アイミタガイのレビュー・感想・評価
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アイミタガイ ≒ 間接的互恵利他行動 ≒ 情は人の為ならず
1. 情は人の為ならず
ヒトが初対面の他人にも利他的(altruistic)に振る舞う事は、進化生態学では説明するのが難しい。此処で「利他的」とは単なる協力ではなく、「自分が損してまで」相手に得させる事。その為、他人から協力されるだけで何の恩も返さないfree riderに搾取され易く、利他的な行動は理論的には広まり難い筈。
しかし1998年に提唱された「間接的互恵行動」が理論的ブレイクスルーとなる。利他的に振る舞う善人の「評判」が世間に広まり、「評判」が高い善人が初対面の他人からも協力してもらえるなら、free riderに対抗し得るという理論。実験的な検証例もあり、ヒトに利他性が維持されている要因に「間接的互恵性」が重要だと考えている研究者は多い。
本作が取り上げた「相身互い」は「間接的互恵行動」に近い。協力した相手からの見返りを期待する「直接的」互恵行動とは違い、「間接的互恵性」では余程評判が悪い相手でなければ、誰にでも親切にするという平和な社会が維持されうる。他人にかけた情が、回り回って自分に返ってくるという慣用句「情は人の為ならず」とほぼほぼ同義に感じる。
本作で、ヒロイン(黒木華)や親友(藤間爽子)や恋人(中村蒼)の何気ない善意が、自身の関係者に返ってくる様はよく描かれている。手を掴んだ後の親友が、ヒロインを窮地から救うシーンは青春そのもの。こみち(草笛光子)が、無意識に与えた癒やしが、自身が再生するきっかけになる展開もいい。親友の両親(田口トモロヲ, 西田尚美)の切なさは心に刺さる。いい人過ぎないヒロインと、仔犬のように慕う恋人の関係も微笑ましい。
📕
2. 偶然も連鎖させ過ぎると御都合主義に
ただ本作の終盤で畳み掛けられる偶然の連鎖は若干興醒めした。「陰日向に咲く」程あざとくないが、逆にあれくらい派手n方が潔かった。情が世の中を駆け巡って返って来てほしいとは期待するが、本作ほど短い経路で友人や恋人、遺族に返ってくるのは「ご都合主義」が過ぎる。伏線回収と悦ぶ観客がいるのだろうが、現実味が薄れたのが残念だった。
車屋さん(苗字)は全国で約70人。
この世は良き縁によって生かされている!
久々に繊細で心が優しくなれる美しい映画を見た気がしました。ヒロイン(黒木華)の大親友である女性カメラマンが、外国で亡くなったこと以外は、淡々と進む日常が描かれます。しかし、実はそれこそが本当の幸せを含んでいるということを、見事に端々に表現しているこの作品に、ものすごく感動しました(正直5回ぐらい泣きました)。ドラマチックな人生でなくても、日常はこんなにも多くの愛が潜んでいるのだということを、改めて教えていただいたようです。家に帰ったら、家族や隣人たちをもっと大切にしたくなりました。タイトルの「アイミタガイ」は、実に含蓄が深い言霊です。その意味は、人間は縁によって生かされているということなのでしょうか。劇中では「アイミタガイ」を「持ちつ持たれつ」と表現していましたが、私たちの人間関係において、誰にもお世話にならないで生きている人などいないということなのでしょう。良く因縁(物事の持っている定まった運命)という言葉を使いますが、この作品では見事にそれを日常の中で再現しています。ヒロインの彼氏が電車の中で本を落として起こした人物は実は亡くなった女性カメラマン父親だったとか、ヒロインに結婚指輪を作ろうと出かけた店の店主が、ヒロインの携わった結婚式に出席していたとか、それらの幾つもの出来事の偶然(必然?)に思わず唸ってしまいました(びっくりする設定です!)。この世は全て縁で繋がり偶然など一つもないような気さえしてきます。そして登場人物たち、ひいては人間全てが自然に幸福の方向へ、愛の方向へ、間違いなく進んでいるという表現に滂沱の涙でした(感謝!)。きっと、良い人だけ登場する作品も嘘偽りではないのかもしれません。
持ちつ持たれつ、お互い様‼️
この作品は群像劇としてはこの数年で一番の秀作かもしれない‼️梓と叶海という中学時代からの親友同士の友情の物語‼️叶海が事故で不慮の死を迎えたことをきっかけに、両親の離婚のために結婚に踏み切れない梓とその恋人、倦怠期を迎えた矢先に娘を失った叶海の両親、93歳の老女とそのヘルパーを務める梓の叔母のお話を軸に、登場人物の一人一人が絶妙につながり、観る者を幸福感で満たして素晴らしい感動を与えてくれる‼️中学時代の梓と叶海の夕方6時の憩い、そしてある金婚式での草笛光子さんのピアノがホントに胸に沁みる‼️叶海の両親に初めてお会いした梓の美しい涙‼️こっちまで泣けてくる‼️ラスト、恋人の思いに応えてあげたい梓の手を叶海が引っ張り、行っちゃうシーンもホントに素敵なシーン‼️続く恋人のプロポーズを受け入れる梓役黒木華さんの演技もホントにたまらない‼️出演者も黒木華さんをはじめ、皆さん好演なのですが、いわばこの作品の要とも言うべき叶海役、成年時代の藤間爽子さん、中学時代の白鳥玉季ちゃんの二人の、まるで全編を包み込むような存在感が特に素晴らしいですね‼️そして観客一人一人に語りかけるような黒木華さんによる主題歌も忘れられない余韻を与えてくれます‼️
概ね優しい映画でしたが。。
予告編を見た時はあまり興味は沸かなかったのですが、レビューが良さそうだったので鑑賞してみました。
色々な出来事が繋がっている、という優しい映画でそれなりに良かったですが、
冒頭、主人公の友達(カメラマンの女の子)がレストランの他のお客さんの親子をいきなり勝手に撮影していたのがすぐ気になってしまい。。
いくら撮影を生業としているカメラマンだとしても、雰囲気の良さそうな親子がレストランの店内にいるな〜と思ったとしても。。なんだかいきなり盗撮していたのでちょっと幻滅しました。
(この友達の行動に何も言わない主人公にも違和感。)
学生時代の「主人公を助けるためにイジメの現場を即座に撮影した」というのは理解出来ますが、冒頭の親子へ突然撮影してしまった場面が私にはマイナス点でした。
(もし自分が勝手に被写体にされたら不愉快です。。この映画の唯一残念な所。)
*****
ただ草笛光子さんのピアニスト姿、靴に合わせてドレスも、と新調して90歳を超えても背筋を伸ばして颯爽と1人でステージを歩く姿はとても良かったです。
こういう、高齢者になっても颯爽とした佇まいでいよう、とお手本になりました。
人が繋がりあって生きている、というテーマそのものは良い作品だったと思います。
実は繋がってるってのが好きみたい
超オススメ
「まぁとにかく観て!」って思える作品
中学時代のイジメにあっていた時に助けてくれた同級生と長く良い友人として付き合っていた中、不慮の事故に遭いその友人を亡くしてしまった主人公の話
普段、私は座右の銘として「情けは人(他人)の為ならず」心掛けていて「アイミタガイ」とは意味が違うのですが亡くなった友人が他人に情けをかけていた事により、めぐりめぐってその友人の親御さんの傷を癒やす為に恩が帰ってきたのだなぁと思ったら親御さんが出るシーンは全て泣いちゃった
当然、他にも点と点が繋がる良いシーンが沢山あります
観てのお楽しみです。
出演されている演者の皆さんが最高に良くて風吹さんは年齢を重ねても可愛いなぁなんて思ったり最後の主題歌を黒木さんが歌っているのですが、これがまた良いのです
本当に観てほしい作品
伏線
終盤にかけていろんな伏線が繋がります。どれもグッとくるのだけれど、本を落として目を覚ましたお父さんが娘に最後会えたところ、涙が溢れました。
歳をとったせいか、娘を亡くしたご両親に一番目を奪われました。親より先に逝っちゃいけないんよ、などと映画の本筋とは関係ないことが心に浮かびます。
人間どこで誰とどんなご縁で繋がっているのかわからないんですね。知らないところで誰かに助けられている。普段そんなこと忘れちゃってなんで私ばっかりしんどいの、とか考えちゃう。
忘れないようにします。
アイミガタイの空に
性善説で世界は出来ている映画。
名古屋と言うちょうど良い都会で、田舎のような全員知り合いみたいな世界でも無く、本当ちょうど良いサイズで人の繋がりと奇跡で産まれる幸せを描く。
もうね、顔も名前も知らないどっかの誰かに、少しずつ助けられ、幸せを得てんんのよ。
何処かで誰かに助けられ自分も知らずにだれかを助けてる。
この映画の登場人物全員が善人。
世界がこうで有ればサイコーだな!!
ん?
んじゃさ、開始早々主人公を事故に巻き込んだ車のドライバーは何んなん??
顔も名前も出てこないから、彼か彼女か知らんけど、あのドライバーはどう言う因縁で不幸をを産んだの?
アイミガタイの理念なら、主人公からの発信因縁、主人公近くからのいじめ暴力じゃないと事故巻き込むとか理屈が通らない!
映画のカメラに映らないだけで、主人公に不幸を与えられてたって人生なの?あのドライバー?
あの後交通刑務所に収監されて、口にねじり棒突っ込まれたり、意地悪な署長に帳簿のごまかしとか手伝わされ、下水道で脱獄試みたりすんの?
幸福の連鎖だけ描かれてもさー。
アイミガタイ。
余りに美しくウェルメイドだったけど、そっちのお互い様感は都合よく無視してね?
ゴメン、この映画に関わったので悪人なのは、心の汚れた俺一人だけです。
これは良い 泣ける ◎◎◎◎◎
これはすごく良かった
ファンタジーじゃないリアルな不思議な感じの話でした
悲しい泣きではなく、感動の泣きのため心地よい
見やすさ◎
ストーリー◎
キャラクター◎
没入感◎
個人的好み◎
オモイはカタチになる
どんどん繋がっていく伏線の数々が秀逸
ウェディングプランナーの梓さん
出張先で亡くなってしまった親友の叶海さん
梓の交際相手の澄人さん
この3人の関係した人たちがそれぞれの出来事を伏線として、回収されるとどんどん心が和まされる。
悪人はこの話にはいません(強いて言うと梓さんの客の女性が未婚の梓よりも結婚しているプランナーを希望するのは悪い奴と思うけど、悪意で言った理由でなく梓さんの結婚への変心を後押しするのに出て来ていただけ)。
叶海さんの善きと思いしていたことから、そして澄人さんの善きと思いしていたことが主人公の梓さんへそれぞれ繋がっていく伏線が秀逸でした。
梓さんの親友の死で心折れそうにしていたのに、叶海さんの生前していたことが梓さんの心を前向きにさせる力となり生きてゆける様を綺麗にまとめた傑作でした
観たことを心より感謝したくなる映画
悪人ゼロ、みんなイイ人ばかり、その上何にも起こらない、設定上主人公・梓(黒木華)の親友・叶海(藤間爽子)が交通事故で無くなってしまうことだけは大事件ですが。にもかかわらず観終わって押し寄せる豊かな情感はどうだろう! 映画もいろいろタイプはあるけれど、観てよかった!と心のポケットがひとつ増えたような善なる歓びを得られる作品は得難い。
アイミタガイとカタカナで記されるタイトルの意味を主人公達は「初めて聞いた」と言ってますが、えっ?こんなの知ってるものと私は思ってまして、梓の叔母(風見じゅん)が言葉の説明を映画の中でし出した時は、さすがに白けました。そんな映画のキモを言葉で解説なんてあり得ないでしょと。「相身互い」は正確には「相身互い身」で、同じ身分や立場の者達はお互いに助け合う意味で、昔の武士の言葉の名残らしい。映画では「お互いさま」と受け身のように言ってますが、積極的に助けましょうのニュアンスの方が強い。翻って「情けは人の為ならず」となるわけで。
黒木華がメインではあるけれど、完全に群像劇で、①結婚式場に務める梓(黒木華)と中学からの親友である叶海(藤間爽子)の友情、②梓と彼氏である澄人(中村蒼)の恋の進展模様、③途方に暮れる叶海の両親(田口トモロヲ&西田尚美)に突然児童養護施設の所長(松本利夫)が訪れる、④要介護の高齢者こみち(草笛光子)の面倒をみるヘルパーさん(安藤玉恵)、⑤梓の叔母である(風吹ジュン)との関わり、⑥梓と叶海の中学時代の追憶と不思議なピアノ演奏、⑦澄人の喋る電車の居眠り男のハナシ、⑧宝石店の主人と孫の関係、などをベースにそれこそエピソードのそれぞれがアイミタガイとばかりに関連し絡み合う脚本が秀逸。
近鉄の全面協力で三重県の桑名市がベースとなっている。夕暮れ時の温かい照明に包まれた電車の走行シーンは温かく、まるで前述のエピソードを連結しているよう。すれ違う人々、駅で車内でホームで、みんな赤の他人として振る舞っているけれど一皮めくれば、あれやこれや繋がりがあるかもしれず、ただ知ろうとしてないだけ。原作の短編エピソードを繋ぎ合わせた脚本ですが、相互の人物の絡みは脚本時点で点と線を結び合わせたのでしょう。上出来の繋がりの連続に嫌味や作為は全く感じさせず、ただただ心優しくなるのです。これが新宿駅でしたら有り得ないのです、だから人口約14万人の桑名市が活きるのです
そのために「ピアノを聞いたことがある」の種明かしに中学時代までさかのぼり、電車で居眠り叔父さんのハナシを、さて誰でしょうとフックをかけ観客に過去シーンを提示する。ご都合主義なんて貶さないで下さい、人生なんてこんなもので、広いようで社会は狭いのです。だからお互い様に助け合う意味がある。
それにしても黒木華は引っ張りだこの人気者で、実力のみならず最近妙にキレイになりましたよね、山田洋次監督の「小さいおうち」(2014)の頃は昔風が売りでしたのにね。圧巻は「九十歳。何がめでたい」(2024)でも魅力炸裂の草笛光子でしょう、宴会場で堂々たるピアノ演奏の素晴らしさ、すっと伸びた美しい背中を惜しげもなく輝かせるブルーのドレス、作品が締まるとはまさにこの事です。驚きは初めて観ます友人役の藤間爽子で、コケティッシュなキュートさで、出番は少ないのに強烈な印象を残す。引っ込み思案な梓をグイグイ推すポジティブが役柄とともに活きてます。これから伸びる逸材でしょう。
観ないと損します、本当に。
素晴らしい作品に拍手喝采👏
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