「助けたい。でも助けるのが怖い。」ぼくの家族と祖国の戦争 iccoさんの映画レビュー(感想・評価)
助けたい。でも助けるのが怖い。
またしても戦争の恐ろしい一面を知る。
敗戦間近になったドイツから、当時占領下に置かれていたデンマークに大量の移民が押し寄せた中、無理矢理受け入れ先に選ばれた大学の学長家族が移民とデンマーク国民との間で板挟みになってしまうお話なのだけど。
ドイツの占領下という言葉でもうデンマークがドイツに対してどんな見方をしているかわかるけど、そのドイツから突然勝手に送られてきた移民を見殺しには出来ない、人格者の学長家族を敵視する街の人々目線が痛いのがしんどい。
色々納得のいかない移民の受け入れを通して、パパの正義と信念が家族の関係を不安定にも強くもしていく様子に、観ているこちらも気持ちがぐらぐら揺れた。
助けたい。でも助けるのが怖い。
いつの世も犠牲になるのは小さくて弱い人々で、見方を変えれば移民側も国に存分に振り回されていて気の毒でとても胸が痛んだ。
敵視しあってるのは、意見の合わない大人同士であって子ども同士ではないのに。
この物語は子どもの目線で話が進むので、また辛さが一段と増した。
終わらない戦争が続く今、まさに観るべき作品。
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