「主演女優が幼なく、世界観が成立しない」ゆきてかへらぬ ひぐまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
主演女優が幼なく、世界観が成立しない
監督の根岸吉太郎はベテランらしく女優を奇麗に撮る。古くは石田えり、秋吉久美子、近年でも竹内結子や松たかこを殊更に美しくフィルムに焼き付けた。
今作の広瀬すずも十二分に美しく捉えてはいる。しかし彼女の佇まいがひたすらに幼なすぎる。中原中也を翻弄した魔性を演じてはいるが、観客にそれをまったく感じさせない。「流浪の月」でひと皮むけたかと感じていたが、また元に戻ってしまった。彼女は非常に幅の狭い女優であり、有り体に言えばミスキャストなのだ。可能ならば河合優実を起用すべきだっただろう。
根岸吉太郎も70代の半ば、田中陽造も80代になった。一時期の日本映画界のトップランナーたちが仮にこの作品で引退するとしたら誠に惜しい。もう一本会心の作を見たい。
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