逃走のレビュー・感想・評価
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逃走が闘争?
49年におよぶ逃亡生活の末に病死した東アジア反日武装戦線の元メンバー・桐島聡を描いた作品。
1970年代の日本で、東アジア反日武装戦線・さそりのメンバー・桐島聡は、企業爆破殺人事件の実行犯として重要指名手配された。その後、逃亡の日々を過ごし、いつ逮捕されるかわからない緊張感のなかで日雇い仕事を転々とし、内田洋という偽名で神奈川県藤沢市の工務店に住み込みで働いていた。ブルースやロックを好み、近所のライブバーに通う一方で、かつての仲間たちの姿を思い浮かべては日本社会についての不満、逃走が戦いだという認識で過ごしていた。2024年1月、70歳となった彼は末期がんと診断され、病院のベッドで余命1週間と医師から告げられた。そしてついに、自分が桐島聡だと言い、その4日後に亡くなった、という事実に基づく話。
狼、第一の牙、さそり、と3つもグループが有ったことを知れた。
人が死んだことについては反省してたんだとわかった。
その理由が、爆薬の量の計算ミスであり、人が死ぬことは想定外だった事もわかった。
逃げることが戦う事との認識だったとは、そんな事を思っていたのだとわかったが、個人的には、違うんじゃないか、と思った。
青年時代の桐島役の杉田雷麟は長髪の時の桐島聡によく似ていた。桐島の恋人の女性役の中村映里子は魅力的だった。
桐島とともに逃亡したが、先に逮捕された宇賀神寿一は刑期を全うし、罪を償って著書も発行したりしてるが、ほぼ最後まで逃げ切った桐島聡とどちらが幸せな人生だったのだろう。
ふと、小野田寛郎さんを思い出した。
良い
桐島聡を偲んで
桐島聡
2024年1月29日胃癌のため鎌倉市の病院にて70歳で他界
2025年映画館鑑賞36作品目
4月19日(土)フォーラム仙台
会員料金1500円
監督と脚本は『断食芸人』の足立正生
みなさん御存じ指名手配の爽やか眼鏡イケメンの桐島聡の逃亡劇を描いた作品
晩年の桐島聡に若い頃の自分自身とツーショット
さらには若かった頃の仲間たちとも遭遇したりする
病床の夢の中か
桐島聡も足立監督も政治的主張は何一つ共感できるものはない
日本語なのに日本語に感じない言葉の羅列は欠伸すら出そうになる
だがそれゆえに刺激が強かった
逃走が我が闘争
逃げるが勝ち
威勢の良いこと書き込んで散々煽りつつオフ会となると絶対に来ないヘタレネット番長のよう
極左ってほんとうにダサい
それにしても警察はやっぱり無能
またしても吉岡睦夫
今日もどこかで吉岡睦夫
脇役ではクセのある発言者として良い味を出していた足立智充が印象深い
病院で勝利宣言し「桐島聡として死にたい」というニュアンスの発言をしたときの古館寛治の表情が良かった
配役
東アジア反日武装戦線のメンバーの桐島聡に古舘寛治
青年時代の桐島聡に杉田雷麟
東アジア反日武装戦線のメンバーで桐島の先輩の宇賀神寿一にタモト清嵐
日雇い労働者に吉岡睦雄
隣に住む男に松浦祐也
キャバクラの客に川瀬陽太
桐島がお世話になる最初とは別の土木会社の社長に足立智充
結婚詐欺前科2犯という過去を持つ桐島の恋人のリエに中村映里子
桐島が最初にお世話になる土木会社社長の妻にさいとうなり
桐島が入院している病院の事務長に信太昌之
この顔にピンときたら110番!
古舘寛治のフォークソングは上手かった
桐島聡の逃走の話。
彼は昨年の1月に病院で自首したんですね。
なんとなくニュースで見たような気もするが。。
映画の冒頭、病院のベットの桐島聡から始まり、若い頃の事件、そして逃走が語られる。
長い日雇い労働者の生活。
逃走犯の心の内面、葛藤が描かれる。
逃走する事を正当化しているだけのようにも思えた。
革命という言葉が何度も出てくる。
昔、チネ・ラヴィータで見たチェ・ゲバラの映画を思い出した。
1970年代の過激派の事はほとんど知らない。
そして、腹腹時計、凄い本があったんですね。
死ぬまで逃げ続けて、彼の人生に意味があったのだろうか?
今の世の中では、革命のための武力闘争は別世界の話のように感じる。
時代が違うと言ってしまえばそれまでだが。。
思想を貫いて、革命のために生きる。
革命とは何ぞやと思ってしまった。
まさに1970年代的であって、今の世の中では生まれない発想でしょう。
どんな理由があっても、暴力は絶対に肯定されるべきでは無い。
いろいろと考えさせられる映画でした。
古舘寛治はギターが弾けて歌も歌える
フォークソングを歌ってたけど上手かった。
エンドロールをみていたら音楽は、あまちゃんの大友良英でした。
なんとなく納得。
49年間をこんな描き方でいいのだろうか?
半世紀に及ぶ非常に長い「青春時代」を過ごすハメになった桐島聡を描く 面白うてやがて哀しき「青春映画」
人には大人になるために通ることとなる通過儀礼があります。成人式、卒業式、入社式等……話を通過儀礼的な何かにまで広げれば、就職やら恋愛やら結婚やら、それに伴う出会いやら別れやら、そんな様々な経験になります。それら経験を通して、人は大人への階段を登ってゆくわけです。さて、ここに、そういった大人になるための経験が大学入学以降ほとんどないまま死を迎えた人物がいます。1970年代に爆弾テロを実行した過激派のメンバーで全国指名手配され、半世紀に渡る逃亡生活の後、病死した桐島聡、その人です。この作品はその桐島の半生を追ったドラマです(事実に基づいていると思われますが、かなり脚色されている感もあります)。
物語は瀕死の床にある桐島とその回想シーンから始まります。若い頃の彼が同志たちと山で爆弾の実験とかして青春真っ只中という感じで登場します。たぶん、爆弾をあちこちで破裂させ、そのうちに自分たちを支持する民衆が蜂起して国会議事堂や首相官邸を取り囲み、革命が成就するといった、今なら中学生でも笑いそうな革命のシナリオを夢想していたのでしょう。彼はこの夢を抱えたまま年齢を重ねてゆきます。スーツを着ての就職活動もしませんし、大学も卒業しません。おそらく同年代の男子たちの多くが経験していたであろう、恋愛の悦びや失恋の痛みとも無縁であったことでしょう。
やがて同志たちは次々と逮捕され、桐島は革命への夢を抱えたまま孤独な逃走を続けるハメに陥り、孤独の中、生きること、逃げることの意味を自問自答することになります。この自問自答のパートがなかなか面白かったです。人として成熟してゆく機会を失ってしまった桐島ですので、少し青臭い哲学的な問答ですが、それをうまく見せているなあと感心しました。ただ、青臭いとは言いましたが、自分と真摯に向き合う桐島の姿はけっこう胸に迫るものがあります。バカ正直という言葉からの連想で造語しますが、桐島は「バカ純粋」で「バカ誠実」といった感じです。こういった要素が暗く重い内容を扱っているにもかかわらず、意外と明るく爽やかな鑑賞後感に繋がっているのかと思いました。成熟を拒否して革命を夢想し、永遠の青春を生きた男を描いた青春映画といったところでしょうか。ただし、青春映画によくある愛や友情といった要素は孤独な彼にはほぼ無縁でしたし、やがては大人への階段を登り始めるなどといった要素も彼には土台無理でした。また、身分を偽っての逃走なので健康保険に加入できるはずもなく、それがあの最期に繋がったということで罰を受けたとも言えましょう。哀しい青春映画と言えるかもしれません。
いずれにせよ、私には非常に面白い映画でした。素材がよかったのでしょうか。私、昨年、この桐島に関する一連のニュースを見聞きした際には「これ、映画化案件じゃないの?」と思っておりましたので、我が意を得たりという感じです。7月には毎熊克哉が桐島を演じる『「桐島です」』が公開されるとのことなので、高橋伴明監督がどんな桐島聡像を見せてくれるか、非常に楽しみです。
対光反射調べないと
生涯信じ続けること
左翼過激派活動の是非はともかくとして、
信じた道を貫き通した桐島聡の生涯を描いた本作は、
ほとんどが逃走という本人にとっておそらく不本意な形ではあったと思うが、
不思議と爽やかな鑑賞後感が漂う。
それは、日雇い仕事を点々としながら逃走しつつ、
ときに理想に対する自身の疑念と対峙して苦しむ姿が描かれる一方で、
飲み屋で職場仲間や隣の席の人間に絡んだり、
バーでダンスを踊ったり、活動家の仲間と再開したり、
といった日々の暮らしのシーンにおいて、
登場人物のセリフやキャラクターにユーモラスで明るいテイストが随所に散りばめられ、
たまに出てくる演劇的な構図も相まって、比較的客観的に描かれているのが要因と思う。
古舘寛治さんのどこか自虐的な笑いや表情、佇まいや、独特の語り口は、
主人公のキャラクターに付合していてすごく引き込まれた。
大友良英さん、山下洋輔さん、坂田明さん、といったフリージャズ名手の音楽もぴったり。
”教皇選挙”とは全く違った話ですが、信じ続ける生涯を描いた映画だと感じた。
逃走と闘争
逃走は闘争か…
“当局からの逃走”のはずが、いつの間にか“逃走する理由からの逃走”へと変わりゆく桐島の様子がうまく描かれている。
終始モノローグによる自家撞着に陥っていた桐島、そして“逃走することが闘争なのだ”という信念で矛盾を止揚していた桐島は、死をもってして本当の逃走を(堂々巡りからの逃走を)完遂する。
(ピアノのジャカジャカした演奏は映像にマッチしてなくて耳障りだった)
(桐島:マルクスは何を読めばよいか?
先輩:無理に読む必要はない。俺も1~2冊しか読んでない
→これが本当のやり取りかどうか分からないが、桐島とその仲間たちに思想的動機が希薄だったことが想像できる)
実話だけどドキュメンタリーではないからね。
この手は大抵は重苦しかったりするものだが、なんかちょっとコミカル。音楽がそうさせるのだろう。コミカルだが不安定な音楽が、逃走中の生活感をよく表していたと思います。
実話、実在の人物ですが、逃走中の生活や本人の葛藤や思いは、結局、見聞きした内容を元にした想像でしか無い。
なかなか面白い見せ方だったと思います。
どこで間違ったのか、どうすればよかったのか
1974年の三菱重工本社ビル爆破をはじめとする連続企業爆破事件の犯行グループである東アジア反日武装戦線のメンバーとして指名手配を受けながら50年年近く逃走を続け、昨年病院で亡くなる直前に本名を名乗り出た桐島聡氏を巡る物語です。彼は逃走中何を考え、そして最後になぜ実名を名乗り出たのでしょうか。本人が既に亡くなっている以上、多くの事は想像するしかないので、結局はあの時代の「闘争」とその後の「逃走」に制作者が何を仮託するのかが問われる事になります。
本作は、それを映画化するには最も相応しいと思える、85歳現役の足立正生さんの監督です。20年以上を日本赤軍としてパレスチナの地に身を置いていた監督は彼の生涯をどう見るのでしょう。作品は桐島氏の50年を、贖罪の思いを抱きつつ闘い続けた年月として見つめ、最後に名乗り出たのは昔の仲間や世界へのメッセージと捉えている様に映りました。しかし、氏が抱いたであろう迷いや悩みも重層的に描き、その解釈を批判的に観る事も可能な扉も多く設けられています。僕は、スクリーンの前で感じ入ったり、疑問を抱いたり。でも、本作に最も相応しい監督が迅速に制作し世に問うて下さった事にまずは感謝です。
そして、この日は監督舞台挨拶がありました。誰にも止められない足立監督のお話はやっぱり面白いし、その言葉を手掛かりにもう一度作品を考え直したいと思えましたた。「理念は正しかったが行動は間違っていたという考えは誤り。誤った行動は理念の誤りの中から生じる」の言葉は非常に含蓄があり、帰り道に反芻する事になりました。
7月には、やはり桐島氏をテーマにした高橋番明監督の『桐島です』が公開予定です。こちらも必ず観ます。
青春の続き
映画はコレでいいのか?
闘争、逃走、逃争
連続企業爆破事件の被疑者として49年の逃亡生活の末、2024年ガンによって死ぬ直前に身分を明かした東アジア反日武装戦線の元メンバー桐島聡の話。
身分を明かす直前、病床でうなされながら過去を振り返るモノローグでみせていく。
実はベースではあるけれど、亡くなる直前に素性を明かした訳で、逃走中の行動や機微は概ね監督の想像や監督自身の思想が強く反映されたものになっていると思われるが、そちら側に近いところにいたこの監督だからこその解説的な側面もあるのかと。
途中、自問自答部分で主人公も言っていたクドさを感じはしたものの、自分勝手だけれど哀しさも感じるし、ある意味では罰を受けている様な主人公の暮らしをみせる物語で、なかなか面白い作品だった。
半世紀経ても、なにも変わっていない?
連続企業爆破事件の指名手配犯で、死ぬ間際に正体を明かした桐島聡の物語。まあ、昨年の事件だったこともあり、際物と呼ぶ類の、速成映画化だ。その点では『電車男』以来のタイムリーイメージ。だがしかし、元日本赤軍の足立正生監督作品ということで、相当に角度がついている。大きな流れの真実は、日雇い仕事で転々と逃走(闘争)した、という事なのだろう。そこを、様々なエピソードで膨らませ、死にゆく霧島の妄想として、かつての仲間との闘争の総括闘論のシーンなどが描かれる。このあたりは、足立監督のアジテーションなのだろう。あまりに諦観的、自省的、しかし闘い続けるしかない霧島の心象風景を監督は創造している。かなり感傷的に。そう、同じ戦場で闘争した『戦友』の死を悼むかのように。
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