「ユーモア」ゆきてかへらぬ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ユーモア
キャストは豪華なのに全然話題になってないな…と不思議になりながらの鑑賞でしたが、あーこれはヒット難しいわと納得させられる感じのマニアックな作品でした。
モデル元の登場人物は名前聞いた事あるかな?くらいの認識なのでほぼほぼ初見です。
ほぼほぼ登場人物3人でのやっかみ合いがメインですが、そのやり取りが中々に狂気に満ちていて本来なら大好物なはずなんですが、現代でいう厨二病チックなところが強すぎて引きながらの鑑賞になりました。
ちょい捻くれ文学学生な中原中也と転がり込んできた役者見習いお姉さんの長谷川泰子、数年後に編集者として2人と携わる小林秀雄の3人芝居ですが、これだけで2時間オーバーの時間を持たせてる、なんならもっと尺伸ばして深掘りすればより良かったのでは?となるのが惜しいところでした。
序盤のちょい粗いお姉さんだったのがマシだったのかと思うぐらい泰子のメンヘラっぷりが加速していくんですが、それまでの背景が濃く描かれていないために、精神病でおかしくなってると言われても、事細かいところまで他人に指示させるところからの大女優への昇格までの繋がりがうまいこと見出せずで頭の中クエスチョンマークだらけでした。
終盤の哀愁漂う感じは好みだったので、良い部分悪い部分が観る人によって分かれるんだろうなぁとはなりました。
多分敢えてだとは思うんですが、台詞回しがわざとらしいのが序盤から中盤にかけてくどくなってしまっており、一瞬持ち直したと思ったらやっぱりくどくなったりと胃もたれしてしまいました。
大正時代のリアルと演劇っぽさが噛み合わさった結果、イマイチ世界観にのめり込めないのがずっとノイズになっていました。
濡れ場らしい濡れ場が2回あるんですが、全年齢対象の時点で期待せずでしたが脱いでも映るのは背中のみだったり、後ろ姿が多くて本当にすずちゃんがやってるのか?と疑って観てしまうところが多く、そこがエロティックならもっと時代とか関係性とかにハマれたのかなと思うとキャスティングからミスってたのでは?となってしまうのが残念でした。
木戸くんは「先生!口裂け女です!」で初めて出会って、去年の「きみの色」でドカンと興味を持っていたので、木戸くん目当てで今作を観たといっても過言ではないんですが、その2作に比べて演技が拙い…?となってしまいました。
台詞回しが独特なのはあるんですが、すずちゃんと岡田くんと並ぶとどうしても幼さが出てしまってバランスが悪くなってしまっていてモヤモヤしっぱなしでした。
ただ晩年の中也の燻っている感じはとても好きでした。
岡田くんが出ると画面がキュッと引き締まるのもあり、安心安全安定してくれて肩の荷が降りたのもこれまた事実です。
大正時代を感じさせるセットや背景だったりはとても良かったですし、止まったところを切り取ったようなカットは綺麗でした。
地味に気になったのが上から下へ、下から上へ動くカメラワークの時にプルプル震えていたところだけは固定じゃないんだ…となりました。
今年に入ってから気になってる事なんですが、大作で主演を張ってる役者陣が大衆ウケではない作品に出た時にガクッと興行収入が下がる現象が2ヶ月で連発してるんですけど、洋画離れに近いものがあるのかな?と勘繰ってしまったり。
2時間タイムスリップした感覚は確かにあったので、それだけは儲けもんかなと思いました。
鑑賞日 2/25
鑑賞時間 16:05〜18:25
座席 L-13