「今、映画化したねらいは?」ゆきてかへらぬ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
今、映画化したねらいは?
田中陽造の幻の脚本をもとに、根岸吉太郎16年ぶりの監督作品。
主人公の長谷川泰子は実在した女優とのこと。中原中也、小林秀雄との三角関係という題材に引きつけられるが、物語展開やセリフが芝居がかっていて、古めかしいように感じられた。今、この作品を映画化した意図やねらいを読み取ることができなかった、というのが正直なところ。
広瀬すずは頑張っているが、まだ大人の女優になりきれていない感じ。京都での木戸大聖と二人での芝居は子供っぽく見えて、東京に移って岡田将生が出てきて、一気に画面が締まった。
根岸吉太郎の演出は、派手さはないものの堅実で、度々ある雨のシーンをはじめ、画面づくりも的確。大学の仕事も忙しいのだろうが、もっとコンスタントに作品を世に出してほしい。次回作を期待している。
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