「すずちゃんの艶技に刮目」ゆきてかへらぬ コーヒービートさんの映画レビュー(感想・評価)
すずちゃんの艶技に刮目
長谷川泰子と小林秀雄・中原中也の若き日の奇妙な三角関係の話は、私が高校時代に知った。当時長谷川も小林も存命であり、このあたりの話は結局「棺を覆った」のと共に失われると思っていた。
本作の存在を知った時驚き、また「是非見たい。」とも思いました。
意図は不明だが全体的に室内や夜間のシーンが多く、画像は暗いが、それでも彼らの青春譚を虚実織り交ぜながら上手に描いている。それにしてもすずちゃんの濡れ場には刮目しました。もういつまでも高校生役ばかりじゃないからね。立派な大人の俳優になり、オジサンとしては嬉しい限りです。このあたりやはりロマンポルノ出身の監督の常で、根岸監督のねっとりとした描写にも満足です。なお、歯ブラシなど小道具の考証はしっかりしています。ロケバスは戦後型ですが、当時のバスはもうなかったのでしょう。この辺はハリウッドには負けますな。ラスト近く中原の葬儀でようやく画像が明るくなります。彼らの青春との訣別を表すメタファーだったのでしょうか。
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