ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?

劇場公開日:2024年9月27日

ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?

解説・あらすじ

米ソ冷戦の渦に巻き込まれた悲劇のロックバンド「ブラッド・スウェット&ティアーズ」の真相に迫るドキュメンタリー。

1967年にアメリカで結成された同バンドは、ホーン入りロックバンドの先駆者として注目を集め、グラミー賞を受賞したセカンドアルバム「血と汗と涙」でヒットチャートを席巻した。そして70年春、彼らはアメリカ国務省主催により、東欧諸国を巡る“鉄のカーテンツアー”を敢行。しかしその直後、二分化した大衆の社会騒乱に巻き込まれて人気絶頂から転落していく。

半世紀以上の時を経て初公開となる鉄のカーテンの向こう側で撮影された映像をはじめ、バンドメンバーや関係者から提供された写真と証言、禁じられていたロックに呼応する聴衆の姿も収めた未発表ライブ映像、ニクソン大統領とキッシンジャー国務長官の間で交わされたアメリカ政府文書、ルーマニア秘密警察からのファイルなど貴重な資料の数々を通し、ロック史のみならず現代の世界情勢にもつながる分断の歴史を浮かび上がらせていく。監督は「ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン」などの音楽ドキュメンタリーで知られるジョン・シャインフェルド。

2023年製作/112分/G/アメリカ
原題または英題:What the Hell Happened to Blood, Sweat & Tears?
配給:ディスクユニオン
劇場公開日:2024年9月27日

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映画レビュー

4.0 ボブ・ディラン映画でも見せ場作ったミュージシャンがリーダーだった一発屋の悲劇

2025年10月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?という前に、長年の音楽ファンでだいたい2000枚くらいCD持ってたりするのに、ブラッド・スウェット&ティアーズのCDを何で持ってないのか?と思いつつ、昨年公開時にはすっかり見逃してましたが、引き続き、ピーターバラカンさんの音楽映画祭で鑑賞。ちなみにピーターさんもブラッド・スウェット&ティアーズは1枚も持ってないそうです😆

ボブディランの映画にも、見せ場になってるニューポートフェスで披露した、ライクアローリングストーンがスタジオで爆誕する時、ふらっと入ってオルガン弾いたら、すごい名曲のイントロみたいになったシーンでおなじみ、あそこでオルガン弾いたのが天才アルクーパー。で、ブラッド・スウェット&ティアーズの初期のボーカル兼リーダーが彼氏だったという。

そういう繋がりの中で、一発屋扱いされるブラッド・スウェット&ティアーズの超代表曲,スピニングホイールの時はアルクーパーはすでにバンドにいない、別のボーカルが歌ってるというミステリーもありまして。

説明が長くなりましたが、人気絶頂期に東欧ツアーに出かけ、そのあと鳴かず飛ばずになり、なんだか音楽ファンの中でも忘れられていく存在になったバンドのドキュメンタリー。何故なんだ?という、お話。

本作の骨子になる東欧ツアーの経緯については、本作を観ていただければと思いますが、まあ、悪魔崇拝の映画にもあった、いつものメディアと大衆による集団ヒステリー的なものだと思いました。

特にビリーホリディの「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」のカバーが素晴らしくてこんなバンドを聴いてなかった極東のおじさんも、少なからずその風評の影響があったかと思うとブラッド・スウェット&ティアーズよ、正直すまん!と思いましたね。

でもね、ブラッド・スウェット&ティアーズ、不運すぎるんよ。グラミー賞で、ビートルズのアビーロードを完封した年、まだテレビ中継やってなくて、次の年からテレビつくとか。あのウッドストックにも当時のトップグループとして登場したのに、マネージャーがギャラで揉めて、映画の撮影止めちゃたりしたから、今だに出演してないと思われてるとか。

いろいろ思うところありますが、ボクが今までブラッド・スウェット&ティアーズについて、いい印象持ってなかったのは何かと言えば、「ブラッド・スウェット&ティアーズ(血と、汗と、涙)」ってバンド名がダサいと思ってましたから!

こちらからは以上です。

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minavo

4.0 血と汗と涙は名盤だが、。

2025年2月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

1967年秋、アル・クーパーが結成したBS&Tは翌年2月に1stアルバム「子供は人類の父である」を発表したがセールスが振るわず、ボーカルが弱いと言われたとかで、当のアル・クーパーは3月にあっさり脱退。ボーカルを探すなか情感も声量もあり存在感溢れるD.C.トーマスを発掘しメンバーに合流させ2ndアルバム「血と汗と涙 BLOOD,SWEAT&TEARS」を発表し、こちらが大ヒット。遂にはビートルズ「アビイ・ロード」を押しのけグラミー賞まで獲ってしまった。
2つのアルバムを改めて聴き比べたが確かに、2ndアルバムの方がブラスロックとしての完成度が高い。躍動的な楽曲が多くヒットしたことも納得できる。1stアルバムも良いのだがアル・クーパーのやりたい事を詰め込んだソロ作品と揶揄されたことも頷ける。
映画は政府にハメられ(D.C.トーマスの在留と引き換え)東欧でのツアーを受けたことにより、帰国後は体制に屈したアーティストとして迫害され、人気が凋落していったとの話であった。当時のアメリカとロシア及び東欧諸国との関係性も当然理解するし、BS&Tは被害者だったのだろう。だが、BS&Tが同時期に同じブラスロックからスタートとした「シカゴ」と圧倒的に差がついたのは自らのバンドに対する熱い思いとか拘りとか商業的に成功に導く為の戦略とかあらゆることに負けてたからに他ならない。シカゴもメンバーの入れ替わりはあったがちゃんとオリジナルメンバーのロバート・ラムが仕切り続けていた。BS&Tにはそのようなリーダーが存在しなかったことも大きいのでは?と思う。
だが、50年以上お蔵入りしていたフィルムを基にこのようなドキュメンタリーを作ってくれたことは素晴らしい。大変興味を持って観れました。関係性の皆さんに拍手をおくりたい、。

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アベちゃん

未評価 「ミュージシャンは政治を語るな」の国で

2024年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 アメリカのロック事情に詳しい訳ではありませんが、Chicago と並ぶホーンセクションを揃えたロックバンドである彼らの名前は勿論知っているし、曲も聞いた事があります。いつしかその名を聞く事はなくなりましたが、その裏にこんな国家的な問題があったとは知りませんでした。

 1970年、彼らはロックバンドとしては初の東欧ツアーを敢行しました。鉄のカーテンがまだ強固であった時代に、アメリカ文化の自由を共産圏の国々に知らしめようとする米国務省が主導した企画でした。ユーゴスラビアのブカレストやポーランドではコンサートは大成功を収めた一方で、ルーマニアでは興奮した聴衆を抑えるために警察が導入され、警察犬によって聴衆を暴力的に追い出すような事態にも発展しました。

 そうして帰国してみると、ベトナム戦争を進める国の片棒を担いだ姿勢にリベラル派からは厳しく糾弾される一方で、彼らの反戦・反ニクソン的な普段の言動に右派からも火の手が上がり身動きできなくなったのでした。

 この時代、好むと好まざるとにかかわらず、音楽は政治と密接に絡み合っていたのです。「ミュージシャンは政治を語るな」などという漂白された思想が蔓延する現在の日本から見ると羨ましくも感じられます。当事者にとっては「勘弁してくれ」なのかも知れませんが。

 ただ、彼らが音楽シーンから姿を消したのはこの騒動が本当に原因だったのかの検証はもう少し進めて欲しかったです。

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La Strada

3.5 やっぱり音楽に国境は無い

2024年11月16日
Androidアプリから投稿

グリーンカードを剥奪されて、バンドの活動を続けるためには、ツアーを引き受けるしかなかったのだろう。
冷戦時代にこのような興行が行われていたとは全く知らなかった。
BSTの演奏に熱狂する東欧やソ連の人たちの姿を観ていると、音楽に国境はないと感じる。
ライブの妨害のために犬を放ったりする様子、撮影したビデオテープはダミーを作って中身はダンボールに入れて、持ち帰る時のミッションインポッシブルなど興味深い映像だらけだった。
こうやって検閲をすり抜けて映像を持ち帰ったからこそ、この映画もできたんだよなあと考えるととても感慨深い。

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momo