「迫力のあるバトルシーンは堪能できるものの、過去のエピソードが冗長に感じられてしまう」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
迫力のあるバトルシーンは堪能できるものの、過去のエピソードが冗長に感じられてしまう
胡蝶しのぶVS上弦の弐、善逸VS鬼になった兄弟子、そして、炭治郎と冨岡義勇VS上弦の参(猗窩座)の3つの対決シーンが、物語の骨格になっている。
上弦の鬼と柱たちとの戦いとあって、ハイレベルで迫力のあるバトルシーンが堪能できるし、「刀鍛冶の里編」では鬼たちの過去が語られずに物足りなかったものの、今回は、敵味方の登場人物たちの背景が丹念に描かれていて見応えがある。
姉の仇を討とうとしながらも、上弦の弐の圧倒的な強さに屈する胡蝶しのぶの姿には胸が痛むし、いつの間にか腕を上げていた善逸の成長ぶりには、嬉しい驚きがあった。
村田をはじめとする一般隊士たちが奮闘するところや、産屋敷の息子が生き残っていて、無限城の情報収集・分析に打ち込むところには、「総力戦」としての盛り上がりも感じられる。
炭治郎と義勇が二人がかりで猗窩座に挑むクライマックスも、当然、手に汗握る展開になっているのだが、その一方で、「勝負あった」と思われたところから始まる猗窩座が人間だった頃の回想シーンには、冗長さを感じざるを得なかった。
病弱な父親や「素流」の師範とその娘とのエピソードは、猗窩座が鬼になった理由に説得力を与えているし、首を切られても死ななかった猗窩座が、蘇った「愛」の記憶によって滅んでいくところも感動的ではあるものの、ありきたりと言えはありきたりで、上映時間を勘案しても、もう少し簡潔に描いても良かったのではないだろうか?
例えば、妓夫太郎・堕姫と炭治郎・禰豆子の兄妹の関係性のように、猗窩座と父親の関係性を、その直前に描かれた炭治郎と父親の関係性に重ね合わせたり、あるいは、煉獄杏寿郎の弔い合戦という位置付けが強調されていたならば、猗窩座との対決が、もっと深みのあるものになったように思えてならない。
いずれにしても、さらなる激戦が予想される第二章が楽しみになったという点においては、満足のいく第一章であった。
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