しても、強い劣等感を抱いてしまったのでした。
二人の関係は、原作の中でも大きなテーマでした。獪岳の自己承認要求に対して、最終的にどんなアンサーが下されるのかが、本作でも見所の一つとなっています。
また善逸がなんと自分で開発した新しい型を初めて披露するシーンも、きっと驚かれることでしょう。
今回最後に満を持したように登場するのが、無限列車編で炎の柱・煉獄杏寿郎を殺した鬼滅ファンにとって憎き存在の上限の参・猗窩座です。竈門炭治郎と冨岡義勇との戦闘シーンによりも長く語られるのが、彼の人間として生きていたときに味わった悲劇でした。彼の物語は、「敵にも心がある」というテーマを体現するものであり、彼の生き様は、多くの読者に深い印象と共感を残す、鬼滅の刃という作品の中でも屈指の名キャラクターといえるでしょう。本作を見終わった観客からも、彼の人間性や過去への共感が広がっています。本名・狛治としての過去、恋雪(こゆき)との悲劇が彼の鬼としての性格を形成しています。恋雪とのシーンはきっと涙に誘われることでしょう。強くなることで愛する人を守りたかったという狛治の想いが、皮肉にも鬼化の動機になってしまったのです。なので猗窩座というキャラクターは、鬼でありながら最も人間らしい存在として描かれています。物語の終わり方も猗窩座の武人としての誇りを感じさせるものでした。
最後に原作をお読みの人は、この最終決戦で何人かの柱が犠牲になることが描かれています。
本作でも早くもひとりの柱が犠牲になることを明らかにしておきます。衝撃的な死でした。
●最後に一言
泣けるポイントが多く用意された本作。隣に熱狂マニアや女子校生がいたら要注意です。わたしが鑑賞するしたときも隣の女子校生の三人娘がワンワン泣いて、喧しかったです。特に猗窩座の狛治だったころに体験する婚約を交わした愛する恋雪との切ない愛の物語のシーンでは、臆面もなく大号泣(T^T)。こっちが台詞が聞き取りづらくなるほどでした(^^ゞ
本作をご覧になるときは、隣に誰が座っているのか要注意ですね。
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