SONG OF EARTH ソング・オブ・アースのレビュー・感想・評価
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ノルウェイには自然環境の厳しい国というイメージがあります。そこで暮らす老夫婦の姿と山岳地帯の映像を通して何を感じるかは観る側の感性次第と言われている気がします。
ボスターの絵の澄んだ青色に目を奪われました。
「PERFECT DAYS」のヴィム・ヴェンダース監修ということを
知り、どんな作品か興味が増したので鑑賞してきました。
出演者は老夫婦ふたり。
この作品の監督が、自分の両親の生きる姿を描いた作品との
事です。映し出される映像から、老夫婦の暮らす環境はかなり
の山岳地帯に思えました。・_・;
暗く寒色の映像の中、静かに移動する被写体。
後ろから撮影した場面と、上から撮影した場面が続きます。
鏡のように凍った水面を歩く場面は印象的。
ドキュメンタリー作品との事です。ですが
夫婦が会話を交わす場面はあるものの、特に何かテーマに沿って
語られるという訳でもありません。
静かな映像が続くこの作品。
いったい何をねらっているのか と考えながらの鑑賞。
そしてしばらくしてから、ハタと気付きました。
この作品は「叙景詩」なのかな? と。
叙景詩なら、主役はノルウェーの大自然そのもの。
自然を写し取った映像に、音楽は不要。
邦題タイトルに「ソング」とあるのは「歌」ではなく「詩」。
なんか、そんな気がしてきました。(…気のせいかも)
この作品を味わうには、家庭のTV画面ではなく
映画館の大きなスクリーンが良いかも。 そんな風に思いました。
◇
とはいいながら
正直、眠くなるのを堪えながらの鑑賞でした。・_・; ゴメンナサイ
何か、伝えたいテーマのようなものがあるのだろう。と
それを探しながら鑑賞を続けて思ったことは
# ノルウェイの山岳地帯に生きる両親の姿を通し
# かつて近隣の牧場を飲み込んだという雪崩も
# 川へと崩れ落ちるフィヨルドの氷塊も
# どれもが自然という中の一部であって
# それを神々しいとか 禍々しいとか
# どう感じるかは、受け手となる人間次第
このような事でした。
” 初恋の相手は自然 ” と言う、この老夫婦。
自然の何にどのように恋したのか 具体的に語られる場面は無く
映像から読みとるしか無いのが残念です。 ・_・; 本当に
この作品、物語として何かが語る作品ではないようです。
画面に映る羽前の映像からメッセージを感じ取る作品なのだなと
そんな風にも感じました。
◇この作品の事を考えてみました
トロルとかムーミンとかバイキングとか、はたまた
ノルウェイジャン・フォレストが暮らす森の風景とか
そういった雰囲気を期待して観ると空振りする気がします。・-・;
ノルウェイの自然を、画面を通して味わいたい方にはお薦めできる
作品かもしれません。
◇更に、この作品を考えてみました・_・; …5日経過
理解が及ばない感じが何とも悔しいので、更に考えました。
ふと頭に浮かんだ一つのフレーズ。
” 何も足さない 何も引かない ”
30年くらい前?の、あるCMのキャッチコピー。
ウイスキーのコマーシャルだったかと記憶に。
原酒の良さを損なわないために余計なモノは混ぜていないと
品質をうたったCMでした。
そしてこの作品。映像のほとんどが「生」っぽい素材です。
音楽とか効果音とかナレーションとか
そういった、後から追加するものを極力入れない、
ノルウェイの自然を伝えるのに、余分な情報は不要。
そう考えて編集された作品なのかもしれません。
◇あれこれ
■タイトルについて
邦題:SONG OF EARTH ソング・オブ・アース
原題:Fedrelandet
原題を訳すと「祖国」でした。 (google翻訳サマ・_・イツモオセワニ)
さらに原題の単語は「Fedre + landet 」から成るようで
前半は「父」、後半は「国」を意味するようです。
すなわち「父なる国」ということなのでしょうか。
「母なる大地」という表現は良く耳にしますが、祖国を「父なる国」
と表現する事が、とても新鮮に感じられたのですが、この作品で映し
出されるフィヨルドなどの映像を見ていると確かに、母というよりも
父のイメージの方が合っているようにも思えて納得です。・_・ハイ
◇最後に
冒頭に「ボスター絵の澄んだ青色に目を奪われ」と
書いたのですが、そのような青い空の場面は出てこな
かった気がします。・_・;
騙されたか…という気持ちにもなってしまうのですが
「自然」というのは綺麗な一面だけでは無いのですよ と
この作品を通して語りかけているのでしょうか。
そんな事も考えています。けれど
(綺麗な空の青、水の青も見てみたかったなぁ)
そう思ってしまうのも本当の所です。・_・;
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
掛け値なしの大自然がありのまま
ノルウェー西部の山岳地帯オルデダーレンに暮らす、84歳のヨルゲン・ミクローエンと妻マグンヒルド。夫婦の娘が里帰りをして、この美しい大自然で暮らす夫婦の暮らしとこの土地での生い立ちを語るドキュメンタリーです。
CG映像ではなく手つかずの大自然の映像でつづられた本作品。映像と淡々とこの土地での出来事を語る老人に睡魔を覚えるかと心配でした。
しかし、ただ美しいではなく自然豊かさ、雄大さ時には猛威が映し出されそこで暮らしてきた人々の姿に見入ってしまいました。気候変動による問題点も覗かしています。
鑑賞後に大きく揺さぶられるものはありませんが、ゆったりとした時を過ごした充足感のある作品でした。
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