「満足感はMAXやけど、映画としては少し引っかかる点も・・・」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 somebukiさんの映画レビュー(感想・評価)
満足感はMAXやけど、映画としては少し引っかかる点も・・・
全世界で2億本以上を売り上げ、近年最も社会現象を引き起こした漫画の最終章を描く劇場版アニメ作品。
本作、無限城編第一章はアニメシリーズで描かれた柱稽古編に続く、いわば最終章である3部作の1作目となる。
親方様をエサに無惨を引きつけて、柱を集合させる。ついに無惨を追い詰めた、、、と思いきや、次の瞬間、無限城へ空間移動させられた炭治郎と柱たち。
ここから鬼と鬼狩りの最終鏡面 の戦いへ。
まず、鬼滅の刃のアニメといえば、従来の漫画のアニメ化と比べても、鬼滅の刃のクオリティは群を抜いている。
漫画はひとコマずつ描かれていくので、ストーリーに関する部分は丁寧に書かれていても、戦闘シーン・アクションシーンに関しては、ディティールを細かくは書けないず、特に鬼滅の刃の場合は最適化されたくらい戦闘シーンの場面に無駄がない描かれ方をしている。
漫画を読んでいる間は、何も疑問も生まれなかったが、アニメーションを見た時に衝撃を受けたのを今でも覚えいる。
アクションシーンの補完が凄い、漫画の戦闘シーンを1とするなら、10〜100倍くらいの盛り上がりを生み出しているアニメーションにより、作品が生み出すシリアスさに緊張感・ヒリヒリ感が増されているのが非常に印象的な作品である。
また、アクションだけでなく、間の生み出し方も非常に印象的で、漫画だけ次のコマを見ると、次の展開に進んでしまうが、アニメだと次のコマにたどり着くまでに、沈黙や呼吸、時には背景や移動で数分補完されるなど、シーンごとに緊張感をあげる間の作り方もよくできているアニメーションである。
ここからは多少のネタバレになるが、
本編では原作漫画の16巻〜18巻の途中までが描かれた話となっている。
劇場版だからこその魅力は3つ。、
・無限城の壮大な世界感。
炭治郎や柱たちが連れて行かれた空間である無限城は漫画では、感じられなかったどこまでも続く無限の世界、まさに名の通り無限の城であり、この映像を劇場で見るだけでも鬼滅の刃の世界観に引き込まれてしまう。
・圧倒的なアクションシーン
本編では、主に「胡蝶しのぶ」「我妻善逸」「竈門 炭治郎、冨岡義勇」が上限の鬼と戦うのだが、どの戦闘シーンも息することを忘れてしまうほど、戦闘シーンが表現されている。漫画では表現できない技の表現だけでなく、かなり補完されているアクションシーンが魅力的である。初めてスターウォーズのジェダイがライトセーバーで戦っているシーンを見たくらいの「カッコよさ」を感じた。
・原作に忠実に描かれた最終章にふさわしい3つの切ない物語
涙なしでは見ることができない、人気なキャラクターの切ないエピソードが描かれている。
原作ファンなら必ず映画館で見ることをおすすめしたい。
ただ、満足感に浸った映画館からの余韻に浸る帰り道でいくつかふと気になった。
・回想シーンのよるテンポの悪さ
鬼滅の刃の魅力である、キャラクターの背景や心情は回想シーンを用いて描かれることが多い。漫画だと戦闘シーンなどの区切りの次の話で回想が入り、単行本としては見やすい構成となっている。ただ、映像化とくに劇場版の1本にまとめられた際に、3つのエピソードの中で、それぞれ複数回想シーンが盛り込められることで、戦闘→回想→戦闘→回想→戦闘のハンバーガー構成となっているため、見ていて「あ、また回想か」ってテンポの悪さをどこか感じてしまった。もし、これがテレビシリーズであればもう少し上手く作れたのかな?って思う部分もあった。
・1本の映画作品としての構成
鬼滅の刃の劇場版「無限列車編」では、非常に物語の構成が素晴らしく、基本的な起承転結が上手くまとまっており、ラストに向けての盛り上がりからの感動を生み出す作りが見事見事だった。ただ、本作無限城編では、そもそも複数のエピソードが並行して描かれていくので、起承転結の構成が細分化されてしまっている。そのため、積み上げたストーリーの感情の大爆発が起こりにくく、起こったとしても無限列車に比べて小さなものになってしまった気がした。
・主題歌の印象
鬼滅の刃といえば、主題歌も魅力的である。
LISAの「紅蓮華」やAimerの「残響散歌」、とくに無限列車編のエンディング「炎」も非常に感動を呼ぶ良いエンディングだった。
しかし、本作ではエンディングが本編の延長で流れており、映像の方が気になり、歌に集中できず、余韻に浸る時間が非常に薄かった。もちろん、無限城第二作に向けたつながりも大切やけど、本編とエンディングは切り分けて作って欲しかった。そのため、主題歌の存在が薄い印象となった気がする。
とはいえ、どれも原作を忠実に表現するからこそ仕方ない部分でもあるが、原作漫画すでに読んでいる人に向けた作品作りになっている気がした。
映像としては最高のアニメーションだったし、最終章ゆえのアクションシーンはぜひ映画館で体感すべき内容だった。
第二章の公開はいつになるのか。
今気持ちが冷めないうちに早く次が見たい。
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