「広瀬すずファッションショー」ゆきてかへらぬ romiさんの映画レビュー(感想・評価)
広瀬すずファッションショー
大正〜昭和初期あたりの文学作品が好きで、中原中也についても色々調べ、長谷川泰子と小林秀雄とのあれこれも知っていたので、本作予告を観てから非常に楽しみにしていてやっと鑑賞できました。
まず、映像がとても綺麗でした。京都の町の静かな寂しさとか、東京の賑やかな寂しさとか、映像から伝わってきました。
しかし、物語に対する期待値が高すぎたのか…元々関心ある分野で先入観があるのがよくなかったのか…今いち入り込めず、だいぶ距離を感じながら(置いてけぼり感を抱きながら)観ていました。
何が物足りなかったのかなと考えたのですが、主要な3人それぞれについての掘り下げが足りなかった気がする。個々のキャラクターとしても、関係性としても。個々の掘り下げがないので、魅力がいまいち感じられず、なぜ惹かれ合うか釈然としないし、なぜ離れがたいかも理解できない。言葉は悪いですが、『有名な三角関係』を上っ面だけ描いてる感じで、とにかく入り込めない…。やはり恋愛を描く以上は、キャラの魅力が分かるようにしてもらわかないと感情移入できないし、そうなるとだんだん「なんか3人でワチャワチャやってんな〜」みたいに客観的にしか見られなくなってくるんですよね。
それで後半はもう、綺麗で可愛い広瀬すずのモダンガールファッションショーだと思って鑑賞(笑)。いやほんとめちゃくちゃ可愛かった。和モダンな大正ファッションがすごく似合ってた。写真集出してほしいくらい。
とか思いつつ見ているうちに、制作陣もファッションショーのつもりだったのかなと思えてきた。だって、そうじゃないと、昔の男の葬式にバッチバチにキメた喪服姿で乗り込んできて、奥様の目の前でなんか思い出の品っぽい意味深な物を棺に入れて、意味深なことを言ってスタスタ去っていくの、嫌な女すぎるだろ笑。あの喪服姿もすごく良かった、写真集あるなら絶対のせてほしい。
あと、中也役の俳優さん、申し訳ないことに存じ上げなかったのですが、すごく良かった!黒目がちでつぶやな瞳が中原中也ぽかった。そして、喧嘩っ早くて危ういんだけど純真で人懐っこい中也の魅力をよく表現されていたと思う。あと、結核に冒されてからのやつれぶりが物凄く、一瞬俳優さん変わったかと思った。役作りすごい。
岡田将生さんもさすがシュッとしていて、当時のファッションがよく似合っていたし、大人の男の安定感も醸されていて小林秀雄としての説得力がありました。
内容的には、全体に没入しづらいストーリーと展開で惜しいな星3くらいかなと思ったけど、広瀬すずの可愛さを満喫できたのと、中也と小林のキャスティングが良かったので、0.5プラスしました。