「『ヒトラーの忘れもの』と『ジョジョ・ラビット』」ぼくの家族と祖国の戦争 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
『ヒトラーの忘れもの』と『ジョジョ・ラビット』
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第2次世界大戦中と戦後におけるデンマークとドイツとの複雑な関係は、『ヒトラーの忘れもの』で初めて知ったが、本作では、序盤、まだドイツ占領下にあり、表立ってドイツに反抗心をみせることはできなかったが、デンマーク国民の間には、抵抗が当たり前という気風が広がっていたことがわかった。
主人公の子どもの気持ちが、一途な「愛国心」から揺れ動く「愛敵心」へと移り変わっていく様子は、『ジョジョ・ラビット』にも似ている。ジョジョの母親も、ジョジョの当初の愛国心に反する愛敵心を発揮した挙げ句に犠牲になってしまい、遺された「敵」を主人公が守ることになっていた。年長者が自分を裏切った主人公の危機を救うことになるのも共通しているようである。結末の「解放」による運命の違いは仕方がないのかな。本作の母親は、先に父親の立場を無視して動いたけれど、父親が身を入れるようになってからは、失職を心配するようになっていた。母親の気持ちが揺れ動いていたところには、一貫性の欠如を感じた。人道的支援の加減の難しさはあるのだろう。『ヒトラーの忘れもの』に通じる葛藤でもあるのだろう。
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