劇場公開日 2025年2月21日

「秀雄にメロメロパンチ」ゆきてかへらぬ iccoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5秀雄にメロメロパンチ

2025年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

詩人と評論家と女優、もうこれだけですごいドラマが生まれそう。
それぞれがパワーワード過ぎて、一人だけでも充分なエピソードが出てきそうな所、かける3なのでとにかくなんか濃い。
色々濃い。笑。

実際の彼がどうだったのかはわからないけど、映画の中に限って言えば小林秀雄がカッコ良すぎる。
私は岡田将生氏が大好きなので、9割り増しなこともあったかもしれないが、かなりのメロメロパンチを喰らったわっ!

クールで知的なイメージが岡田将生氏本人と被ってるのもあるけど、小林秀雄氏が輝いてみえたわよ。病み散らかす泰子にも穏やかで優しく対応できる猛獣使いっぷりも、ライバルでありつ天才だと認めてもいる中原中也との関係の変化諸々後にも彼を大切に扱う紳士な対応も。
そりゃ好きになるよ。
仕方ないじゃん、カッコいいんだから。

すずちゃんは和装でも洋装でも女をやっていても女優をやっていても歌っても踊っても叫んでても美しくて、本当に美✨
美しさに目が行くけど、喋る?セリフの?なんて言ったらいいんだろう、感情の表現を言葉を通して表現するの上手いなーと思う。
あと今まで観た作品の中で、一番私の中でのイメージに近かったかも。

あと再現度の高さに度肝を抜かれた中原中也役の木戸大聖君。
なかなかあの帽子が似合う人はいないわよ。
繊細で死にたがりな坊ちゃん。
ついつい仕方ないなあと思ってしまう、お姉さん心をくすぐるかわゆい年下男子を上手く演じてたと思う。

それから世界観がとても素敵だったわ。
泰子の衣装はどれもこれも可愛かったし、秀雄の家の窓が素敵で出てくるたびに見惚れてしまった。
携帯電話もPCもなかった時代は、なんか相手との距離感も、距離の取り方も違う気がする。泰子の激しさも、中也の坊ちゃまが許される生き方も、秀雄のスマートなふるまいも、現代でやったらまた違う感じになるんだろな。
面白かったし、何よりこの時代そのものにちょっと憧れてしまった。

icco