劇場公開日 2025年2月21日

「純粋で、手に入らないもの」ゆきてかへらぬ uminekoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0純粋で、手に入らないもの

2025年2月24日
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鑑賞方法:映画館

知的

しみじみした気持ちが、鑑賞後の第一印象。愛って、危うくてもろくて自分勝手だね。

中也を演じた木戸大聖さんは熱演だったと思う。今後誰かが中也を演じるときは、彼を越えるためにかなりのデフォルメが必要だろう。それくらい自然だった。でももう少し、彼の狂気が表現されていてもよかった。おそらく、長谷川泰子たる広瀬すずさんがそれを担ったんだと思う。

広瀬すずって、こんなにいい役者さんなんだ。後半、ほんとに自然に長谷川泰子だった。まあ見たわけじゃないけどそう思った。そういう意味では小林秀雄を演じる岡田将生さんは難しいポジションだったね。常識人の狂気って、どうすりゃいいのって感じ。作品全体としては、詩壇における中也の立ち位置とかが分かればなおよかったのにね。

さらに言えば、のちの泰子の私生児を中也が猫可愛がりしたエピソードは完全割愛だったけど、あれこれが中也なんだけどなー。別れた恋人の私生児ですよ?愛する事に純粋無垢。普通じゃないよね。ずっと愛したらよかったのに。でもできなかった。彼のせい?彼女のせい?人って、みんな狂ってるから。

umineko